日本の産業構成は、防弾装備の弱い零戦のようなものだ。
深澤 「草食男子」は「見栄消費」をほとんどしないんですね。
高度経済成長やバブル期を生きた世代にとって、「高い車」とか「大きいテレビ」とか「新製品の家電」という、他人に自慢できる「見栄消費」が大事でしたから。でも今どきの若者は、自分の生活が快適であることが大切で、見栄や自慢のために消費することはあまりないわけです。
これらが「見栄消費」かどうかは知らんが*1、景気変動には弱いだろう。輸出で見た場合、これらの商品群は;
という特徴がある。
過去10年の企業業績の好調は、ほぼ全量が1)に負う。
新興国とのコストパフォーマンス競争のため、日本製品は「高価格化」。同時に「低利益率化」
ひらたく言うと「モノツク利権」に富が集中」した。新興国の追い上げを躱すには仕方が無いのだが「プロジェクトXのドグマ」の蔓延は、妥当な範囲にセーブせねばならない。日本の産業構成が、これらに偏り過ぎているのは問題だ。
彼らは不況に弱い。「若者が車を買わなくなった」り、「思うように大型TVが売れなくなった」り、する。そのへんで気づいておればまだ良かったのだが、彼らは「サムスン品質で満足できない外国の富裕層」に集中して行った。
その結果日本は、08Q4金融危機に於いて、世界一GDPの落ち込みが激しい国となった*5。いわば日本の産業構成は、防弾装備の弱い零戦のようなものだ。
米国の場合、各種の「防弾鋼板」が、08Q4金融危機のダメージを減殺している。
「MicrosoftのOS」や「IBMのサービス」を除外しても、いろいろと「不可欠っぽい分野」に根を張り「容易には追いつけない存在」を持っている。1番〜5番は、言わば「知財で固めてインクを売る」方式だ。6番も資源採掘「権」や採掘「技術」であれば手の出ない話では無い*6。
「無資源国。だから加工貿易」と直結する理由は必ずしも無い。産業構成比の組み替えは一朝一夕になるのものでは無いが*7、「ハイテクハイテク日本はやっぱりモノツクリ教」は、脳を侵す。
今回の不況を脱した時、
tata nanoの欠点探しばかりでは「カローラはデカ過ぎるし、高過ぎる」の声に応えられない。世界シェアを失えば、スケールメリットが出ず、従ってコストダウンの限界が下がる。これでは「価格性能比競争」で生き残れない。移民を入れれば生き残りはするかもしれないが、それでは在日日本人の暮らし向きに資するところがない。
『自動車やデジタル家電』は『日本をけん引する産業』とは言うが、今後もそうと考える根拠を自分は持たない。「そうあるべき」という情緒はさらに無い。
「GDPを支える柱」がもう7〜8本は欲しいところだ。問題は「在日日本人の暮らし向き」だ。