フェアトレードはお好きですか?
2008年12月16日22時21分
農林水産省は16日、愛知県一宮市の食品加工会社「たけ乃(の)子屋」(森嘉仁社長)が1中国産のタケノコ水煮を国産と偽って販売したとして、1JAS法違反で改善を指示した。同社は熊本罐詰(かんづめ)(熊本市)など4社に中国産タケノコ水煮を販売し、国産として買い戻す手法で産地を偽装した。
偽装に協力したのは、熊本罐詰のほか、ぬながわ森林組合(新潟県糸魚川市)、出石缶詰(京都府木津川市)、甲木(かつき)フーズ産業(福岡県立花町)。熊本、新潟、京都、福岡の4府県もこの日、JAS法違反で、それぞれ4社に対して改善を指示した。
特に熊本産とされた商品には「竹林農家の皆さん」として3人の写真が掲載されていたが、3人とも農家ではなく、熊本罐詰の工場従業員だった。熊本罐詰の都五雄社長によると、たけ乃子屋から「農家として写真を撮らせてほしい」と頼まれたという。
農水省の調べでは、たけ乃子屋は昨年7月〜今年10月、2中国産のタケノコ水煮527トンと、自社の商品のパッケージを4社に販売。34社で袋詰めして「国産」に偽装された商品を買い戻し、4首都圏や東海地方のスーパーを中心に販売。フキやレンコン、ゼンマイの水煮でも中国産を混ぜて国産として販売。5偽装は02年ごろに始まったという。
- 1:ひでぇと思った。改善指示程度で済むものなのかという気がする。
- 2, 3:手が込んでいると思った。随分複雑な事をやっているなという気がする。
- 4, 5:う〜むと思った。スーパーやそのコチラ側に居る消費者の要望が、許容範囲を超えたんでないかという気がする(このケースでは02年頃に?)。
イ)仮に、現在の一次産業の従事者さんが「そうまでせな喰えん!」という状況にあると仮定する(続発してる以上、全体的にはたぶんそうだと思う)。
ロ)トレーサビリティなどは、もちろんあったほうが安心だが、イ)の仮定が正しい場合、「永遠のモグラ叩き」に終わる公算が高い。さらに、そのプレイ料金は、値上げか税金で賄う事になるが、そのカネの多くは、新手の事務屋に渡るだろう。ホワイトカラーちっくな雇用が増える面はあるが、「一次産業の従事者さんの苦境」には拍車を掛ける事になる。むしろ偽装工作の高度化、食の安全のさらなる劣化を産む可能性も考えべきだ。これは、他の「性悪説に立った厳罰化」でも恐らく同様だろう。
ハ)従って、悪事に手を出さんでも喰って行ける仕掛け、いわば「国内に於けるフェアトレードの推進」みたいな考え方が必要かと思ふ。このへん、つまり「安全・安心・信用にはコストが掛かります!それはキッチリ払うのが公正というものです!」と主張するのは、本来、生協とかの出番(というかむしろレーゾン・デートル)だと思うのだけど、ビジネスチャンスでもある。
二)「チャイナフリー意識が過剰に達してる可能性」も考えべきだろう。あるいは「一定のリスクを甘受せねばならない可能性」であるかもしれない。当然ながらメタミドホスとか喰わされてはたまったものではないが、食料自給率がカロリーベースで40%しか無い国では、輸入食料の拒絶は、最終的には飢餓問題に連結する。「中国産と書いてあるだけで売れない。でも実は偽装の蔓延でけっこう口に入ってる」状況は、いろんな意味でファンタジックだ*1。別に中国に義理はないが、輸入食料の信用回復は、当面のあいだは日本の国益でもある*2。
ホ)根本的には、食料自給率を上げる必要があるだろう。具体的にどうすれば良いのかは自分にはわからないが、半世紀で一次産業への就業比率が40%から4%まで落ち、さらに現在その6割が65歳以上という状態は、日本人の「一次産業リテラシー」を著しくダメにしていると思われる。例えば実情を把握せずに無茶な要求をする、など。
へ)参考
- 社会実情データ図録 Honkawa Data Tribune
- 寺島実郎さんのインタビュー(08Q4)
- 三國陽夫さんのインタビュー(08Q4)