資源の無い日本にモノツクリは向かない。

 日本が人的資源(くふうや才覚)で稼ぐには「モノというメディア」が不可欠だったから「モノツクリ大国」になったまでで、現在ではそれが唯一の回答というワケでは無い。「モノ以外で稼ぐ余地」があるなら、そちらを育てたほうが「資源依存度」は下がる。

 資源の無い日本にとって、モノツクリ一辺倒の「産業構造ポートフォリオ」は、本質的にリスクが高い。

 モノツクリで重要なのは絶対性能ではなく価格性能比だ。この点、中韓台の伸張は著しい。その後にはインド・ブラジルが控えている。「現状は快適メンタリティ」で「パラダイス鎖国」に引きこもったところで、『日本のモノツクリ』はフェラーリランボルギーニで済めば御の字だろう。

 ただし、これがハッキリ数字に現れ、誰もが実感を得るには、おそらく40年〜今世紀いっぱいかかる。

 まだ余裕のあるうちに「日本の産業構造ポートフォリオ」に、よりモノ依存度の低い「工夫産業」を組み込む必要があるのだが、以下の三っつが阻害要因となる。

  1. 富国強兵/高度成長が前提の省庁編成。
  2. 省庁単位の公益法人、およびその類いの群れ。
  3. 既存の大企業群。

 サクヒンの製制作(マンガ/アニメ/ゲーム)、ソフト専業(OS/アプリ/Webサービス)の2セクターにとっては、この「三位一体の既得権益ファミリー」が阻害要因となる。ひらたく言えば「おいしいとこだけつまみ食い」して取り込もうとする*1

 他に、「来日観光客主体の観光」と「文化と一体化した日本食の輸出」も柱になり得るが、前者には空港整備(国交ファミリー)が取り付いているし、後者には、バラマキ農政(農水ファミリー)が取り付いている。この2ファミリーは「東京のオカネを地方に持ってくるベクトル」が主軸になっている。

*1:経産・総務と文化庁が対立するのはある意味自然