フェアユースの検討場所を一本化できんのか。

  1. 2008/10/01:フェアユース議論、権利者の意見も反映を〜JASRACら要望書 - INTERNET Watch
  2. 2008/10/01:海賊版DSソフトのダウンロード違法化求める声も〜著作権分科会 - INTERNET Watch

 1番は首相官邸。2番は文部科学省文化庁。十中八九、連動はしてない。他に、総務省経済産業省もこの問題に無関心ではないはずだ。

  1. 首相官邸知財推進計画(国益の振興)
  2. 文化庁:文化≒著作権者の利権保護(主に著作利権)
  3. 総務省:通信/放送事業の振興(主に電波利権)
  4. 経産省:産業の振興(主にモノツク利権)

※2〜4番はそれぞれ、所管の公益法人天下り先)を通じて、担当業界の利益代表という側面を持つ。

 知財推進計画じたいがレーガン政権の後追い(プロパテント政策)的な色彩を帯びるものの、やらないよりは良い。

 しかし、いわゆる「縦割り行政のスキマ部分」というか、省庁編成があんま知財推進に向いてないというか、このままだと船頭多くして山に登っちゃうの類いではないか*1

 この分野が「既存のデカイ業界の草苅り場」になってしまっては、ちょいとバランスの悪い事になるだろう。

 国政調査権をタテに、国会で独立調査委員会とか作れんのか。

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なお、JASRACらが提出した要望書(PDF)の内容は以下の通り。

                                平成20年10月1日
内閣官房知的財産戦略推進事務局 御中
 
                  要 望 書
 
 日頃は著作権問題に関して、格別のご高配を賜り感謝申し上げます。
 
さて、内閣官房知的財産戦略本部に設置された「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」では、「日本版フェアユース」なる概念について数度にわたる議論が行われ、目下その法制化に向けて10月を目途に一定の取り纏めが行われると聞きました。
 
 しかしながら、当該調査会には、かかる法制化により大きな影響を受ける権利者を代表する立場の者が構成員として参加していないばかりか、権利者あるいはその関係者に対する意見の聴取すら行われておりません。
 
 「創造」、「保護」、「活用」は知財計画の重要な柱と認識しておりますが、権利者が不在のまま「活用」ばかりに話が及ぶとすれば、甚だ公平さに欠けた運営と言わざるを得ません。
 
 つきましては、権利者が参加したうえで、その意見を十分反映できるよう、改めて議論されることを強く要望いたします。
 
 なお、他の調査会等におきましても、同様のご配慮をいただきたくお願いいたします。

 全1ページ。ぽっきり。

 提出者は連名で、

  1. 社団法人 日本音楽著作権協会
  2. 社団法人 日本芸能実演家団体協議会
  3. 社団法人 日本レコード協会
  4. 社団法人 日本音楽事業者協会
  5. 社団法人 音楽出版社協会
  6. 社団法人 音楽制作者連盟
  7. 日本音楽作家団体協議会(サイト見当たらず)


 これら*2が『構成員として参加していないばかりか、権利者あるいはその関係者に対する意見の聴取すら行われておりません。』というのは、いささか片手落ちの感がある。『なお、他の調査会等におきましても、同様のご配慮をいただきたく』というのは、総務・経産絡みの会議体を指すと思われる。

 もしも、主務官庁がそれぞれ好き勝手な絵を描き、それに沿う結論がでるような人選で各種の会議体で「検討」しておれば、混乱が深まるのが普通ではないか。

*1:それはそれでスゲェけども

*2:おそらく全て文化庁が主務官庁の公益法人と思われる。「パワーバランス」という事であれば、経産・総務傘下の業界と比べれば塵芥のようなもんだろう。