文化庁、文化審議会著作権分科会、基本問題小委員会 第二回会合の報道を読んで妄想欲をもてあます。

自分の妄想では

基本問題小委員会の目標は、『理想の著作権』『著作権のあるべき姿』『著作権のレーゾン・デートル』を語り合う事だ。「話し合い」ではない。自分の感覚では、それは条件交渉の色彩を帯びる。ここは「語り合い」でなければならない。あえて名詞にするなら「対談」。ないし「座談会」。みたいな。

もちろん、そうした「対談」の舞台として『文化庁文化審議会著作権分科会、基本問題小委員会』が適当かっつうと、やっぱ違和感ギンギンなのだけど、「どこか」は最優先ではない。やらなきゃ『今後の著作権のあるべき姿』は見えてこない。誰かがコレをやらねばならぬ。

立場も利害もある会合で、『今後の著作権のあるべき姿』を探るには、一旦俗世の利害を忘れねばならない。コピーライトの訳でもなく、法律に書いてあるからとかでもなく、まして己の利益の為でなく、「コレコレこういう理由で著作権は大事なのだとオレは思う」と、自分の言葉で、語りあわねばならない。多くの場合、『あるべき姿』は、「居酒屋で、青臭く、とりとめもない、書生論を語り合ってるとき」なんぞに降って来る。こう書くとますます「霞ヶ関有識者会議でやる事なのかそれわ」という気がしてくるのだけど、文化庁長官官房著作権課に、期待のひとがおれたちならば!てな気合いがあるなら、べつだんそれは嫌いぢゃない。

その成果を、、、なんつうの、「人権宣言」とか、「権利章典」とか、「五箇条の御誓文」とか、なんかそういうのの著作権版。みたいな形までもってってくれたら、100点満点で120点さしあげたひ。一介の視聴者でも消費者でもなく、知財攘夷(w)*1として、スタンディングオベーションを差し上げたい。立場や利害がどうであれ、日本の著作権史を語るなら、外せないマイルストーンになるだろう。

もちろん、そんなものは目先の役には何一つ立たない。が。あるとないとではシカケに通る電流が違う。一般的には説得力と言う。夷狄がそうしてるからだの、法律に書いてあるからだの、まして根無し草の言う「正しいこと」なぞどーでもいい。そもそも、自由だろうが人権だろうが、ありとあらゆる権利はヒトが作った「莫迦には見えない服」なのだ。信じさせたきゃソイツが大事。口上さえ面白けりゃ乗るよオレわ。「無責任な観衆」だから。

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青臭い書生論をぶってくれよー、と期待していたのだけど、事務局が示した論点は以下の3つだと云う。

  • (1)文化振興に関する施策の体系の中で著作権制度が担う意義や役割は何か。
  • (2)デジタル化やネットワーク化の進展といった表現手段や流通手段の変化の 下で著作権制度の役割に変容が生じているのか。
  • (3)これらを踏まえて今後の著作権関連施策についてどのような方向性をとるべきか(著作権制度とそのほか の文化関連施策、ビジネススキームなどとの関係をどう考えるか)

ばっちぐー (^^)b。いや、お見事 m(_ _)m。

著作権っていったいなんですか?』*2

とゆうカンジだw。(1)番なんて、「著作権は文化の振興に役に立つのですか?」とゆうカンジだw。侮れんぞ文化庁長官官房著作権課w。とてつもない大仕事だぞコレ。どのみち国会なんざカザリモノだ。メディア受けしか考えてない連中にホントの仕事は任せられねぇ。基本問題小委員会を「事実上の三部会(著作権版)」にしてしまへw。

ねぇ、これを受けて『著作権に関する議論のテンポが遅いことが問題になっている。』とか、『スピード感を持って著作権に関する問題について議論をしてほしい』とか言う人って、、、答えられるのコレ?自分の言葉で、、、。『「大所高所の議論」は抽象的過ぎる』って、そりゃまぁ、目先の仕事に忙殺されてる人ほど、青臭い本質論から遠のくのは理解できるし、サクヒン売って喰ってんだってのも分かるけど、たまにはホンネでタテマエ語らなきゃ。それがまっとうな社会というのものだ。

このひとたちはねー。本気なんだよ。わかるぅ?「文化庁の・著作権課」なんだから。文化振興の役に立たなきゃ、著作権なんざ要らないんだよ。「文化っていったいなんですか?」すら、応えなきゃイケナイ人達なんだよ。政策立案で。法案作成で。言いっぱなしぢゃ済まない「学級委員の責任」を背負ってるんだよ*3

付き合ってあげてほしいなぁ。きっと楽しめるから(主にオレがですが)。

でも、そゆ話したいのなら、第1回が三月末で、第2回が6月末てのは、ちと間遠な希ガス。もうちっと頻度あげないと、事務方に熱意があっても伝染しない。あとやっぱ合宿とか。カンヅメとか。カラオケとか。酒とか。あったほうがいいと思うんだが。

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著作権議論のデスマーチ

、、、というフレーズだけでITの「あ」の字も知らずに文系妄想をひらげるのだけど。仮に事務方の熱意が委員のみなさんに伝染したとしても、マネージメントの手腕が不適当では「デスマーチ化」は避け難い。言葉をもてあそぶと、基本問題小委員会のタスクは、「最終目標を文化振興に置き、著作権制度をそのための要求として、委細を煮詰めてゆく作業」と言い換えられる。委細といっても最終目標がズドンとデカイので、実務的には無意味なほど粗々、学級目標なみに巨視的なもの、に、なる筈だ。

上記によるとエドワード・ヨードンさんという方がデスマーチの発生源を三つ上げておられる。

  1. 1つめは、10年前に比べ競合が多くなった
  2. 2つ目は、コンピュータ技術が進歩しようと、コンピュータ技術に対する人々の願望はつきないこと
  3. 3つ目は、政治的な面でデスマーチプロジェクトが発生するということ

太字部分は、「著作権紛争」にもスライドできると思う。1つめは、「デジタルとイソターネット」を、「アナログと一方ネットの競合」と言い張ると、なんとかなりそうなきがしないでもないけどそこは大した問題ではない気もしないではない。

目を引いたのはここだ。

40年以上も前にわたしがエンジニアとして働いていたときも政治的な面で衝突がありました。技術が進化した現在にあっても、人々は変わらず、同じように衝突が続いているのです。

そこを含めてまるっと収める、、、なんて云うのかしらないが、プロジェクトマネージメント工学?みたいな方法論があんのだろうか?

ヨードン JADはわたしが勧める方法で、ほかの人が書いた書籍です。この方法はステークホルダー、プロジェクトマネジャー、開発者が同席したミーティングで、少なくても2人、多いときは20人以上で、要求を煮詰めていく方法です。こちらの本を読んでみるといいでしょう。

もしかしたら、ここで使われる討議ツール(コレしか書いてないので物理的な道具なのか、形而上的な方法論なのかも不明だが)は、「最終目標を文化振興に置き、著作権制度を要求として煮詰めてゆく作業」に応用できるのぢゃまいか。

だってコレ「ステークホルダー」の「尽きない願望」に優先順位をつけて、「政治的な面での衝突」含めて擦り合せるテクニック、て事なのでしょ?「ステークホルダー」てのは、例えば、顧客の経理と法務と開発と営業とってカンジなのでしょ?デスマーチてのは、社内やグループ内部のコンフリクトが開発プロジェクトにそのまま持ち込まれて帰れねー!って話なのでしょ?

まず「文化振興とはなんぞや?」をブレイクダウンして、個々の要素を達成する為に必要なナニカを粗々な言葉にして、、、サカナのホネとか、なんかそうゆう、、、つまりオレは、「著作権という概念」がリストラクチャ/再発明される瞬間を妄想してるのだと気づいた。今w。

  • 官僚さんを、政策と法案の「開発者」に見立てる。
  • 各委員のみなさんを、発注側各部署の「ステークホルダー」に見立てる。(現状の選出工程にはかなり疑問があるが)。

もちろんそこに整理をつけるのが官僚さんの十八番!って気もすんだけど、その手腕が通用しなくなってるから「議論」がデスマーチ化して「できあがる答申書」がgdgdになってんだと思う。たぶん、ステークホルダーがスゲェ増えてる。「政治的な衝突」も「尽きない願望」も天の川みたくなってる。少なくとも従来型のプロジェクトマネージメント手法が通用しない局面が出てきてる。

なにしろ開発者が『著作権っていったいなんですか?』と悲鳴上げてんだから。

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基本問題小委員会が「消費者の利益」に配慮する必要は、必ずしも無い。

個人的な趣味全開で云うのだけど、いんだよコレは別に。「著作物で喰ってる人達」の「理論武装の統合戦争」で。

河村さんが頑張ってらっしゃるけど、『利用者の意見』なぞ取ったって「タダでみたい。もっと見たい。いいぢゃないか減るもんぢゃなし」でしかないんだから。いや実態として違っててもいいんだよ「著作物で喰ってる人達」は、そう思ってりゃ。「払わない子は見たらアカンの!」で。気に入らなきゃ「見ない買わない嗜まない」で済むのだし。ダビ10だろうがその次だろうがCSSだろうがAACSだろうが、その気になりゃ抜けるんだし。国レベルのイタチごっこなんてそんな、持たない(と思っているからこそ、著作物で喰ってる人達には、「著作権という概念の再発明」を期待しているのだ)。

だいたい彼らのお役目はあくまで「文化庁の・著作権課」なんだから。文化振興の役に立たないモンに左右されちゃあ、逆に越権行為だガネ。むしろ消費者代表を呼ばないで、「著作利権党」として先鋭化して行ってくれたほうが、先の楽しみが増える。『著作権のレーゾン・デートル』と『表現の自由のレーゾン・デートル』でガチバトルがやりやすくなる。そして因果地平、じゃなくてアウフヘーベン、だったっけか。そんな妄想の虜。

別にソレ、個人の脳内で起きてる人もあるだろうしWeb上でやってるヒトもあるだろうけど、どっか「公」な場所で起きないと、趣味的に面白く無い。それは別に霞ヶ関でも国会議事堂でもいい。

むしろ消費者を代表する組織は、「ボイコット戦法」に出てはどうかとも思う。この手の審議会を、「指名を受諾した上で」軒並み欠席して審議会の権威を減殺するというか、各官庁の管掌範囲を明瞭化する。みたいな。その一方で、族議員(この場合は文教族)に政治献金と入れ知恵を提供して、具体的な制度設計や政府法案の段階でゴネて頂くなり、テレビで見栄を切って頂くなりしたほうが、「消費者の為に」実効性が高いのではないか。ロビー掛ける相手は比例区に出馬する公算の高い議員さんが望ましい。主婦連合会会員の票を期待してくれりゃ、献金額を節約できる、、、オレはそれが「民主制」って奴を支える車輪の一つだと思うんだが。

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  • そんな萌えかた。
  • 基本問題小委員会には甚だ期待している。
  • 現実に対処するにはまず確固たる理想が要る。
  • 理想を語れよ著作利権。
  • 俗世を離れ 普遍理念を はるばる望め。

*1:続・あたらしい著作権のはなし -2007/01/15 ageha was here

*2:ニアちゃんの声で御願いします

*3:そればっかでない事も確かだが、「たかが行政事務員」にそこまで背負わせるのもナニだ。これは「議院内閣制の怠慢」と見る事もできる。