ウルムチの暴動雑感

北京五輪前に起きたチベット暴動との違いで、気になっている事。

  • 08Q4金融危機の後。すなわち「全国的な農民工の大規模解雇の後」だという事。
  • スコップやら長刀やらを投げて回る漢族」の存在。

民族運動なら、なぜ今なんだ。チベットの時に便乗しとくなり、2010上海万博にぶつけるなり、そっちの方がオトクではないか。

 漢族はウイグル族など55の少数民族との融和と団結を求めており、差別などはない。一人っ子政策の適用除外など少数民族はむしろ優遇されている。改革開放政策で(経済的な)格差が生まれていることが不満を生んだが、例えば(漢族の)私の四川省の両親の生活レベルよりもウイグル族の方が高い。

そういう事なら。その四川からウルムチへ「出稼ぎ」や「移民」に出る「漢族」も多いのではないか。

改革開放政策は、ソレ以前の時代の「農村戸籍都市戸籍の峻別」までは手をつけなかった。理由は複雑なようだが、これまでの中国の経済成長は、主に「農村戸籍」を脱せず農民身分のまま「農民工」として出稼ぎにゆくしかない人々の「低賃金」で達せられて来た。上海でも北京でも、彼らは最貧層を形成している。

もしも「ウルムチを選ぶ農民工」が存在する場合、同地には以下の三枚構造ができている。

A層 富漢 行政/経営層 社会的少数派
B層 優遇ウイグル 一般ジモティ -
C層 貧漢 満州国における大陸浪人 数なら我々の方が多い
  1. 格差軋轢はAB間とBC間が存在する。BC間の方がデカイ筈だ。
  2. 民族差別もA2BとC2Bが存在する。C2Bは相当キツい筈だ。
    • A層は建前ダケでも「五十五族共和」言っといた方がトク。

もちろんウイグル族は漢族に含む所があって当然だが、それとは別に、「本来はA層に向くべき暴動が、差別意識と化合して、"優遇されている"B層に向かった」という軸もあるのぢゃまいか。

どっちがデカイかは知らんが。

なお、在日日本人とB層を見比べて「貧しい」ゆうても無意味と思われる。貧富の不満は常に「目に映る範囲の相対比較」で決まる。また、A層とC層を合算して「漢族が増えて多数派に」ゆうのは、数字的には間違いなくても、さして役立つ情報ではない可能性がある。

こうした複雑な問題を解決するに当たって、中国が国際社会の信頼を得るには、「メンツ」を賭けた自己弁護をやめなければならない。歪曲した先入観ではなく、率直に中国の事実を報道してほしい。さもなければ事態を一段と複雑化させるだろう。