XX有害論の三種の神器「友人・外・本」

【主張】携帯禁止 家庭でも厳しいルールを
2008.12.8 03:08
大阪府橋下徹知事が、公立の小中学校で子供たちの携帯電話の持ち込みを原則禁止することを明らかにした。
朝から晩まで子供たちが携帯電話を手放せない現状には歯止めが必要である。橋下知事の方針を支持したい。
文部科学省などの調査では携帯電話を持っている子供は小学6年で約3割、中学3年で約7割にのぼる。高校ではほとんどの生徒が持っている。
親が連絡、防犯用として持たせるケースもあるのだろう。しかし、多くの親は子供たちの使用実態を知らないのではないか。
携帯電話には通話以外にメール交換などができる便利な機能がついている。「日本PTA全国協議会」が今春発表した調査では、携帯電話を持つ中学生の半数、小学生でも約1割が深夜までメールをしていた。
1この調査では、メールの返信がすぐにこないと不安になるという子供が少なくなかった。部屋にこもり携帯画面ばかりみていては、学力にも影響する。橋下知事の危惧(きぐ)は当然だ。
持ち込み禁止に対し、「防犯上必要」など反対の声があるが、大阪府は「両親が働いていて安全確保のため持たせている場合」などを例外として配慮するという。
2そもそも学校の授業に関係のないものは持って行く必要がない。親がまず注意すべきことだ。
3携帯電話を通じ、性や暴力の有害情報に触れたり、犯罪に巻き込まれたりする事件が増えている4メールでうわさ話や悪口を送信し合うなど、いじめの温床にもなっている
石川県野々市町では携帯電話を持たせない運動に取り組み、非行防止などにも効果があった。新潟県妙高市は原則所持禁止を呼びかけるという。こうした地域ぐるみの取り組みは少数派だ。
政府の教育再生懇談会が今春、「必要のない限り持たせない」とする提言をしたときにも保護者らの反応は鈍くみえた。
5子供たちは、お互いの顔がみえないメール交換に熱中するより、友人と外で遊び、本を読むなどの時間がもっと必要だ橋下知事も「携帯から離れて自分の時間を使ってほしい」としている。
橋下知事の「禁止宣言」を機会に家庭も責任を自覚すべきだ。携帯電話を持たせるなら親が使用ルールを決め、守らせてほしい。

  • 1:これを「ケータイの問題」と捉える事に疑問。
    • 「第一印象」はケータイだが、それだけでどうこう言うのは拙速ではないか。『返信がすぐにこないと不安』は「話しかけても返事が無いとなんかイヤ」とどう異なるか、検討の余地がある。
    • 必要以上にぼんやりとした嫌悪感を煽る表現は、より重要な問題を看過させるリスクがある。
    • もちろんガキんちょが深夜までめるめるしてりゃあ、はやく寝なさいっ!!て事にもなろうが、それケータイあってもなくても関係ないし。
    • 取り上げようが子供部屋にゲーム・テレビ・マンガ本の一つでもありゃあ、夜更かしネタには事欠かない。
    • 上記は代々『部屋にこもりXばかり』のXに代入されてきたものでもあるが、08Q4現在、学力低下の主因とする感性は一般的ではない。
  • 2:ひとにめーわくかけなきゃいーじゃんよー。とおれの中の小学生がいってました。禁止には得難い教育効果があるのでそう反対でもないです。かいくぐる。裏をかく。屁理屈を編み出す。など、大切なスキルが身に付きます。禁止こそ最良の恩師とゆう気もします。
  • 3:これは対処すべき問題に思える。定量的な数字があろうがなかろうが、新手の問題には新手の対処、最低でも新手のココロガマエを編み出さねばならないし。主語は社会全体。理想は年齢別フィルタリングの充実、モバゲー掲示板など、個々のサービス提供者の努力、それらで追いつかない場合は(追いつかない可能性は低く無い)、アクセスし得る全コンテンツが管理され、勝手サイトに繋がらない小中学生向けMVNO、などであるように思える。
  • 4:ここは同意。例えば「ちょっと贅沢をしてみようと思っただけなのに : 生活・身近な話題 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)」などをみるにつけ、オトナだって「ネットのフンベツ*1」はまだまだだと思う。子供はもっとスゴかろう。ヤツらの辞書に「ヒキギワ」は無い
  • 5:マンガ・アニメ・ゲームなど、XX有害論の三種の神器「友人・外・本」。

XX有害論を唱える者は、過去の戦訓を学ぶべきだ。反対論など意味が無いというのではなくて、そのほうがよりマシなXX有害論になるでしょとわたしわいいたい。そのほうがガキどもの為になるでしょとわたしわいいたい。映画・テレビ・マンガ・アニメ・ゲーム。戦後だけでも事例が五つは拾えるじゃないのさ。

PTAってこのへんの戦史のこってナイの?先輩の経験値リセットしちゃうの?*2

クリア・アンド・プレゼント・デンジャーへの対処は別枠としても、愚図は嫌いだよ。

基本的に「ケータイの子供達への悪影響」は、その程度につき社会的合意ができていない。こんにゃくゼリーの窒息リスクよりもできていない。したがって規制圧力は最も厳しいレベルを指向するのが自然と思われるが、一律禁止は、利点も殺して「なかった事」にする事であり、リセットさんに叱られる。
しまった。むしろ叱られてぇ。

追記:

インターネット教育に対する提言を行っているアナリストで、一男一女の母親でもある、尾花紀子さんという方の『「IT時代の子どもたちへ」』という連載があるのを知った。持ち込み禁止令に関する記事は以下。

インターネット教育をずっと追ってる専門家さんと、一般紙の記者(もちろん、おいらのような一山いくらの匿名ブロガー)という以上に、テキストの練り込みが違う。結論に同意しかねる部分はあるけど、説得力が圧倒的に違った。

ただこれ、産経の記者さんが無能とかでなくて、

  1. デイリーという高クロックでなにがしかの出力を求められる新聞記者さんが、
  2. 「主張」や「社説」や「自分の意見」を、
  3. 社会に取って有用なレベルまで、熟成させてゆく事ができるのか?

と、捉えるべきだと思った。
通信社やケータイ配信級の短信記事に、専門家の解説記事へのリンクが2〜3個あれば、日常的なニュースとしては全然充分なのではないかという意見に、実感が涌いて来た。

*1:他の言い方を思いつけない

*2:おれは組織に於ける経験値承継の重要さを『俺の屍を超えて行け』で学んだ