著作利権者は、価値あるサクヒンをB-CAS系に流すべきでない。

  1. 現状のB-CASを続ければ続けるほど、コンテンツの流出は拡大する一方な情勢*1
  2. リーガル・エンフォースメントとか言ってる暇ないと思う。それでなくても紛糾する事が目に見えている。悠長すぎる。

 著作利権者は、価値あるサクヒン(間接的な経済利得が残っているもの含む)をB-CAS系に流すべきでない。

 その一方で、「安全な」有料の放送回路の醸成を急ぐべきだ。例えばPS3レンタル
 無料の場合、流出を最小限に抑えられる回路で流すべきだ。例えばYouTube、1日限定配信

 『芸が見たけりゃカネ払え』でいいと思う。プロなんだから。チンドン屋のほうが実入りが良いってのもおかしな話だ。

B-CASコピワン/ダビ10)の推進動機

今のところ,放送事業者や権利者,消費者団体系の委員がB-CAS方式の廃止に積極的な一方で,メーカー各社が難色を示している,という構図になっています(Tech-On!関連記事2)。

1)民放(みんなもっとCMを見よう!)

 B-CASコピワン/ダビ10)は、もともとは放送局の要望で始まったものと思われる。

 麻倉氏がこのような話(*コピワンなんておかしい*)をある会合で語った時に、とある在京キー局の人がこう語ったという。
 
 「放送は生で見るものです。アサクラさん」
 
 「コピーワンスは、もしかしてエアチェックする気をなくさせるのが目的ですか?との質問に対して、在京キー局の人は『まさしくその通り』と答えて非常に驚いた。

 4年でB-CAS廃止に傾くほど、経営も傾いてんだろうか。あるいは、日本最大の映像著作利権者として「他で稼ぐ準備が整ったからもういいよ」という事だろうか。例えば「ネット法」でネット上に限って著作者の権利を弱めるというのは、テレビ局にとってオイシイ話だろう。出演者や音楽家との話がついてなくても、独自の新DRMで配信ちゃって良いって事だから。これは下記、NHKにとっても同じと思われる。

 なお、実演家や作曲家の主張は、ホントは著作権なんか問題ぢゃなくて、日本固有の「ならわし」の問題だと思ってます。たぶん番組を制作する際に、再放送時のとりぶんなどをガチガチにつめたりしないでしょうから。関連:著作権ハードボイルド。 - agehaメモ

 究極的には「製作(著作権保有・窓口の一元化)」と「放送」は分離すべきだと思います。

2)みなさまのNHK

 詳細不詳。受信料徴収を確実にする上でB-CASは結構役に立つと思われる。概ね年間6千億。たぶんここがぐらつくと、20を越す「NHKファミリー」もぐらつく。

 郵政改革みたいに事業単位で民営化しても良いと思うんだけども*2

3)モノツク利権/パラ鎖連

 第一に、もともと有料放送がうまく立ち上がらなかったので、そのためのシステムを地デジに突っ込もうとした側にも責任の一端はあるように思う関連記事

 第ニに、メーカーだけがB-CAS廃止に難色をという構図は、それで最も困るのは彼らである事を示しているように思う。既に非関税障壁が無ければマズいくらいに、世界シェアを落としているという事ではないか。

 もしも日本のデジタルTVからB-CASがなくなれば、サムスンVIZIOが大挙して押し寄せると思われる。絶対的な画質や信頼性やブランド力という点ではまだ国産に劣るかもしれないが、シェアという点では北米でもEUでもトップに食い込んでいる。
 製造業においてはシェアが全てだ。たとえいま、「優れた技術力」を持っていても、シェアを持つ者に購買力を背景に買いたたかれ、利益も、従って技術投資力も減ってゆく。他方、シェアを獲ったものは、厚い利幅をブランド構築か、技術開発投資に回せる。

敵は外国だけではない。日系企業の最大の敵は日系企業だ。同じ製品分野でシェア争いしている日系企業が少なくとも3社はある。1社がぶっちぎりで世界ナンバー1を確立しているところはほとんどないのだ。「我々3社の日系企業で世界シェアの7割」という感じだ。関係が悪ければ、お互いにたたき合うことにもなりかねない。かといってカルテルを結ぶわけにもいかない。それでは犯罪なので公取に捕まってしまうからだ。

 これは素材・部材産業の話だが、最終家電メーカーでも同じ事が言えるように思う。端的には合併すればいい。
 ある意味、JEITAという形で既に一体化してるとも言えるが*3

*1:同種のプロテクトでコピワンを継続している有料放送も危機に晒す

*2:これでも「改革」で5組織くらい減ったらしい。

*3:大概の業界は、業界団体と主務官庁で一体化している