こまーさる君のATフィールド

 地デジの普及とともに、テレビ局は、テレビ視聴の機会を、テレビだけに絞り込むという発想をやめている点も興味深い。

 興味深いっつうか、パソコンやケータイや各種家電に「こまーさる君のATフィールド」を持ち込まれるとうざい。

 B-CAS/コピワン/ダビ10がほんとうに守りたいのは、「価値あるコンテンツを無料放送でCMで」というビジネスモデルだ。著作権など隠れ蓑にすぎない。ネットで矢面に立ってる諸団体はタマ除けにされてるようなものだ。著作権などなくて良い、などとは思っていない。ナニカを得る為には等価交換がサダメでありなくなったらエドもアルもありゃせん*1

 電通の市場規模予測では、2007のテレビ広告市場は約2兆。主な流れ先は、デンパク・キー局・チホウ局。三つ揃って「デンパキチ」と仮称。

  1. デンパク:「番組枠」を売る。「ネットセールス枠」といって、キー局とチホウ局のセット売りもある。大企業の本社がだいたい東京にあるので、東京で一括して売ってた方がお客も便利。この「商品」は大手広告代理店の寡占状態で、DVDを売りたいアニメ屋が直にキー局の放送枠を買おうとしても、代理店通さなきゃ買えない(既得権)。
  2. キー局:デンパクから回ってくるオカネで番組を作る。
  3. チホウ局:キー局製作の番組を放送すると、「ネットセールス枠」の取りぶんが入ってくる。おおむね経営陣に地元のセンセイが居る。

 この構造の中で、実際に「番組を制作」するのは制作会社なのだが、著作権はオカネをだしたもんが保持する(製作著作・○テレビ)。この立場を「製作者」と言う。製作社と制作社の給与格差は広く知られるところだが、『番組価値の創造者』は製作社ではない。

 つまり「デンパクの既得権」や「放送免許」や「著作権」は、土地所有権のやうな機能を果たしている。「デンパキチ」は2兆円用水ののそばに田を持つ「地主様」で、『価値の創造者』は小作人だ。そしてカネを出す「お客」は「コメの出来」などどうでも良い。米俵にくっつけた「広告」が一人でも多くの目に触れる事しか考えてない。当然に「地主」も「コメの出来」などどうでも良い。米俵が人目に触れればそれで良い。「デンパキチ」にとって、「コメの出来」はプライマリ・マターではないのだ。

 この構造で、『価値の創造者』に「成果に見合った報酬」が渡るかと言うと、とても難しいだろう。『よい番組』とは、繰り返し、何度も見られる番組の事だ。脊髄反射で納豆騒動を起こすような番組では無い。「価値あるサクヒンを無料でCMで」なビジネスモデルが「基幹放送」で在り続ける限り、『よい番組』が生まれてくる確率は低い*2

 どう動けば、よりマシになるのかよくわからないが、B-CAS/コピワン/ダビ10/そしてLE。これら「デンパキチのA.T.フィールドは、全て「価値あるコンテンツを無料放送でCMで」というビジネスモデルを維持し、保護し、強化する方向に作用する。これらを撃滅すれば、小作人は「逃散」か「一揆」か「新田開拓」に動く。

 「米のねだん」は上がるだろう。だがスカ米喰って納豆買いに走るよりゃマシだ。理想は、『価値の創造者』に「成果に見合った報酬」を渡すシカケ。繰り返し、何度も見られる番組を生む確率が高いシカケ。

*1:アルなのに無い(嬉)

*2:ないとは言わない