ゲーム屋の「違法コピー対策」は、最も洗練されたものになるだろう。

 17日に発売されたニンテンドーDS用ソフト『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』に、違法コピーに対抗するためのコピーガードが施されていることが明らかになった。音楽CDや映像DVDなどと同様に、違法コピーが多く出回るゲーム業界の中で、メーカー大手の「スクウェア・エニックス」が不法ユーザーに一矢を報いた形だ。

 『ドラゴンクエストV』は、92年にスーパーファミコン用ソフトとして発売され、社会的なムーブメントを巻き起こした大ヒット作。04年にはプレイステーション2に移植され、今回、様々な新要素を加えた形でニンテンドーDSに再移植されていた。

 そんなDS版「ドラクエ5」だが、発売日前日の16日前後からネット上に違法コピーデータが出回っていたという。この違法データをプレイした者のうち数人が、ネット掲示板に「オープニングに出てくる一番最初の船がいつまで経っても港に着かないんですけどどうすればいいんですか?」などと書き込んでいたのだ。

 この書き込みに対し、ネット上では「ついにメーカーがコピーガードを仕込んだか?」「いやいや、単なるバグでは?」など様々な憶測が流れた。

 噂について、発売元であるスクウェアエニックスの広報部に問い合わせてみると、「確かに、コピーだと船が港に着かないようになっています。違法コピー対策ということで、そういう仕様にしています」とのこと。スクウェアエニックスでは、今後も様々な形で違法コピーに対して厳格に対応していくという。

 ゲームの違法コピーに一番詳しいのは、ゲーム屋自身だ。この点は、音楽屋や映画屋と大きく異なる。たぶん開発現場に「バンバンやってました!」な連中が佃煮にするほど居る。または、現役で居る。善し悪しは脇に置く。「一部上場企業の社員としてどうなのか」とか言い出す阿呆も中にはあるだろうが、そんなには多く無いと思う。「世間体を気にする産業」としちゃ、まだ若いセクターに入るからだ。

 「ソフト開発力」では国内無双だろう。通信系や鯖系は弱いにしても、ハードウェアやアーキテクチャは「5年でリセット」がずっと普通だったし、近年ではプラットフォームの分散が著しい。これはただならぬ応用力を溜め込んだ組織という事だ。

 業績の変動が激しいのは宿命だが、スクエニバンナムカプコンコナミセガサミー、いずれも一部上場ではある。

 資金力、組織力、個々のスキル。彼らの「違法コピー対策」は、最も洗練されたものになるだろう。