「エコポイント」というには、ちとアンバランスな印象。

 地デジ対応テレビなどの購入費用を国が補助する「エコポイント」制度の概要がこのほど明らかになった。

 エコポイント制度は、政府・与党の「経済対策閣僚会議合同会議」がまとめた追加経済対策に盛り込まれたもので、省エネ家電製品普及策の1つ。

 ※1同制度の対象は、テレビ、エアコン、冷蔵庫の家電3品目。このうち省エネ性能を証明する「省エネラベル」で4つ星以上を取得しているグリーン家電を購入すると、販売価格の5%がほかの省エネ製品購入に充当できる「エコポイント」として還元される。また※2地デジ対応テレビを購入すると、さらに5%が上乗せされ、計10%分のエコポイントを獲得できる。買い替えの場合には、3品目ともにリサイクル料金に相当するポイント(平均3%)が付与される仕組みだ。

 政府では、同制度の財源として2946億円を見込んでおり、近く提出される2009年度の補正予算案に盛り込む方針。成立すれば詳細な制度設計が進められ、早ければ2009年夏にも導入される。

※1:電力消費御三家は、あかり・エアコン・冷蔵庫。

「エコ」を名乗るなら、LED/有機EL照明の普及策を含めて欲しいところだ。大量生産の呼び水にして一気に低価格化を進めれば、米独を突き放せる可能性がある。
日本はこの分野でも、技術の高度さはアタマ一つ抜けているが、低価格な量産技術に若干の懸念がある。例えば、有機EL照明の生産方式では、日本は「蒸着番長」で、GEは「印刷番長」だ。黎明期なのでまだ甲乙は付け難いが、原理的には後者の方が安く、早く作れる*1。印度の山奥だろうがアフリカのカドだろうが、あかりを使わぬ国は無い。
長期的な成長戦略はまた別途という事かも知れないが、「エコ」と言うなら、せめて白熱灯型蛍光管は加えて欲しいところだ。

※2:ハイビジョン、すなわち「大画面」の普及は「テレビ」の消費電力を押し上げる可能性が高い。

流石に今年の製品ではもう少しカイゼンしている筈だが、それでも。サイズによっては買い替えるより、既存のブラウン管TVにチューナを繋ぐ方が「エコ」であり得る。「エコ」が問題なら、チューナーにやや厚めに「ポイント」を与えるか、逆に一定以上の画面サイズの製品には炭素税を課すべきだろう。

またそもそも、「エコポイント」で「地デジ対応テレビ」を優遇する筋書きは、ややアクロバチックでもある。例えば以下の条件では [「省エネに気を使ったモニタ」+「チューナ」]という組み合わせが外れる。

  • a.『「省エネラベル」で4つ星以上を取得しているグリーン家電を購入すると、販売価格の5%』
  • b.『地デジ対応テレビを購入すると、さらに5%が上乗せ』

このへんは『詳細な制度設計』の段階で、よく詰めて頂きたいところだ。「エコ」が目的ならね。

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基本的に「エコ」は、長期的な成長戦略に組み込むべきものだと思っているので、「緊急経済対策」や「地デジ普及促進策」のお化粧に使うのはモッタイナイ気がする。あぶはちじみるから。
「手段の為に目的を選ばないタイプ」は、趣味的には嫌いぢゃないけども。

*1:印刷並みの速度を叩きだす日本の蒸着式生産もちょっと、いやメチャメチャ燃えるけども