で、結局ミンスは支持できるのか?
2009年3月5日21時24分
*1政府高官は5日、西松建設の違法献金事件について、「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題で出来ないだろう」と述べ、自民党議員に捜査は拡大しないとの認識を示した。民主党は小沢代表の公設第1秘書の逮捕を「不公正な国家権力の行使だ」と批判しており、政府高官が捜査の見通しに言及したことは、波紋を広げる可能性もある。
*2首相官邸で記者団に語った。自民党側では森元首相や二階経済産業相、山口俊一首相補佐官らが、西松建設OBが代表を務める政治団体から献金やパーティー券の購入を受けている。
イ)これを語った人は絞り込めるか?
- *1:『政府高官=各省庁の局長クラスのことが多い』
- *2:首相官邸で語ったのならそこの「局長クラス」なのだろう。
しかし、「局長クラス」といっても肩書きは「局長」ではない可能性が高い。
組織図を見ればわかるように、首相官邸というのは既存省庁では扱えない事をやる特殊部隊のカマタリだ*1。たいへんに臨機応変というか機動的というか、ありていに申しますと「組織としてはぐちょぐちょ」。場所が場所なだけに「官邸は別格」の可能性も高い。
例えば、ダイヤモンド・オンラインの『官邸官僚の前に潰えた独立行政法人改革のお粗末|2008年01月10日』に以下のような記述がある。
しかし、このときの渡辺行革相に対する霞が関の抵抗は前例がないほど執拗だった。財務省が新人材バンク案に反対する冊子を公然と配布しただけでなく、経済産業省は行革担当相の事務局である内閣官房・行革推進本部事務局に出向していた審議官を異動させ、後任を出すのを拒否。また、財務、経産両省は行革担当大臣室に出向させていた事務官を引き揚げるということまでしている。
『行革推進本部事務局に出向していた審議官』というのは、各省の局長と同列ではないだろう。少なくとも各省の大臣官房と渡り合えるくらいの威光がなければ勤まるまい。
ハ)小沢さんの持論はどういうものか?
そこで話を小沢さんの持論に振ってみる。
『【民主党解剖】第1部 政権のかたち(1)「小沢首相」は大丈夫か (3/5ページ) - MSN産経』から拾って見ると;
- 「3年間政権を維持すれば自民党と官僚内閣制はつぶれる」…。
- 100人以上の議員を政府に送り込むショック療法で政治主導の確立を唱える「小沢政権」
ハの1)「官僚内閣制を潰す」とはどういう意味か?
自分の理解では、『官僚内閣制』というのは、[業界団体→各省庁]のユニットが[派閥順送りで、短命で、あんま実務にくわしくない大臣]を、思い通りに動かす構造の事だ。これにより内閣は「議院の総意を受けて動く」よりは、「官僚の総意を受けて動く」度合いが高くなる。
ものの本によると、[派閥順送り・ダレでも一緒大臣]というのは、「当選回数に応じて入閣(させてあげる)」という自民党の派閥システムが支えているのだそうで。この「アメ」が各議員にとって「何度も当選しなければ!」という「ムチ」となり、それが「万年与党の議席数」に繋がっているのだそうで。
んでもって「族議員」というのは官僚内閣制のあちこちに取り付いて、官僚のお気に入りになったり、畏れられたりする事で、地元にオカネを落としたり支持業界に有利な法案を通したりで、票に繋げてゆくのだそうで。
....うっわー、よくできてんなー。と感心することしきりだが*2、これだと国会議事堂が「対業界または対地元利益誘導」でミチミチに埋まりすぎる。英語で言うと、ステーツマン(≒政治家)ではなくポリティシャン(≒政治屋)が増え過ぎる*3。
英国よりより良い絹糸、独逸より良いカメラ、米国より良いクルマをつくってりゃ「まわりまわってみんながゆたか」になれた時代はそれでも良かったのだろうけど、自分の理解では、そういう時代は30年ほど前には終わっている。
ハの2)「100人以上の議員を政府に送り込む」とはどういう意味か?
これは、各省庁の局長ポストのうち、主要な部署は抑えられる人数だと思う。というと、ついソ連や中国の「政治委員」みたいのを連想してしまうが、これは「上級公務員の政治任用」といって、自分の知る範囲では*4アメリカと韓国で特徴的なシカケだ。
アメリカでは大統領が変わると数千人規模で行政職員の首がすげ変わる。「上流だけ終身雇用」の韓国*5はやや違うが、大統領が変わると省庁編成がギタギタに組み変わり、ポストは残っても格が乱高下する。この二国は「大統領交代期」にビッグな政治的空白ができる。ひらたくいえば行政機関が浮き足立つというアキレス腱を抱える*6。
何事もスクエアかつパンクチュアルに進まねば気が済まないオイラとしては*7、それはちょっと困るなという気もするし、国民が直に行政の長(大統領)を選挙すんだから日本とは違うよう気もするが、実は議院内閣制というのは三権分立が曖昧なシカケなのだそうで。
立法府が行政府の長を選ぶというのは、立法府が行政府に優越してるとゆう事だ。したがって、もっとえぐい事もできるのがふつーなのだそうで。
考えてみれば選挙で選ばれた国会議員の信任を受けた内閣総理大臣というのは、言ってみれば「間接選挙の大統領」のようなもんだから、衆院選もないのに内閣総理大臣が変わる「与党」なんて、おかしい*8。
前段で述べたように、米国より良いクルマをつくってりゃ「まわりまわってみんながゆたか」になれるなら、餅は餅屋。グランドデザインは[業界団体→各省庁]のユニットに任せておきゃあ、「大臣なんて飾りです!」と言っておれる。むしろソチラのほうが、中国人の言う「一個日本人是虫・一群日本人是龍」が真価を発揮する。そりゃもー血湧き肉踊り24時間戦えます!ってくらい。
駄菓子菓子。日本の高度成長はとっくに終わっている。もはや「追いつき追い越せ」の時代ではない。試行錯誤が必要だ*9。それも十年単位のヤツを数セット。
二)で、結局ミンスは支持できるのか?
別に小沢さんが聖人君子だとは思わないし、農村バラまき案とか趣味的にどうもなってカンジだし、失言の性質もいろいろとぶっちゃけ杉でタチが悪杉だと思ってるし、印度の首相が来た時に風邪でドタキャンして「首相になったら多少無理してでも会う」てのはあまりにも不快だし、そもそも政治資金でつまづくなんて脇が甘過ぎてどーなのよとココロの底から思うのだけど。
- 官僚内閣制が減殺すれば「ほんとうの議院内閣制」の露払いになる。
- 上級公務員の政治任用を進めれば「ほんとうの議院内閣制」に近づける。
この二点はすんご〜〜〜〜く魅力的だとも思う。戦前の議院内閣制だって5〜60年かけてじわじわ成熟してったわけだし、戦後政治のシカケだって5〜60年かけてじわじわできてきたものだから、グラデーションのようにじわじわじわじわとしか変わらない話だとは思うんだけども。
少なくとも。省庁から出向してきた人に「天下り禁止法案」とか任すのは無理があるだろう。だっていずれは「親元に帰る」のだから。
ホ)結語
- 悪とよりマシな悪しか選択肢がないなら躊躇なくよりマシな方を選べ。
- 「望み得ぬ理想」に拘って時間を無駄にするな。
- 「XXなどあってはならない脳」に引きずられて時間を無駄にするな。
...とかなんとか、芝村舞ちゃんが言ってたよーなきがしないでもない。ガンパレおもしろいよガンパレ。
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追記
政府高官は6日、西松建設の巨額献金事件に絡み「自民党に及ぶことは絶対にない。金額が違う」との発言について「『検察がやることだが』と断ってから一般論として違法性の立証は難しいという文脈で話した。(自民党に)及ばないとの断定は私の本意ではない」と釈明した。(00:08)
- 政府高官=漆間官房副長官|辻雅之のだいたい日刊オピニオン 2009-03-07
漆間官房副長官は元警察庁長官なので、こういう発言が出たのかもしれません。本人としては「政府筋」「官邸筋」と書いてほしかったかもしれませんね。それなら政務方のほうも入るので、特定されなかった可能性が高いのですが……。
とはいえ、個人が掲示板の書き込みや自らのブログで、どんなことを主張しようがそれは自由だ。個人的には思うところはあるけれど、生きていくにはにはファンタジーも必要だろうから、いちいちとがめだてはしない。
ただ、次期政権の要と目される人たちが安易に主張してしまうてのはどんなもんなのか。少なくともあんまり頭よさそうには見えないのだけど。
別に現政権を積極的に支持するわけではないのだけれど、ああいう姿勢を見せられてしまうととうてい政権を任せる気になれない、という気分になってくる自分はどこかおかしいのだろうか。
*1:関係ないけど、藤原鎌足って「ふじわらのカタマリ」って読んぢゃう人いませんか?
*2:これはコレでうつくしいと思ってしまう俺ガイル。
*3:もちろん田中正造でも無い限り、ステーツマンとポリティシャンは、一個人の中に混在する。俺だって聖人君子ではないし、あんただってそーだろ?
*4:もちろん大して詳しいわけでもないでーすけどがー。
*5:アメリカ流の人材流動と日本流終身雇用のビビンパ状態。本人らは大変だろうが、在日大和民族としてはめちゃめちゃ参考になる。すんげぇ面白い。民族性も、基本的にはお父さん民族だかお母さん民族なので、嫌韓てのは同族嫌悪の一種て面もあるのジャマイカ。などと思う。
*6:4〜8年単位で政府が生まれ変わる(リ・クリエーション)のだから当然ではある。
*7:もちろんキモチとしてはですよ。ええ。木津千里さん萌え。
*8:鳩山さんっぽく
*9:マジで韓国の政治構造は参考になると思う。まずは袋麺(ラーメンの袋にお湯を注いでそのまま喰うという新兵の食事法)でもためしてみようか....熱そうだな、どうやってんだ?