ゲゲゲの悪書追放運動

現在でもそうだが、よのなか「すんばらしいゲージツ的」な作家ばかりではない。いくら「蓮の花は泥に咲く」つったところで、泥の存在自体が許せない!っつータイプが居なくなる事もない。

どうもゲゲゲの女房の時代の「貸本屋」には、当時の社会通念上アレな本が多かったのではないか。という気がする。戦後混乱期のカストリ雑誌の流れを汲む「エログロナンセンス系」とか、戦争賛美の解釈もあり得る「戦記物」とか。

そうした部分を見て「許せん!」といきり立つ人があったとしても、不思議ではないように思う。ゾーニングもテープ留めもない時代なら尚更だろう。その時代の「おとなたち」が、泥と花とを見分けるチカラ(aka.まんがの教養)を持たなかったとしても、特に責めるには価しないとも思う。

「おとなたち」には、「花を見出すチカラ」を育むための不可欠なプロセス、「乱読」をやる時間がないものだ。

◇◇◇
んで。「彼ら」は校庭でまんがを焼いた訳(悪書追放運動)だが、その校庭焚書て、GHQの影響ねぇかな。

  • 1946(S21):
    • GHQの指令で,「軍国映画」二万巻が焼却される(5月)
    • 北川千代三『H大佐夫人』,戦後の猥褻摘発図書第一号にカストリ雑誌の全盛
    • 映画『はたちの青春』(佐々木康監督)に日本映画初の接吻シ−ン(GHQは接吻シ−ンを奨励した)(5月)
  • 1948(S23)
    • 「赤本マンガ」の流行に対して非難の論調,週刊誌などに掲載(「赤本の手口を真似て少年犯罪が行なわれる」という言説も流通したらしい;
    • 『拳銃天使』(東光堂)でマンガ初のキス・シ−ンを描いた手塚治虫宛てには「こんな破廉恥なエロ・マンガを描く手塚は,子どもの敵」「アメリカ熱に麻痺した売国奴という手紙が送付されてきたという;
      • ※↑世間様がまだキスシーンに慣れて無い。
    • 大阪の「赤本マンガ」出版ブ−ムは,「赤本」叩きと貸本屋の増加のために翌年ごろには下火になりはじめる)
  • 1950(S25)
    • 「図書による青少年の保護育成に関する岡山県条例」制定(全国初の青少年条例,タ−ゲットは「エロ本」=「有害」図書,これが原型となり,51年の香川条例,52年の和歌山条例へと徐々に広がる)(5月)
  • 1953(S28)
    • 「性典映画」(自称「性教育」映画)のブ−ム頂点に,PTA・マスコミの非難が高まり,映倫は各社に自粛を要請
  • 1955(S30)
    • 東京母の会連合会,「悪書」を「見ない,読まない,買わせない」の”三ない運動”を提唱,「不良雑誌」を焼く(この団体と,「日本子どもを守る会」,各地のPTAが主な「草の根」の活動主体)(5月)

おそらく戦前の道徳観がものっそいイキオイで(崩れちゃマズい部分まで)崩れてった時期なのだと思う。併行して1945〜54年あたりまで、「アプレゲール犯罪」なるものが世間を賑わしている。

戦前の価値観・権威が完全に崩壊した時期であり既存の道徳観を缺いた無軌道な若者による犯罪が頻発し、彼らが起こした犯罪は「アプレゲール犯罪」と呼ばれた。また徒党を組んで愚連隊を作り、治安を悪化させた。このような暗黒面も含めて、「アプレ」と呼ばれるようになった。

こうした世相を背景に「我が子をアプレにしないために」的な運動が盛り上がるのは、理解できなくなくもない。いくらなんでも焚書はどうよと思うものの、「悪いメディアは焼くものだ」という前例は、ニッポンに民主主義をもたらした正義の使者様のなさりようだ。影響を受けて真似しようと言う向きもあっただろう。

◇◇◇
ゲゲゲの悪書追放運動は、母ちゃんたちが直に貸本屋にゆくだけまだマシだ。態度はファナティックでも体張っとる。よくも悪くも「草の根」だ。

東京都青少年健全育成条例(2010都議会-第30号議案)は、むしろコッチの系譜に近い希ガス

  • 1938(S13)
    • 内務省図書課が「児童読物改善に関する指示要項」を出し,「俗悪」マンガ絵本の浄化運動を行なう(41年の「のらくろ」の連載中止にまでつながる,また,「良質文化」をめざす文部省の推薦図書指定制度にも)(8月)

※発言者の肩書き、関連条文へのリンク追加、その他文字装飾オレ。

前田雅英部会長 首都大学東京法科大学院 教授
それでは議事を始めたいと思いますが、その前に、前回の専門部会で住田委員からご質問がございました、会議の公開、非公開についてなど、青少年問題協議会の運営について、先ほど資料1というご案内がございましたけれども、それに基づいて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇青山青少年課長
資料1をご覧いただきたいと思います。

 前回ご質問がございましたので、今回、「東京都青少年問題協議会の運営方針について」ということで1から4までまとめさせていただきました。

 青少年問題協議会自体の要綱におきましては、会議の公開、非公開について明文では定めた規定はありませんが、資料1でお示ししたものにつきましては、少なくとも情報公開条例制定以降の都庁内の会議の趨勢がほぼこの原則にのっとっているということで、これまでも実際これにのっとって会議を運営していたという原則を、今回、明文化いたしたものでございます。

 読み上げさせていただきます。

  • 1、会議。協議会は公開で行うものとする。ただし、協議会の決定により非公開とすることができる。また、公開する場合においても、東京都議会傍聴規則第11条に定める者については傍聴席に入ることができない。

 ということで、2枚目の紙に、東京都議会傍聴規則第11条その他関連の規定を出しております。

 要は、議事の進行を妨げるような方々については傍聴していただくことはできないということでございます。

  • 2、公開の方法。会議を傍聴しようとする者は、所定の書面に氏名、住所または名称及び連絡先を明記しなければならない。
  • 3、非公開の決定。副会長又は専門部会長は委員と協議の上、非公開について決する。
  • 4、会議録。協議会の会議録等は公開するものとする。ただし、東京都情報公開条例第7条に規定する非開示情報に該当する箇所を除く。

 ということで、こちらも2枚目に東京都情報公開条例第7条について書いてございます。

 5号の、審議の中立性を損なう、率直な意見の公開を損なうとか、そういったところを書いてございますが、基本的には、法令で定められている場合や、個人情報が含まれる場合、そういったものも非開示情報に当たりますので、そういった箇所は除くということになります。

 以上、運営方針についてということで、これまで暗黙の了解ということで従ってまいりました準則につきまして明文化したものでございます。

前田雅英部会長 首都大学東京法科大学院 教授
 ありがとうございました。ただいまのご説明についていかがでしょうか。何かご質問、ご意見ございましたら。

 手順が前後になってしまって申し訳ないんですが、会議の第1回目に準備ということが筋だったと思うんですが、よろしいでしょうか。

 加藤副会長から、28期今期の東京都青少年問題協議会の運営について、委員の皆様にお諮りいただきたいと思います。副会長、よろしくお願いいたします。

加藤諦三 副会長 早稲田大学 名誉教授
 ただいま青山課長からご説明いただいたようなことで、協議会そのものは公開ということになるわけですけれども、ご承知のように、総会と拡大専門部会、そして、われわれが今議論する専門部会、あるいはそれを起草する場合には起草委員会のようなものが設けられたりするわけですけれども、協議会総会と拡大専門部会はもちろん公開になるわけですが、専門部会の場合には、どちらかというと専門的なことを議論する場ですので、できるだけ静かな環境の中で議論するということと、外部からのいろいろな圧力があって発言しにくいというような環境ができないことが望ましいと考えております。

 そういうことで、協議会としては公開だけれども、28期については議事録は公開する、ただし、この部屋で議論する、この場に傍聴の方が入ってくる、で、何らかの圧力があるというようなことで、専門部会の中立性が侵されるということは好ましくないと考えます。

 ただ、ここで議論された内容は公開されますし、拡大専門部会で、この内容はさらに報告されて中間答申のようなことができたときは、もちろんそれを都民に公開して都民のご意見を伺うというようなプロセスを経ておりますので、専門部会の議論は中立性を保って、いろんな圧力を感じないで自由に議論ができるという環境が、28期の場合には望ましいのではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、そういうような形で議論させていただいて、会議録を公開させていただく。議論の中で、公開にした場合に、だれかからの意見が専門部会の意見のような形で外に報道されると非常に混乱することがあって、例えば僕が言った意見とか、前田部会長が言った個人の意見という形で正しく報道されれば問題ないんでしょうけれども、いかにも個人の意見じゃなくて専門部会の意見というふうになるとちょっとまずいですので、28期については非公開ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

んで、酷い台詞を吐き散らかして(彼等は本気で信じているんだなぁ)、出来た答申のパブコメ隠蔽して(表現規制について少しだけ考えてみる(仮)  パブコメを隠蔽する東京都)、しれっと「参考人」の肩書きで議会でご意見を述べられる(参考人の資格 - agehaメモ)。

私が一番注目したのは、この条例の諮問委員会の会長の前田雅英氏の話です。浅野委員の諮問委員会の議論の進め方についての質問に、1漫画家や表現者の意見を直接聞かなかった事は誤りだったと認めた事自民党の田中委員の即座にこの条例を通さなければ、重大な問題があるのではとの質問に、2直ちに重大な事態になるとは思わないとの認識を示した事です。表現者からも、議会として意見聴取すべきですし、問題点は時間を掛けてでも議論すべきと感じました。

つまり

  1. 第28期東京都青少年問題協議会は、その中立性に疑義がある。
  2. 直ちに重大な事態になる可能性が低いなら、議論の時間は取れる。

そもそも論で言えば、立法権は都議会の専権事項なのだ。そのための議事堂なのだ。「正義と正義の擦り合わせ」は、公開の場で「都民の選良」の手でやっていただきたいところだ。