コンテンツとインフラの分離2

 もし「安価な放送」で「録画は有償」という回路が充分に育てば「価値あるコンテンツ」は、無料の地上波に流すべきでない。または、可能な限り後回しにすべき。これをやるなら、製作(著作権保持)と放送(映像の伝播)は分離しているほうが、やりやすいだろう。

 できれば別資本〜〜純粋放送会社(電波免許)と純粋製作(著作利権)が望ましいが、企業文化さえ適切なら、別会社でもよい。

  • CDプレイヤーを作って売る一方で、音楽レーベルもやってます。
  • DVDプレイヤを作って売る一方で、映画会社もやってます。

 みたいな事例は少なくも無い。「テレビビジネス」では伝播回路が物理媒体(テープや光学ディスクなど)ではなく電波であるため、「電波の希少性(限られた免許数)」で新規参入が難しかった。しかしこの参入障壁は、CATV、衛星放送、光ファイバー、トドメの放送波のデジタル化、で敷居が下がりつつある。

 もしも「テレビ局(無償/有償/ハイブリッド)」が増えれば、つまり、一家庭で受信できるch数が増えれば、「テレビ番組」も「繰り返し、何度もあちこちの局に売れるのが良い番組」になってくんではないだろうか。これは少なくとも「シチョーリツが全てです!」「テレビは放送で見るものです!」よりは、「繰り返し、何度も見られるのが良いサクヒン」に近い。

 エンコで遊ぶのはやりにくくなるだろうが、お気に入りのマンガが使い捨てのように費消されてゆくよりはいいだろう。

 しかしながら、国内で作られる映像は、時間にして9割以上が、テレビ局が製作・著作として著作利権を持っていると言う。であれば、当面は「過去の蓄積*1」がものを言う。テレビ局はこの「資産」を存分に使って「新参者」を抑え、有料放送の主導権を獲りたいところだろう。

 と、書いてみて、B-CASの核心は、圧倒的な存在である「既存のTV資本*2」が「今後とも基幹放送で在り続けるために」なんではないかと思った。つまり、「既存のテレビ局」が「多チャンネルな世界」に軟着陸できるようにするためのパラシュート、みたいな。

*1:保有ライブラリだけでなく、業界構造、無料の娯楽に慣れた視聴者や、それを喜ばせるノウハウ

*2:NHK+民放