HYPE

タブレットコンピュータを作っているとアップルが公式に口にしたことは一度もない。しかしテクノロジー業界のものなら誰でも(ニューズウィークのこの私め Dan Lyons を含め)アップルタブレットがまるでホンモノであるかのように話題にし、記事にし、議論してきた。現実のいかなる製品より多く記事が書かれてきた。ブロガーもその長所や欠点について議論している。これぞアップルのすばらしくも奇妙な世界なのだ。しかし決して偶然ではない。煽っているのがアップルだからだ。アップルは iPhone についても同じことをした。iPhone が発表される1年も前からウワサが駆け巡り、そこら中にプロトタイプと称するフェイク写真が出回った。これこそ大げさに煽り立てるハイプ(hype)なのだ。新製品をミステリーとドラマのベールで包み込む。そうすれば実際に発表される段になると、ハイプのもとが何なのか確かめたくて死ぬほど欲しくなるというわけだ。

  • Mac OSX 附属辞書(英和)
hype/háip/
⦅俗語⦆名 詞
  1 詐欺, ぺてん.
  2 誇大広告;売り込み;大げさな報道;売り込まれる人[物]
    a hype artist|誇大宣伝屋.
動 詞•他動詞
  1 〈人を〉だます, 欺く.
  2 …をあおりたてる;…を興奮させる;…を誇大に宣伝する⦅up⦆.
形容詞
  すてきな.
hype/háip/
名 詞⦅俗語⦆麻薬常用者;皮下注射(針).
動 詞•他動詞⦅通例受身⦆…を麻薬注射で[を受けたように]元気づける[興奮させる].

煽っているのはAppleかもしれないが、ラリっているのは確実にオレラなわけで、かつ、踊るに値すると信じている。新製品で『1年も前からウワサが駆け巡』るような会社は、そうそう無い。他にはOfficeとWindowsくらいのものではないだろうか。

しかしアップルの素晴らしいところは、出す製品がハイプに応えるものであることだ。

OfficeとWindowsについては、これはない。Appleをクサそうと思えばいくらでもクサす事はできる。だが「それ以上の商品」が見当たらない事も確か。

現在市場には5つのバージョン(1.1、1.5、1.6、2.0、2.0.1)のAndroidを搭載した端末が混在しており、アプリ開発の際にどのバージョンまでサポートすべきかを判断するのが難しい状態になっている。

「えー、オレのぢゃもうふるいのー?」と泣きながら無数の商品から最新型を掘り当てるのと、猊下がポケットから取り出したピカピカの新品を探すのと、簡単なのはどっちか、ちゅ問題だ。
iTunesがなければ使えないiPxデバイスは、常時最新状態に保たれる。留まる事を赦されない。

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