コデラさんの「コンテンツ学会 設立総会・シンポジウムレポート」コピペ

 http://blogmag.ascii.jp/kodera/2008/10/11143355.htmlを見たら丁度、3:38 リアルタイムでログを更新できるツール、Cover It Liveのテストを行ないます。という事をやっていたのでコピペ。

コンテンツ学会設立総会・シンポジウム」摘要

設立趣旨

 近年、デジタル技術の発展によるメディア環境の変化に伴い、コンテンツ分野に対する関心は急速に高まっています。それに合わせ、社会科学、人文科学、工学をはじめとする各学術領域において、関連する研究の蓄積と公開が徐々に行われ始めている段階にあります。
 
 しかしそれらの活動は、現状においてコンテンツ分野を専門的に取り扱う中心的基盤が存在しないためにきわめて分散的な状況にあり、人材の交流と育成、学術的水準の向上に不可欠となる透明で統合的な評価指標、そしてその成果の実社会への還元等の観点から見て、未だ十分な水準に達してはいません。今後、社会・経済全体の中でのコンテンツの持つ重要性が更に増大していくとすれば、コンテンツ分野を支える知的・人的基盤を継続的に強化していくことは不可欠であると言えます。
 
 こうした問題意識に立ち、我々はコンテンツ分野を総合的に取り扱う新しい学会、「コンテンツ学会(仮称)」を立ち上げることと致しました。本学会は、コンテンツ関連の緒問題に関する学術的研究の推進や人材育成に加え、表現の創出、技術の開発、ビジネスモデルの設計、政策の立案等を通して、創造社会の実現に資することを目的とします。

 以上公式サイト(コンテンツ学会設立準備会)より。その他、設立発起人リストなどは公式サイト参照。

会長挨拶 - 堀部政男氏(一橋大学名誉教授)- 4:07

  • 50年近く研究生活一筋でやってまりましました。コンテンツに関わる問題についてもかかわってきた。
  • 70年代から情報をどう捉えるか。情報法という分野を立ち上げてきた。君は若いので情報というのはいい言葉ではないと言われていた。戦前はスパイが扱うものだと言われて、なかなか使えなかった(1)
  • 70年代から徐々に使えるようになってきた。情報は最近はごく当たり前のことになっていた。
  • 個人情報保護もプライバシーという外来語で表現してきた。90年代半ばに制度化するときに、もう少し客観的にとらえて「個人情報」とした。
  • 85年に通産省で個人情報保護で検討を始めた。89年にガイドラインを策定した。
  • 金融でも関心を持ち始め、そこでもとりまとめを行なってきた。
  • 郵政省でも90年代に情報保護をまとめていった。
  • 住基ネット導入にも関わった。改正法案にも。プライバシーの侵害の可能性もあるとして、個人情報の概念を入れていった。
  • 今回コンテンツとなると、情報という言葉が70年代にやゆされたが、かなり理解が進んだ用語である。
  • 単数形のコンテントという言葉は60年代から使われてきていた。
  • 90年代半ばにインターネットの普及、そのころからコンテンツという言葉は広く使われていった。
  • 04年に議員立法で「コンテンツ」促進法」が成立。その頃からコンテンツという言葉が法に現われてきた。
  • 法で言うコンテンツとは、映画、音楽、写真、アニメーション、色彩、音声、動作、これらを組み合わせたもの、それらを電子計算機で表現するプログラム。人間の創造的活動で生み出されるもののうち、娯楽に属するもの。
  • コンテンツ学会はそれにこだわらず広く扱っていくべきであろう。
  • 新しく生まれたばかりの学会、皆様で協力して発展に努めていきたい。

(1):「情報」という用語の歴史と混乱の経緯は『情報小論 - 小野厚夫(1994)』に詳しい。より簡略化したものは情報と情報資料 Fraternity7

設立趣旨説明 - 金正勲氏(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授)- 4:18

  • 趣旨朗読。公式サイトを参照のこと。
  • 本学会名は、デジタルコンテンツ学会ではない(1)。人間の表現活動の産物は、経済的価値だけではなく、芸術的、社会的価値を持つ。
  • 90年代、2000年代にさまざまな取り組みを行なってきたが、学会の役割はゼロであった。
  • 仕切り直しをするつもりである。日本特有の場を読むということが行なわれている。この場では形式主義権威主義を排除する。
  • 個人会員には、既存の学会はサービスの概念がない。コスト意識も。我々は一年に48回の議論を予定している(2)
  • 民間の政策審議会の仕組みを取り入れていく。
  • 学生のインターン中心に学会を回していく。この学会自ら学生を教育し、人材育成の場とする。
  • 誰とでも協力し、けんかをする、交渉力を持った組織にしたい。これを実証するには行動で示すしかない(3)。ともに社会の未来のために、協力いただきたい。

(1):手許では「コンテンツの本体」はどこか遠い形而上的な世界にあり、マンガやアニメやゲームはそこを覗き込む「窓」のようなものではないかと考えている。窓を開いた者は、見料を取って見世物にしたり、あるいはロハで見せたりする。「窓」がデジタルであるかアナログであるかは、大きな問題ではない。
(2):ここで言う「サービス」とは「公共への奉仕」という意味だろうか。「学問」としては未分化な状態なので、広く一般から参加者を募り、意見を戦わせようという事であれば喜ばしい。設立発起人リストの幅広さに期待したい。
(3):例えば、地デジを巡る4極対立などは、どれか一極の主張だけでは「望み得る最善」には到達できない可能性がある。

原口一博氏(民主党衆議院議員)ビデオメッセージ - 4:25

  • 今こそコンテンツが重要な時代。こういう学会がスタートしたことを喜んでいる。
  • メディア環境が変化してきた。自分たちのクリエイティビティを前の人に上書きしていく。集合知を応援していきたい。
  • あらぬ規制との戦いがある。法律や政策提言でがんばっていきたい。
  • 人材の育成を期待している。

村上敬亮氏(経済産業省商務情報政策局 メディア・コンテンツ課課長) 挨拶 - 4:32

  • 中立的な意志で立ち上がったのは大きな成果である。
  • メディアコンテンツ課は産業の面からコンテンツを考えていくところ。
  • 論点紹介。96年にコンテンツ関係の記事を書いたことがある。コンテンツという言葉を一面で使うのは初めてだった。
  • コンテンツなのかコンテントなのかでもめたりした。今となっては笑い話。
  • 学会に至るまで大きくなったのは喜ばしい。残念なのは、コンテンツの定義が狭くなっている。もっと広くおおらかに使っていいのではないか。
  • まさにそれをブレイクスルーして欲しい。
  • ITの担当をしてきたが、大きな節目の時期に来た。コンテンツ課長となって2ヶ月半。
  • 音楽、アニメ、映画はこれまでのビジネスモデルが成り立たなくなってきた印象を持っている。
  • 昔は音楽産業といえばレコードという一次収入に依存していた。八百屋のかご商売と同じ。
  • これだけいろんなメディアがあると、流通媒体としてのレコードは一つの選択肢になる。出口がたくさんできてしまった。
  • 音楽産業は落ちているが、その原因はカラオケ。カラオケの落ち込みをひくと、1.5%しか下がってない。
  • 業界の重心が一次流通から制作者にちかいところに動き始めている(1)。いろんなところで既存のルールが通用しなくなっている。
  • 音楽自体のマーケットが狭くなっているわけではない。ただ投資や利回りといった考えで回しているのは少数。
  • どういうライフスタイル、どういう価値を取りに行くのか。ブツを中心に考える経済は古い。どういう経験ができるか(1)
  • 日本のソフトパワーにはとてつもない力がある。それに対する言葉を与えていくのが学会の仕事。
  • 関係省庁と力を合わせて、出過ぎぬよう、サポートできるようがんばっていく。

(1):「テレビ録画」に関して言えば、例えば出演者などはこれまで「再放送するなら、そのぶんのギャラは別途」というキモチを呑み込んで来たのではないか。そのキモチに答える契約体系を、放送局が作ってこなかったのではないか(cf:著作権ハードボイルド)。その事に気づかないまま、「録画機器」を普及させてきた矛盾が、「デジタル」を契機に一気に噴き出しているのではないか。

小笠原陽一氏(総務省情報通信政策局コンテンツ振興課課長) - 4:45

  • 流通政策。コンテンツは技術の進歩によって不便になったりストレスを感じたりしてはならない。基本はそこだと思っている。
  • 前よりふべんになったではないかというのでは、ユーザーに見捨てられてると消えてしまう。
  • 自分もユーザーだが、不便にも便利にも、激変している。秋葉の道行く人の機器はIT技術が現われている。その人たちから見捨てられては、それはせんないことになってしまう。
  • そこを視点にしてやっていきたい。
  • コンテンツは作る人あってのもの。クリエイターの話をよく聞くが、日本にいなくなってきている。
  • みとめられる人であるほど、日本で仕事するのがあほらしい。金額が2桁違う。こんな国でやっていてもしょうがないと言われる。ここ2年ぐらい。
  • どんどん日本からでていってしまっている。10年後、誰が番組、映画を作っていくのかみにつまされている。
  • 作り手が、適正なバックがないと思ってしまって、外国に出て行くようでは、それは結局日頃ユーザーに帰って行ってしまう。(1)
  • 日本で10年後もすぐれたコンテンツを作り続けていられること、しらねえぞ2011年、といった意見もある。
  • 学会に期待することは、ぜひITの利活用、学生世代の目線を一つでもおおく反映することこそ、役所に足りないところ。実際のユーザー、普通のユーザーがサービス、技術、政策をどのように考えているかを取り上げる学会であってほしい。

(1):『流通が圧倒的立場に立つと、価値の創造者に成果に応じた報酬が渡らない(サクヒンビジネスの原則五条)』。家電販売店が一社しか無ければ、販売をタテにソニーに特許を要求し、松下により安く作らせる、などと言った事も不可能ではない。CMで維持される無料放送と、国民の7割が払うNHKが「圧倒的な存在」である現状は、日本の映像産業にとって必ずしも好ましいものでは無いと考える。さらに「録画文化」と複合すると、混ぜちゃイケナイ洗剤を敢えて混ぜたような状態かもしれない。

大路正浩氏(内閣官房知的財産戦略推進事務局内閣参事官) 挨拶 - 4:55

  • コンテンツとブランドの担当。
  • 学会の設立は画期的なこと。03年にスタート、今年で6年目。知財立国の取り組みを進めてきた。
  • ITとコンテンツ、世の中で動ける方式、一つはコストかけない。もう一つは高く売る。
  • ITはコストをかけないという特性、コンテンツは高く売るという特性(1)。国家戦略の2つの柱と思っている。
  • コンテンツは14兆円産業。5兆円上乗せするという政策をとっている。海外、ネット進出は発展に不可欠。
  • 海外進出としては、我が国にはいいものがたくさんある。いいものがあるにもかかわらず、十分活用されていない(2)。それをどう海外に売っていくか。
  • 日本ブランドを分野を超えて世界にアピールしていく検討を行なっている。本年度のうちに策定、来年実現化する予定。
  • デジタルネット時代の対応した知財制度、著作権制度の見直し。フェアユースが一人歩きしているが、そうした必要性も含めて検討している。年内には結論を出したい。
  • スピード感を持って対応していく必要があると思っている。側面的支援をすることが仕事。主役は民間の活動である。官民の取り組みに加えて学が加わることは心強い。
  • 我々の政策に取り組めるよう考えている。

(1):ITの本質は「安かろう・悪かろう」と言って悪ければ、「安かろう・まぁまぁ」だと思う。映像に関して言えば、理論上の「画質」はフィルムが最強という事になる。デジタルの強みは、ありとあらゆる意味でのコストカットだ。基本的に製造業ではこれを活かして売価ダウンに直結できるが、サクヒンビジネスにはもともと「妥当な価格」というものが無い。取れるところでトコトン取っておかねばというバイアスが働きがちだ。てゆうか本能。なにしろ競争の激しい世界だし、お客は飽きっぽいからね!

(2):無料の伝播回路が圧倒的であること。そこに「録画文化」が拍車をかけていること。「サクヒン・ビジネス」は「シチョーリツが全てです!」とも「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノツクリ教」とも異なったメンタリティ(宗教原理)が必要な事。ある意味、この二者とは対立せざるを得ないが、著作権は、製造業にとっての特許権のようなものと考えれば、バランスを取る余地があるように思う。

山下和茂氏(文化庁長官官房著作権課課長) 挨拶 - 5:04

  • 日々権利者利用者のあいだをこづき回されている。
  • 芸術文化振興支援、芸術祭を行なう。アニメ部門も。国際文化交流など。予算額は多くないが、芸術文化立国としてやらせてもらっている。
  • コンテンツを紡ぎ出す人のサポート、裾野を作っていく。綺麗な花がさいたところはビジネスとして大きくのばしていくのが経産省、ユーザーに届けるのが総務省(1)
  • 利用、産業だけを議論するだけではないと聞いて、学会には期待している。
  • 基礎研究支援なども文化庁の仕事。議論の中で、先進国の常識として、国家に一定程度基礎研究をサポートしていかないと、国力を衰えさせることになる。
  • ノーベル賞受賞者の研究も、10年前からの取り組み。それが思わぬブレイクスルーを引き起こすものである。スポットのあたらねい研究が星の数ほどある。裾野を広く持つものが大事。
  • 文化も同じ面があるのではないか。パトロンの研究などはあまり進んでいない。それもこの学会で研究していただければ、我々も予算獲得しやすい。(笑)(1)

(1):登壇者の中で、最も遅れた認識という印象を持った。文化だ芸術だというと、ニンゲンは本能的に平伏してしまうイキモノだが、これを利用した「クレクレ君」には興味がない。たとえ好き勝手するためのオタメゴカシであっても『奇麗な花を咲かせる為の投資』という視点からスタートしなければ、金はなかなか集まらないように思う。

パネルティスカッション

バッテリ厳しいとの事で終了。