文化審の小委員会が、補償金制度の見直し議論を終了

  1. 私的録音録画小委員会」は、制度の見直しの議論を今回で終了することに決めた。
    1. 現行制度が抱える「問題の解決策を模索するための論点」が整理されたとの判断。
  2. ただし、
    1. 同小委の上位にあたる文化審議会著作権分科会」は継続して補償金問題の見直しを検討。
    2. さらに文化庁は、権利者団体やメーカーなどの関係者が意見交換できる場を新たに設ける意向
  3. 発言
    1. 川瀬真・文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室長
      • 「小委員会での議論によって関係者の意見の隔たりが狭まった部分もある
      • 2009年度以降の各会での議論の進めかたは、「これから決める」
    2. 中山信弘弁護士・文化庁文化審議会著作権分科会 私的録音録画小委員会 主査(弁護士)
      • 「補償金の見直しについて関係者の合意が得られなかったことに、主査として責任を感じている
      • 補償金問題は著作権法が直面しているデジタル問題を象徴するものだ著作権法はデジタル時代にどう対応するべきかという非常に大きな課題を与えられている」

イ)利害関係者の全てが納得するしあわせな展開というのは、世の中めったにないので、しんどい仕事してはるなと思う。利権配分のハナシだし。権利や正義はあんま関係ない。消費者の利便性てのも、煮詰めてしまえば「消費者の既得利権」だ。
ロ)趣味的には実戦というか、法廷闘争に持ち込んで判例を作るほうがローコスト(もちろん社会全体にとって)な段階にも見える。
ハ)激しく同意。
その前に、全力で和平交渉に身体張るほうがかっこいいよな。
できれば。

  1. 補償金は「録画機械の提供者」だけでなく、「録画機会の提供者」つまり放送事業者や光学ディスクの販売店レンタルショップなども徴収対象に含め、広く薄く取るべきだと思う。
    1. ただし、これは補償金制度の歴史を根底からひっくり返す事になるらしい。反撥も強いだろう。
  2. そのカネは、B-CASとも光学ディスクとも別の「漏れを制御できる伝播回路」の構築に使うべきだと思っている。伝播回路構築を「コンテンツ」とか言ってる連中に任すからいろいろと不具合が出るのだ。
    1. ただし、それはさらに難しいだろう。文部科学省の職権では(てゆうか政府のやることでもなかったりする)。

日本におけるサクヒンビジネスの構造の中では、「甲.モノツク利権」、「乙.デンパ利権(伝播と流通)」、「丙.著作利権」の中で「著作利権」が最も弱い。丙は乙に従属的であるか、ほぼ取り込まれており、乙は甲に対して「電波免許」を除くと主導権を持っていない。乙がややパワーアップすると、甲乙丙丁の四角形の面積(つまりサクヒンビジネスが産み得るしあわせの総量)がもうちょいデカクなるんではないかなぁ。なんちて。
「消費者利権」の縮退は否めないんだけども。