レジャー白書2008記者発表文について

  1. asahi.com(朝日新聞社):若者レジャー「貧困化」 遊びの種類減少、支出に格差も - 社会
  2. 痛いニュース(ノ∀`):10〜30代の若者、遊びが「貧困化」。携帯、ネット、ゲームに時間使う若者増加 …レジャーにも「格差」が

 以下、レジャー白書2008記者発表文を再構成

////

平成19年は個人消費の回復もあり、前年の18年に比べ参加人口を伸ばす種目が目立った。

参加人口

 ※「この一年で一回でもやった事のあるものを答えてください」ぽいものがあり、それを集計したものを「参加人口」と言ってたと思う。

  1. 伸びたもの
    • “行楽系”の種目:「動物園、植物園、水族館、博物館」(対前年比340 万人増)など。(話題施設のリニューアルがあった)
    • “インドア系”の種目:テレビゲーム(同70万人増)など。(Wii等の新型ハードが好調だった)。
  2. 伸び悩んだもの
    • 遠距離の移動を伴う種目:「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉)」や「帰省旅行」等
    • 「宝くじ」:近年参加人口が続伸していたが、平成19年は対前年で370万人減と頭打ち。

市場規模の概観

 平成19年の余暇市場は74兆5,370億円、前年比では5.8%の縮小。これは規模の大きいパチンコ市場の落ち込みが反映したもので、それを除いた市場規模はほぼ横ばい。

部門 前年比 摘要
スポーツ +0.5% ゴルフ場・ゴルフ練習場が好調。メタボ対策として健康スポーツが注目された。
趣味・創作 −2.2% 一眼レフタイプのデジカメや、大画面液晶・フルハイビジョン対 応のテレビが販売台数を伸ばした。
娯楽 −8.5% パチスロ機への規制に伴いパチンコ市場が約4.5兆円減と大きく落ち込んだ。テレビゲームは好調が続く一方、ゲームセンターは苦戦。
観光・行楽 +1.0% ホテル業界や会員制リゾートクラブが堅調に推移。国内旅行は微減、海外旅行者数も減少したが、燃料サーチャージの上昇で見かけ上市場は拡大している。乗用車は、海外市場の伸びに対し国内市場の伸び悩みが続いている。

特記事項

「ニュー・レジャー」の市場規模
  • この10年で伸びてきている「携帯電話の余暇利用*1」「温浴施設」などをレジャー白書では「ニュー・レジャー」と呼称。
  • 「ニュー・レジャー」25種目の推計市場規模は10兆4,340億円。
  • 「潜在市場規模」で12兆円。
「選択投資型余暇」の時代

レジャー白書では余暇活動を91種目に分類し、定点観測している。

  1. 貧困化
    • 一人の人が1年間に経験する余暇活動種目数は、この10年で17.8種目から14.5種目に縮小。
    • 特に10代の若年層を中心に余暇活動の“絞り込み”の傾向がはっきり見られた。
    • 若年期の余暇経験の貧困化は、この層の中高年期における活動低迷につながる恐れがあり、将来の余暇需要の縮小が懸念される。
  2. 選択投資化
    • 一方、この10年で9割の種目が参加率の水準を落としたにも拘らず、年間平均参加回数が上昇した種目が6割。
    • つまり、“好きな種目にはいっそう盛んに参加する一方で、関心の低い種目への参加は控える”−余暇活動の「選択投資化」の傾向がはっきり認められた。
    • こうした消費者の志向の変化に対応した需要開拓戦略の転換が求められる。

////

余談

 余暇開発センター(現・財団法人社会経済生産性本部国際部内、余暇創研)は、高度成長期に「ミスター通産省」と呼ばれた佐橋滋氏が、退官後に天下った先。通常は事務次官までいきゃあ石油連盟あたりのトップに収まるものだが、異例。
 余暇開発センターを氏が設立したものかどうかは知らないが、他にも昭和40年代前半に引退時期を迎えた、つまり高度成長を主導した官僚*2の中には、「これからの日本人はもっと人生を楽しむべき」とか「江戸時代のようになっていくのがいいんじゃないか」などのビジョンを持つ人が見つかる事がある。
 個人的には前者は「残業あたりまえの社会は保たない」、後者は「三百諸藩それぞれがリスクを取ってイノベーションに挑むシカケ」と理解している。

*1:ケータイに限らず「エンターテインメント要素」を切り分けて捉えようとする姿勢は、他所ではあまり見られない。

*2:ありていに言えば、団塊の世代はこの世代が敷いたレールの上を走っただけという見方も存在する