米技術専門誌が選んだ史上最強の軍用機とは? - Technobahn

1位 Fokker Eindecker*1 新ジャンル「戦闘機」の始祖鳥
2位 零式艦上戦闘機
なぜここに????
3位 B-29 新ジャンル「長距離戦略爆撃機」の始祖鳥
4位 AC-130 新ジャンル「ガンシップ」の始祖鳥
5位 A-10 新ジャンル「近接航空支援専用機」の始祖鳥
6位 AH-64 アパッチ 新ジャンル「戦闘ヘリ」の始祖鳥

零戦の位置づけがよく分からなかったので、それぞれの来歴をwikipediaで読んでみた。よーするにみなさん「新ジャンルの開祖」という事らしいのだが、そうなるとますます零戦の立場が謎だ。いくら登場時の性能が抜群だったとはいえ、「新ジャンルの開祖」や「世界の軍隊を変えた」というほどのものではない。

オリジナルは『米技術専門誌のポピュラーメカニクス』が『航空機の専門家と退役軍人に対するアンケート』から作成したという事だから、技術的観点から出来が良い、という事なのかも知れない。でもこれらの人々に「社会の中での技術」という観点が濃いと、「イノベーションかそうでないか」という切り口が入るだろう(好き嫌いで情緒的にアンケートに応えてる可能性は、考えない事にする)。
例えばエジソンの電球。評価軸が「技術的観点から出来が良い」だけだと、ガラス管の成形が巧いとかフィラメントがナニでできてるとか、そういった事が得点になる。いわば「カイゼン」だが、これは最新型が最強に決まってるんで、歴史的な評価をする際はあんま意味がない。
評価軸に「イノベーションかそうでないか」が入ってると、電力会社ができたとか、電線の敷設が進んだとか、コンセントの規格が決まったとか、オイルランプの需要が落ちて捕鯨産業が死んだとか。みたいな産業構造の変化、社会的影響のデカさが得点になる。
カイゼン」と「イノベーション」の線引きは、フォーカスをどこに置くかでいくらでもブレるが、この場合は軍用機だから「軍需産業の構造変化」「軍人さんや軍隊に関係ある人々への影響」に絞れるだろう。

例えば、一位のフォッカー・アインデッカーは、第一次大戦当時の相手国に「うわ、ウチラもはよ戦闘専用の飛行機つくらなきゃ!」とゆう影響を及ぼした。これで「飛行機会社の軍用機部門」や「軍用飛行機会社」ができたりした。ってことは「電気屋さんにとってのエジソンの電球」みたいなもんだろう。三位のB-29は、日本に「迎撃専用戦闘機」を作らせた。子孫のB52もソ連に同じ事を強いている。ソ連も「たくさんの(またはスゴくイヤな)爆弾を積んで、敵地深く侵入できる爆撃機」を作ったお陰で、世界各国の軍事戦略は、空軍に限らず陸海軍まで巻き込んで大きく変わった。
4位以下のみなさんも、軍隊の編成や装備、戦術、戦略などに大きな変化を強いている。例えばアフガンゲリラのみなさんが使う「歩兵が持ち歩いて射てる対空ミサイル」は、テロリストにも対テロ戦術にも不審船対策にも影響している。

これらに比べると零戦の波及効果は「もっと良い戦闘機をつくらねば!」というくらいで「イノベーション」という程のものではない。たしかに登場時の性能は抜群だったが、どちらかと言うと「既存の枠組みの中でのカイゼン」の部類だ。

それとも、アメリカの航空産業が「うわ、こっちもあれに勝てる戦闘機つくらなきゃ!」と思ったのが初めてだったという事だろうか?あれがナントカキャットやムスタング誕生に繋がったと考えると、アメリカの航空産業を飛躍的に発展させた、外せないマイルストーン。という事かもしれない。

いやでもA-10ならスツーカでもええやろって気もするけどなぁ....あと、ルーデルは自重しろ