11Q3原子力不安院サクラ疑惑 初報

経緯:

  1. 11Q3九電やらせメール事件を受け、国は他の電力会社に対し、7/29までに類似例の調査・報告を指示。
  2. これを受けて中部電力は社内調査を進め、同日、報告書を提出。
  3. 同時に寺田修一法務部長が本店で記者会見。
参考:時系列
07年7月 浜岡原発4号機でのプルサーマル計画を国が許可
   下旬 「サクラのシコミ」の口頭依頼。
   8月 浜岡4号プルサーマル計画・地元説明会(主催:経産省
11年3月 福島第一原発事故
   6月 九電やらせメール事件
   7月 原子力保安院サクラ疑惑発覚 

摘要:

  • い   つ:2007年7月下旬、同年8月に国が開催する浜岡原発プルサーマル計画説明会の直前、
  • ど こ で:
  • だ れ が:経済産業省原子力安全・保安院 → 中部電力に。
  • な に を:1.動員をかけろ。2.地元住民に賛成の立場で質問させろ。
  • な   ぜ:1.会場に空席が目立たぬように、2.質問が反対派ばかりにならないように。
  • どのように:口頭依頼。
  • 結 果 A:中電は、
    • 1.は応諾。同社員や関連企業に参加を依頼。
    • 2.は質問案を作成したものの、社内で逆に地域の信頼を失うと判断、拒否。保安院側は、「これ以上、国としては言えない」と受け入れ。
  • 結 果 B:07年8月の地元説明会(主催:経産省)。
    • 1.は参加約500人、中電から約150、協力会社などからの参加数は不詳。
    • 2.は質疑12人、すべて原発の安全性やプルサーマルに否定的な考え。

所感:九電やらせメール事件は「民間のしたこと」。原子力保安院は「国の機関」

九電やらせメール事件

「利害関係者の組織的動員」は、反対派も行う事であり*1、立場を問わず嫌悪感を産むものの、それ自体は「正当な権利」かと思う。しかし「九電やらせメール事件」は、

  1. 玄海に日本の原発の再稼働が掛かる」という文脈の下で「嫌悪感〜道義上の問題」が倍増した。
  2. 加えて、「それが会長・社長が知らないところで行われた」という「原発部門ガバナンスの問題」をも提起した。
  3. 1+2の結果「そうした組織に原子力を任せられるのか?」という懸念が生じ、各界から「言語道断・極めて遺憾」の合唱が起きた。

しかしコレでも「一民間企業の社内問題」に過ぎない。

原子力不安院サクラ疑惑

これに対し「原子力保安院サクラ疑惑」は、国家官僚そのものが胡乱な手段で世論誘導を図った。という点で、より根が深い。

  1. 原子力不安院じたいが「サクラのシコミを依頼した」と言える。
  2. 口頭なので、文書としては残らない。「規制権限を背景にしたお願い」である。
  3. 中部電力は部分的ながら抵抗している。原発村代官 VS 原発村百姓」の図。

大きく言えば。日本国の主権は国民にある。文"官"統制(テクノクラート・コントロール)は、統治権干犯問題を惹起する。安全宣言やストレステストなどの妥当性いぜんに、「こうした"ひとびと"に原子力を任せられるか?」という懸念が倍増するだろう。

シメ:やぶへびでありGK乙。

経緯を見るに、原発村百姓よりも、原発村代官の方が腐っている。したがって「九電やらせメール事件」が提起した「原発部門ガバナンスの問題」は、「国政におけるアトミック・ガバナンスの問題」に化けた。他電力の報告書以外にも、「原発百姓一揆内部告発)」が出る可能性がある。

*1:たとえ「会場外デモ」でも組織動員は組織動員である。