わらぱち
今回の記事ばかりは、過去に書いてきた値下がりぶりとは、まるで違うと思っていただきたい。過去20年間のキャリアで、僕が経験したことのない、恐ろしいばかりの値下がりが始まっているのだ!
もちろん、買い時であることは言うまでもない。だが、単に安いというだけでなく、パソコン業界にパラダイムシフトが起こっている可能性すら感じさせるのだ。
長期的にPC製造で生き残ってゆくつもりがあるのなら、「平均価格帯はG20中流の可処分所得に照準し、G7では価格破壊を仕掛けて世界シェア」。コレをやらねば「良くてフェラーリ最悪ロータス」になるのではないだろうか。
コーチビルダー*1はT型Fordに勝てない。高付加価値・高品質を追い求めてラインナップを拡げるのと、「T型Ford」を発見するべくラインナップを拡げるのとでは、まったく意味が違う。
デューセンバーグ(Duesenberg )は1910年代から1937年にかけて存在したアメリカの高級車メーカーおよびそのブランド名。
(*中略*)
クラーク・ゲーブルやゲイリー・クーパー、グレタ・ガルボ、ウィンザー公など多くの有名人が愛用していたデューゼンバーグはこの時代の高級車の通例に漏れず、デューセンバーグ社はシャーシーのみを顧客に販売、顧客は自分の好みに合わせて、コーチビルダーにボディを架装させた上で納品されるというシステムだったため同じ車種といえど2台と同じデューセンバーグは存在しなかった。そうして完成した車は現代の車には求め得ない職人芸やエレガントさや壮大さが息づいている。ちなみに『モデルJ』の価格はシャーシーのみで8,500ドル(現在の100,000ドル相当)でボディまで含めると20,000ドル近くの代金が必要だった。当時の代表的大衆車フォード・モデルAの価格が500ドルだった時代の話である。
日本のPCメーカーがやってるのは、↑コレだ。
1908年に発売され、以後1927年まで基本的なモデルチェンジのないまま、1,500万7,033台が生産された。4輪自動車でこれを凌いだのは、唯一2,100万台以上を生産されたフォルクスワーゲン・タイプ1が存在するのみである。その廉価さから、アメリカをはじめとする世界各国に広く普及した。
ASUSやAcerやDellやHPがやってるのは、↑コレだ。さらに横合いからiPadが突っ込んで来る可能性もある。
多くの人は「ネトブはビジネスには使えない」と言う。自分もそう思う。だがそこで仕事のやり方をネトブに合わせて変えたらどうなる?「同じ仕事をネトブで充分こなす連中」がでてきたらどうなる?
もちろん現在は海外メーカーも試行錯誤の途上にあるし、そんな連中もいない。だがやがて発生し数を増してゆけば、彼らは「デューセンバーグ」を「浪費」と看做すだろう。
「わん・らっぷとっぷ・ぱー・ちゃいるど」という単語は、そういう意味で捉えておいたほうが良いように思う。