はてブ2.0(2008夏〜)

はてブは、08夏から大規模な改修に入る模様。

 新しいバージョンでいきなり全部を直そうとは思っていません。いま何のために作り替えているかというと、一番大きいのは、今後はてなブックマークを1年、2年かけて開発していくときに、開発しやすいように作り替えているんですよ。

 と、いう事なので、一気にリニューアルオープンというカタチではないようだ。最終的な理想は以下↓

 (*メディアとしての責任は*)感じていますよ。まだそこまで世の中に影響を与えるほど大きくないですが、むしろそういう影響を与えるメディアでありたいと思っています。はてなブックマークで登録されたサイトに多くの人をよこすからには、ちゃんと責任ある形で人をよこして、責任ある形で記事を見せていきたいです。
 
 すごく間違ったとんでもない記事が人気記事の1位になっていて、みんながそのサイトを見に行っているのに、その記事に対してカウンターとなるエントリーが飛んでこないという状態はよくないですよね。だから、間違った記事が上がってきてもいいんだけれども、それと同じぐらい、この記事は間違っているだろうという批判記事もちゃんと上がってくるというところまで総合的にやって、初めて意味があると思うんですよね。

サイバーカスケード

 自分は、現状のままでは「サイバーカスケード(wikipedia)」の起点になりかねないという危惧を持っているので、上記の方向性はありがたい。

サイバーカスケード (cyber cascade) は、インターネット上における現象のこと。集団極性化 (group polarization) の一種である。アメリカの憲法学者キャス・サンスティーンが提唱した。
 
インターネットには、同じ考えや感想を持つ者同士を結びつけることをきわめて簡易にする特徴がある。つまり人々は、インターネット上の記事や掲示板等を通じて、特定のニュースや論点に関する考えや、特定の人物・作品等に関する反発や賛美等の感想を同じくする者を発見することができるようになる。加えて、インターネットは不特定多数の人々が同時的にコミュニケートすることを可能にする媒体でもあるので、きわめて短期間かつ大規模に、同様の意見・感想を持つ者同士が結びつけられることになる。その一方で、同種の人々ばかり集結する場所においては、異質な者を排除する傾向を持ちやすく、それぞれの場所は排他的な傾向を持つようになる。
 
そうした環境の下では、議論はしばしばもともとの主義主張から極端に純化・先鋭化した方向に流れ(リスキーシフト)、偏向した方向に意見が集約される。そして、かような場所では、自分たちと反対側の立場を無視・排除する傾向が強化され、極端な意見が幅を効かせるようになりやすい。そして、小さな流れも集まれば石橋をも押し流す暴流となる道理で、ささやかな悪意や偏向の集結がえてして看過し得ぬ事態を招来してしまうことになってしまう。こうしてインターネットは、極端化し閉鎖化してしまったグループ(エンクレーブ enclave(飛び地の意)と呼ばれる)が無数に散らばり、相互に不干渉あるいは誹謗中傷を繰り返す、きわめて流動的で不安定な状態となってしまう可能性があるサイバーカスケードとは、こうした一連の現象に与えられた比喩的な呼称である。
 
サイバーカスケードにおいては、特定の個人が不特定かつ非常に多数の者から集中攻撃を受けるという事態(いわゆるブログの「炎上」など)、完全に誤っている情報が瞬時かつ大規模に伝播して受け入れられてしまう事態など、さまざまな危険性が指摘されている。

 太字部分は国交の薄い国家間でよくある*1

過去にホッテントリ入りした主な記事と、その所感。

●過去にホッテントリ入りした記事。
ホッテントリ入りの感想。

  • ●2番:牛乳有害説 - 2006/08/20 ageha was here
    • http://agehatype0.blog50.fc2.com/blog-entry-36.html
    • 掲載後、8ヶ月目にホッテントリ入り。毎日新聞の牛乳有害説紹介記事の感想。以前より、はてコメの一色ぶりに危惧を感じていたので、登録数の伸びが止まる前に「分かりやすいワルモノ叩き」を予防する文脈(蛇足)を追加。結果「テレビで来る客の期待」にそぐわぬモノとなり、数件の脊髄反射ネガコメ発生(削除済)。その後、この記者さんは農水省/農協体制の問題点に世間の目を向ける呼び水として、牛乳有害説を持ち出したっぽい事を知ったがフォローはしていない。現在でもgoogleで上位に来るようで、散発的にブクマ追加がある。
  • ○よくよく吟味いたすべし - 2007/04/23 ageha was here

 なお、自分の「地デジ問題」に対する基本スタンスは、3番の経験で固まった。発言の目立つ「著作利権団体」や「著作権そのもの」に批判が集中しがちだが、その事には疑念を持っている*3
 「著作権であればなんでも憎い」になってはゲーム脳と差が無く、地デジの後ろにある「モノツク利権*4」や「デンパキチ*5」が霞む。さらにその背景には「事実上の統治機構」とも言うべき明治以来の富国強兵オプティマイズドな構造、すなわち「行政と大企業が業界団体を通じて一心同体化し、ボトムアップで産業戦略をまとめあげるしくみ」があり、このシカケが、雇用形態の変化や下請け系列構造の崩れにより情報収集*6が不十分になっている。これが紛糾の原因だべと考えるに至った*7(たんにあまのじゃくなだけだったりして)。
 んなもん一介のエンコ厨の手に負えるもんではないので『はてブ2.0』には甚だ期待している。

日本のWeb起業家の特徴は「にえきらない事」。

 ひろゆきさんもそうだが、頭書のインタビューから伊藤直也さんのコトバを拾っていると、日本のWeb起業家は「にえきらない」。言う事もやる事も「あいまい」な印象がある。だらだらと柔らかいコトバでくっちゃべった後で「とおもうんですよね」「しようかなと」「おもっているんです」、、、だと思った。マインドマップをだだ漏れにしてるような。
 もちょっと整理つけてくれんかなと思うのだが、それぢゃ発想が止まるし、それでも芯はあるわけで。こうしたコトバでできあがっていく「空気」は、コトバでは捉えにくいのだけど、「事実上のビジョン」じゃないかと思った。今。

その他の方向性的なコトバ:

  • 『本来的にはブックマークした記事がちゃんと血となり、肉となりとするところまでユーザーさんをサポートしてあげられるようなツールだとすごくいいんですけど、まだそこまではできていないですね。はてなブックマークで手に入るものは、どこか断片的ですよね。本来的には1つの話題に対していろいろな記事を多方面から見られるようにしたり、あるいはもっと体系的な情報を得られるようなメディアが理想的なんですが、』
  • 『やっぱり情報というのは1つの話題に対していろいろな方向から見る必要が絶対あると思っているんです。プログラミングの記事だったら別にいいんですが、社会的な問題が何か起こったときには特に。』
  • 『もしかしたら、それはソーシャルブックマークではなくて、もう1つ別のメディアと組み合わせる必要があるのかなとも思っています。』

クオリティー問題(ネガコメで人にダメージを与たり、「はてなが怖い」と言われたり。):

  • 極端なブックマークやコメントを運営側に通報できる機能を追加。
  • はてなスター」を追加。これでだいぶ質が変わってきた。
  • 規約の整備。
  • それだけでは全然不十分なので、モデレーション的な機能も付けようかなと。

その他の課題:

  • 「○○さんがこのエントリーを面白いと思った」みたいなデータが大量に溜まっているのに、全然それを活用できていない。
  • 検索。はてなブックマークをよく使っている人は、以前に登録した記事を探そうと思ってもうまく探せないんですよ。
  • ユーザーインターフェースと、スピードの問題。

フィルタリングについて:

  • 基本的に情報をフィルタリングするのはよくないと思っています。それに対して、「そういうものを閲覧できる状態にしているのは問題じゃないか」という別のカウンターの情報が上がってきて、何らかの社会的な動きがあって、その情報が見られなくなるというのはOKだと思うんです。

*1:外交上は「国交断絶」で事実上の宣戦布告になるらしい

*2:もちろん自分が欲しかったというのが第一だが

*3:もともと理想一直線に冷たい

*4:パラダイス鎖国と言う方が穏当ではあるが、自分は「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノツクリ教」と言う

*5:デンパク・キー局・地方局。年間2兆のTV広告費をわけ合うナカマ

*6:情報分析=インテリジェンス以前の段階

*7:類例:水俣病、成田空港