コクミンにB-CASを押し付けているのはダレカ?
この書き方だと、やっぱ筆頭株主NHKに目が向くんだけど。地味に違和感があった。
第9期(08年3月期)
費目 | 金額(百万) | 対売上比 |
売上高 | 9,869 | 100.0% |
売上原価 | 9,070 | 91.9% |
販管費 | 376 | 3.81% |
営業利益 | 421 | 4.27% |
同期のカード発行枚数は16,683千枚なので、カード一枚当たりの売上げ原価は544円、販管費が23円、営業利益は25円。
B-CASカードはソレ自体が金を生むものではないし、放送局としてはここで儲けようという肚もないだろう。それにしても原価率91.9%は、フツートンネルって言わねぇかと思った。
この90億円の行方はどこかと考えるに、やはり出資会社(子会社含む)との取引だろう。業務概要に『B−CASカードの発行・運用・管理と所有権の保持』とあるので、これやるには「B-CASカードそれ自体」をどっかから調達する必要がある。丁度ウィキペに、出資比率があった。
- | 株主名 | 出資比率 |
1 | 日本放送協会 | 18.40% |
2 | 株式会社WOWOW | 17.70% |
3 | 株式会社東芝 | 12.25% |
3 | 松下電器産業株式会社 | 12.25% |
3 | 株式会社日立製作所 | 12.25% |
3 | 東日本電信電話株式会社 | 12.25% |
4 | 株式会社スター・チャンネル | 6.50% |
5 | 株式会社BS日本 | 1.70% |
5 | 株式会社ビーエス・アイ | 1.70% |
5 | 株式会社BSフジ | 1.70% |
5 | 株式会社ビーエス朝日 | 1.70% |
5 | 株式会社BSジャパン | 1.70% |
株式会社 ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズの主導権は、売上げ原価の高さ*1と株主の出資比率から、東芝、松下、日立、NTTの4社が取っていると思われる。4社合計で49%。筆頭株主はNHKだが、東芝/松下の利害が一致すれば経営権は獲れるし、NHK+WOWOW連合でも36.1%。これも12.25%x3社(36.75%)で圧倒できる*2。放送機材の御得意様だからムリはしないだろうが、B-CASカードで儲けたいNHKではあるまい。むしろ、ここの儲けは好きにしていいから、そのかわりよろしくね、という事だと思う。
コクミンにB-CASを押し付けているのは、モノツク利権*3ではないか。
なお、カード1枚当たりの販管費は23円程度になるが、前記事の『カスタマーセンターにおけるユーザー登録はがきの発送』てのは、ここに入ると思う。カスタマーサポートの面倒をトンネル会社に押し付けてるようにも見える。ひらたくいうとこのおざなりなメッセージは、「派遣の連中にビシッといっときますわ」。というものに見える。
ついでにスラドに役員さんの職歴があったんでこれもちょっぱった。
(2008年6月末現在)
役職 | 氏名 | 役員履歴 |
代表取締役社長 | 浦崎 宏 | (元NHK総務局長、元NHK静岡放送局局長) |
代表取締役専務 | 吉永 弘幸 | (元WOWOW常務取締役・放送・事業統括本部長) |
取締役 | 鏑木 耕二 | (元東芝) |
取締役(非常勤) | 森 茂雄 | (NHK視聴者サービス局長) |
取締役(非常勤) | 奥村 直司 | (松下電器産業株式会社) |
取締役(非常勤) | 田胡 修一 | (株式会社日立製作所コンシューマ事業グループ コミュニケーション・法務部部長/JEITA) |
取締役(非常勤) | 関根 太郎 | (不詳) |
取締役(非常勤) | 岡本 光正 | (株式会社東芝執行役常務) |
取締役(非常勤) | 加藤 武夫 | (株式会社BS日本取締役) |
監査役 | 吉田 朗 | |
監査役(非常勤) | 宮本 敦浩 | (不詳) |
監査役(非常勤) | 佐藤 和仁 | (WOWOW取締役IR経理担当) |
追記:
・B-CAS社はただの「トンネル会社」、裏にさらに儲けている会社がある可能性あり
あくまでも感想だが、B-CAS社というのが「トンネル会社」になっている可能性がある。つまり、最大の利益を上げているのはB-CASカードを作っている取引先会社、あるいはB-CASカードに必要なチップなどを作っている取引先会社が黒幕という可能性が考えられる。B-CASカードの仕組みから考えて原価は相当安いはずであり、公開されている財務状況からだと明らかにカードの原価が高価すぎる。一番利益を出しているのはB-CAS社ではなく、カードを作っている会社ではないか。
現職税理士さんの感想。
行政改革で特殊法人作りにくくなったから支配業界巻き込んで偽装民間企業を
作っても、民間並みのコンプライアンスはなく、独行感覚だったってことですかね。
えーと……監査法人とか監査担当者の名前が書いてない公開フローなんて初めて見たんですが。
役員に監査担当とかいるけど、彼等が責任を持って作成したモノとは書いてないわけですよね?
しかも鉄壁の不透明さがあり、株主はカルテルの構成員だから突き上げる可能性はゼロ。
虚偽を書いてもバレることは無い。
……どーとでもなる、何の意味もないモノとしか思えんのですが。
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池田信夫さんの英文ブログで、別の意見を見つけました。