サクヒンビジネスの原則(初号案)

※空想の産物。こうだったらオレはもっと嬉しいんだがという、願望コミ。

  • 零条:権利を手放すな。
  • 一条:自分以外は子供と思え。
  • 二条:サクヒンを売るなら、まず客をサクヒン漬けにしなければならない。
  • 三条:「価値の創造者」は生かさず殺さず。胡麻を絞るように扱うべし。
  • 四条:数が質を生む。
  • 五条:流通が圧倒的な力を持つと、「価値の創造者」に成果に応じた報酬が渡らない。
  • 六条:口が裂けてもコンテンツって言うな。
  • 七条:原則にとらわれるべきでないこと。

追加候補:

  • 大衆が好むものは三つある。新奇、新奇、そして新奇だ。
  • 今、この瞬間にもカモは生まれている。

P.T.バーナム?

  • 金の無い子は見たらあかんの!
零条:権利を手放すな。
  1. 価値の無い著作物というものは無い。
  2. 技術で喰ってる企業が「価値の無い」死蔵特許を軽々に放棄しないのと同様、それで喰おうというなら、著作権は生命線であり、決して軽々に譲り渡してはならない。
  3. 侵害者は、個々の事案毎に、個別具体的に突き止め、簀巻きにして墨田川に流すべきである。
  4. 解放すべき場合でも、個々の事案毎に、個別具体的に判断すべきものである。
一条:自分以外は子供と思え。
  1. エンターテインメントは、人々を「体は大人!!頭脳は子供!!」にする事で成立する。
  2. 子供だましが通用するのは大人だけだ。子供には通用しない。したがってサクヒンの内容において、妥協する事があってはならない。
  3. しかしそれ故に、部外者の意見は全て、子供脳から発したものかどうかを吟味する必要がある。
  4. また、子供には、与えすぎてはいけない。少な過ぎてもいけない。取れるところからは可能な限り多く取り、しかし、次に買う分のオカネと動機は残しておく事。
二条:サクヒンを売るなら、まず客をサクヒン漬けにしなければならない。
  1. 「音楽が無ければ生きて行けない!」なんてウソだ。そんなもの無くたって、誰も飢えないし、死なないし、繁殖さえする。
  2. ゆえに、「音楽が無ければ生きて行けない」人びとは、自らの手で生産し、し続ける必要がある。マンガであれば、あらん限りのスキマ時間を、ありとあらゆる種類のマンガで埋め尽くさねばならない。
  3. 前項の目的を達成する上で必要な範囲に限り、第零条の拘束は解除される。
三条:「価値の創造者」は生かさず殺さず。胡麻を絞るように扱うべし。
  1. "最善であれ、最悪であれ、人間は精神の血の輝きによって生きている。エンターテインメントは、その輝きを明らかにするためのものに他ならない*1"。
  2. 「価値の創造者」を、できるだけ長期に渡り、この精神状態に置く為には、与えすぎてはいけない。少な過ぎてもいけない。カネの無い者にはカネを、ステータスの無い者にはステータスを、両方充分な者には新しい挑戦を。
  3. 常に接触を怠らず、最良の状態にあるよう心を砕くべきである。
四条:数が質を生む。
  1. 傑作は、ゴミのようなサクヒンを山のように積み上げた果てに現れる。
  2. サクヒンの質的向上は、競争によってのみ果たされる。
  3. 悪貨は良貨を駆逐しない。客の目が確かになるだけだ。
五条:流通が圧倒的な力を持つと、「価値の創造者」に成果に応じた報酬が渡らない。
  1. DoCoMoが入り口メニューの順位をオークションにかけると言い出すと「サイト作成社」は「面白いサイト作り」よりも金策が重要になる。
  2. こうした事態を避けるため、サクヒンビジネスの従事者は、
    1. 自社で流通回路を持たず、版権の卸売業に徹するべきである。
    2. 圧倒的な流通回路が既にある場合は、その影響力の減殺に務めるべきである。
      1. この目的を達成する為に必要な範囲に於いて、前項の拘束は解除される。
    3. 全ての流通回路を自社の支配下に収めようとする試みは、決して成功させてはならない。
六条:口が裂けてもコンテンツって言うな。
  1. アニメはアニメ、マンガはマンガ、ゲームはゲームで映画は映画。これらに二つ名はなくそれ以上でもそれ以下でも無い。
  2. コンテンツは配管工の使う言葉だ。彼らに頼らねばサクヒンをお客に届ける事はできないが、配管工の愛と誇りと知恵と勇気はパイプの材質とプラントの稼働状況に向く。
  3. 中を流れるのがコーラであれ重油であれ、「コンテンツの価値」には向かない。
  4. サクヒンビジネスの従事者が口にすべきコトバではない。
七条:原則にとらわれるべきでないこと。
  1. 以上はあくまで原則であり、実務に当たっては断然、臨機応変あるのみである。
  2. 例えば、第二条が達成不十分な「ジャンル自体の黎明期」にあっては、第五条の制約は守るべきではなく、「川上から川下まで」を可能な限り自社で整えねばならない。ゲーム然りi-mode然り。

*1:マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust--排気(冲方丁)』あとがき