メモ:現実歪曲フィールドと欺瞞的な広告
- コンシューマー・ユニオンは、1920年代に隆盛を極めた「欺瞞的な広告」に対抗するべく生まれた。その為の戦法が「消費者テスト」、その為のメディアが「コンシューマー・リポーツ」。
- 時期が時期であるがゆえに、彼らは非米活動委員会から「破壊的活動団体」に指定されている。「資本家に対し団結した消費者?UAWの隠れ蓑か??」という具合だが;
- 目標が目標であるがゆえに;
- 愚直もここまでやればホンモノだ。消費者守って70年。その間、彼らはチャップリンのように国外追放に遭う事もなく*1、UAWのように支持母体が減衰する事もなく、常に「消費者の忠実な番犬」であり続けた。もちろん「消費者の、消費者による、消費者のためのテスト」は先入観の混在を疑えるものだ(実際訴訟も多い)。だが、同じ事は「企業内部のテスター」や「広告主に義理や恩義のあるテスター」や「政治献金に忠実であり得るテスター」にも言える。消費者は「何よりも自分たちに忠実なテスター」を飼い、四者を並べて判断するのがよりマシだ(したがって訴訟も消費者のためになる)。スジは通っている。
- こうした活動と歴史のゆえに、彼らは米人の世界観の中で独自のオーラを纏っている。「消費者」と「消費者社会」を米国が初めて生んだ事を思い出させる縁(よすが)として。それをより良くするために、米国の消費者自身が、政府に頼る事なく自ら努力してきた事の証(あかし)として。
- この「消費者の、消費者による、消費者のための、連合」みたいな大上段なイメージは、多様な世代、多様な資質の米人に対し、水戸黄門の印籠クラスの力を持っている。だからこそAppleの株価は即応し、猊下もファトワだけでなく、異例の追加プレゼンで即応した(猊下のファトワ:「ジョブスの公開書簡」は、信徒と潜在信徒に動揺が走った際に、混乱を静める目的で発せられる。)。
- ただし彼らの技法「消費者テストで欺瞞的な広告を抑止する」もまた「現実歪曲フィールド」には充分ではない。そもそも猊下が売っているのは「万病に効く科学のチカラ」でも「一回で5年はもつ車のワックス」でも「業界一の金融商品」でもない。「莫迦には見えない服」だ。
- もとより「現実」は最低で三つある(現在・過去・未来)。もちろん「解釈」はもっとある。「真実」にいたっちゃ佃煮ができる。なにを以て「現実歪曲」と見なすかはイージーではない。
- ところで米軍内では『パワーポイントはクリティカル・シンキングや議論、そして思慮深い意思決定を阻害するとの声が(http://bit.ly/dyRPIp)』あると云う。…そりゃそうだろう。だってプレゼンてそれがもくいやゲフンゲフン。
- 元来プレゼンとは。事実の解釈を一つに絞り、望む未来を引き寄せる第一歩だ。したがって。『よけいなこと』は、忘れて頂かねばならない。不定形で不正確で不明瞭で不確実で言語化しにくいけど考慮すべき"事情"の類いは、意識の裡から消し去らねばならない。成功すれば、それが「未来の現実」になる。Future is Now !。でもホントはなうぢゃない。ほんのすこしだけ先にある。そうでなければ「望む未来」はやって来ない。その妨げになる事柄には、断じて瑣末であって頂かねばならない。
- 「プレゼンうまい」は香具師・詐話師・興行師が内輪で使う褒め言葉だ。プレゼン一つで意思決定すんのはただのカモ。『THERE IS A SUCKER BORN EVERY MINUTE.(P. T. Barnum Quotes』存分にカモって差し上げるのが本人の為だ。
- 笛吹き男が気に入ったなら、付いていけばいい。あたしゃ後ろのポッケが気になるタイプ。猊下は引退した裕福な慈善家でも、一山いくらの友愛主義者でもない。ビジネスマンだ。手の内ぜんぶ曝すカモでもない。世界一プレゼンのうまい男だ。
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- 『You can fool some of the people all of the time; you can fool all of the people some of the time, but you can never fool all of the people all of the time.(P. T. Barnum Quotes)』
*1:『モダン・タイムス』の好きな資本家なんていません!