深夜アニメに関して言えば、接触機会(ウィンドウ)がバリエーションに乏しい。

  1. 初公開がTV:圧倒的な『伝播回路』。無償。
  2. 次に光学ディスク:第一の収益回路。有償。
  3. 最後に光学ディスクレンタル:第ニの収益回路。有償。

 前者が視聴/録画とも無料なため、光学ディスクの売上は限られる

 DVDリッピングや動画共有が埋めているのは、この三つの間にある『スキマ需要』だ。もちろんこれは『価値の創造者に成果に見合った報酬』が渡らない。『スキマ需要』を分解し、ひとつひとつを有償無償の伝播回路で埋めてゆけば良いのだ。

 番組単位でコピーネバー/コピーワンス/ダビング10を指定できれば有償回路の売上向上に寄与するハズだが、なぜかそれは実現していない。

 突破されたとはいえ折角のB-CASだ。『焼き増し』のように録画代を引き落とす事も不可能ではないハズだ。これで放送局が『引き落とし代行手数料』を取れば『シチョーリツが全てです!』の世界に『繰り返し、何度も見られるのが良いサクヒン』が混じってゆくハズだと思うのだが、なぜかそうなっては居ない。

 動画共有が埋めているのは「見逃し視聴」だ。単純に放送直後に30日程度のWeb配信をすれば、そこで広告収入を得る事もできるし、その場でDVDの予約/販売CMも打てる。有料配信だからといって広告抜きでなければイケナイという事もないだろう。雑誌は有料だが広告が入っている。「無料で全話お見せします、ただしID管理で一回こっきり!」でもよろしいように思う。だがなぜかそうなっては居ない

 DVDにせよ、BDにせよ、同じ技術を業務用のセカイと消費者のセカイの両方に売れば、モノツク利権は儲かるだろうが、著作利権にとっては悪夢でしかない。ハリウッドがBDとHD DVDを噛み合わせたという噂があるが、自然だろう。『流通が圧倒的な立場に立つと、価値の創造者に成果に見合った報酬が渡らない』からだ。