NHKオンデマンド

概要

雑感1

デイリーニュースだけでいい。と考えるなら、テレビ捨てちゃってこっちにしたほうが、受信料の節約になる。NHKフリーなテレビが市場に無いところで『テレビを買う買わないは視聴者の自由 であり、あえてテレビを買った という点で契約の自由には抵触しないと考えている』とか言われちゃうと、NHK大好きでも、やはりカチンとくる。

雑感2

他方、古い番組の出演者など、著作隣接権者と逐一連絡をとり、交渉し、許可を得た上で配信サービスにこぎ着けたのは、ご立派だと思う。サスガサスガ。ちょーすげぇ。

もともとテレビ番組のギャラは「再放送一回につき追加でいくら」という形式になってない。この事に対する不満は、ネット以前の時代から、出演者や音楽家や声優など著作隣接権者の間では、渦巻いていたようだ。

しかし、「番組の著作権(製作・著作)」と「放送免許」が一体化している条件下では、圧倒的に放送局の立場が強く、交渉にならなかった模様。既に商品(芸)は渡してしまった後だし、あまりゴタゴタ言って仕事がこなくなっても困るだろう。

この「溜め込まれた不満」が、ネット配信やダビング10を巡るゴタゴタに影響している可能性があるように思う。

NHKオンデマンドが偉いのは、この点にがっぷりよっつに組んでいるところだ。

2008/11/25 17:38

 NHKこれから制作する番組に関して,テレビ放送とVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスの「NHKオンデマンド」(NOD)の両方で利用することを,権利者との契約に盛り込む方針だ。より多くの番組をNODの見逃し番組視聴サービスで提供しやすくするのが狙いである。

 NHKが12月1日に開始するNODには,番組の放送翌日から1週間程度配信する「見逃し番組」と,過去に放送した番組を配信する「特選ライブラリー」の二つのサービスが含まれる。このうち配信期間が短く権利者の同意を得やすい見逃し番組サービスについて,番組制作時の権利者との契約内容に利用目的として盛り込む方針である。配信期間の長い特選ライブラリーについては番組制作時の契約には含めず,NODの権利処理専門の部署が番組ごとに交渉する。

 またNHKはNODにおける権利交渉について,開始時に特選ライブラリーで配信を予定している1266本の番組のうち,11月19日時点で依然として約 200本が権利者から許諾が得られていないことを明らかにした。番組の配信に関しては既に権利者団体と基本合意しており,現在NODの開始に向けて権利者団体を通じて,出演者など権利者一人ひとりから書面による許諾を得る作業を行っている

この労を嫌ってネット権だかなんだかで押し切る手もあるが、それはあまりフェアぢゃないカンジがする。作り手が「日本じゃ喰えん」と流出する可能性もなしとしない。

趣味的に、近未来の日本経済は、製造業以外の柱をいくつか持たねば保たないと思っているので(モノツクリ・モノカルチュアからの脱皮)、これはあんまりウマくない。

たぶん、「番組の著作権(製作・著作)」と「放送免許」は分離したほうが良い。分離した上で、「放送権の卸元」に、「あちこちに放送権を売れるように著作権をキッチリ整理したライブラリ」を溜めこんでゆく必要がある。

これは著作権延長問題にも絡む。
「番組の著作権(製作・著作)」と「放送免許」が未分離のまま、著作権を延長すると(すでに映像はしてしまったが)、「複雑な権利関係に手をつけられず死蔵される番組が増えてゆく一方」になりかねない。少なくとも過去番組の死蔵期間は伸びる。民放に死蔵番組を保管しておくような体力は、昨今の経営悪化の以前から、ない。バンバン捨ててる。

著作権の延長は、なんらかの手段で、放送と製作を分離した上で、「放送権の卸売業」を育成し、彼らが「あちこちに放送権を売れるように著作権をキッチリ整理したライブラリ」をある程度溜めこんだ段階まで、待つべきだったかもしれない。

これはまじめにやると、最短で10〜25年程度かかるだろう。CATVや多チャンネル化に乗り遅れたツケは大きい。

この点を、著作隣接権者と逐一連絡をとり、交渉するという力技で切り開くというのは、そう悪いハナシではないように思える。そんな体力NHKにしかないし。

本サービスは、放送法の改正によりNHK本体とは別の事業体が行なうのであれば可能となったもののようだが、そうであれば、民放の過去番組にも手を伸ばせるのではないか*1

民業圧迫という問題は残るが、ある程度軌道に乗った段階で、「放送」「製作」「通信サービス」の三つに「分割民営化」する。

といったアタリが「望みうる最善」かもしんない。

*1:その交渉を請け負うサービスを民放に売るとかでも