日本だけ撤退、海外では継続。

ほうほう、日本だけ撤退、海外では継続ですか…え?なんで?と思ってよく読み直したら、有機ELを諦めるわけではないらしい。どうもネックは「ネット規制」であるらしい。

  • 昨年4月施行の有害サイト規制法に基づき、有害サイトの閲覧制限機能のないデジタル家電は今年4月以降出荷できなくなる
  • 有機ELテレビには、その機能を付けていない」閲覧制限機能を取り付けることも可能だが、「有機ELテレビは発売から2年がたち、需要は一巡した」(広報担当者)と判断。

ただ、有機ELテレビは「他社がまねできない、ソニーらしさの象徴」(ソニー幹部)。北米や欧州、中南米など海外市場では販売を続け、研究開発も進める。

どうも 日本は家電製品に対し、世界一厳しいイソターネット規制を敷いている 。らすぃ。
該当法令は以下と思われる。

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律

第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等
第十九条 (インターネットと接続する機能を有する機器の製造事業者の義務)
  • 1インターネットと接続する機能を有する機器であって青少年により使用されるもの(携帯電話端末及びPHS端末を除く。)を製造する事業者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込むことその他の方法により青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を容易にする措置を講じた上で、当該機器を販売しなければならない
  • ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない

下線1)は、ほぼ全ての家電製品をカバーし得ると思います。目先の事を言えばキンドルアイパッドですが、中高年を中心に人気のデジタルフォトフレームなどにもブラウザの入ったものがありますし、やや遠い未来には、「冷蔵庫にくっついた画面から、食べ物を注文できる製品」なども考えられます。いくらなんでも冷蔵庫で出会い系サイト見るヤツが居るとは思いませんがw。それでも、「きちんとしたフィルタリング*1」を付けるか、閣議で「これは特例」と免除してもらわない限りは、違法になるでしょう。

所感

日本には、日本固有の事情があります(例:世界一進んだケータイネットがもたらす社会問題)。ですから、日本固有の規制があってしかるべきだと思います。

しかしながら。
ろくすっぽ売れてもいない商品に退場を迫る規制は、実質的に青少年保護の効がうすい一方で、それをイノベーションと信じて頑張る人々の足をひっぱります。また日本固有の規制は、海外の安価な商品が入って来る事も妨げます。さらには、アイパッドキンドルなど、海外の革新的な商品が、ジャパン・パッシングを起こす可能性も考えなければなりません。

これらは、リスクだと思います。軽視するなら、青少年から未来を奪う事になりかねないリスクだと思います。

政令指定による除外」で、動きの早いマーケットについてゆく事はほぼ不可能です。内閣が制定する成文法で、情報革命の速度についてゆく事はまず絶望的です。これらについてゆけない社会は、自力でシアワセを掴む可能性が、すこし狭められた社会だと思います。

ひらたく言うと。草とりが手間だからと枯れ葉剤を撒けば、農業は死にます。有機もへったくれもあったものではありません。と思います。

*1:おそらくは官公庁の認可を受けたフィルタリング