テレビ局は制作せずピンハネ
例えば、5000万円で1時間ドラマを作るとすると、テレビ局が2000万円を抜いて下請けに出す。さらに下請けが2000万を抜いて、結局孫請けが残りの1000万で番組を作る。
この数字は、経産省が平成15(2003)年3月に作成した『アニメーション産業の現状と課題』とよく似ている。
傘下にトンネル会社や孫請けがある今の官僚システムと同じです。孫請け会社のスタッフが年収200万円では、靴下も買えない。「ユニクロ、そんないいもの着ているのか」とスタッフ間で話題になった、という話すらあります。
この肥留間氏インタビューは08/05/06付けなので、その後の制作現場は一段と厳しくなっていると思われる。しかし希望が無いわけではない。
肥留間氏は、将来的に、人気番組は、制作会社や芸能プロがスポンサーと直接組んで番組を作り、版権を制作会社や芸能プロが持ち、テレビ局には著作権(「製作著作・○テレビ」)が残らないことも考えられる。と予測しておられる。
これも経産省が2005年に行ったコンテンツ産業全般に渡る分析に、以下のような文言がある。
- 映画配給会社、テレビ放送局などのコンテンツ流通部門が寡占的傾向にある中で、コンテンツの制作事業者は、制作資金調達、マーケティ ング等において流通事業者に大きく依存せざるを得ない状況にある。このため、コンテンツ産業では付加価値の多くを流通事業者が取得する構造にあり、コンテンツ自体の価値を創造する生産部門が必ずしも成果に応じたリターンを得られていない状況にある(P17)
- 我が国番組のほとんどは資金提供者が権利を確保することが多く、製作会社による二次利用の機会が有効に活用されていない状況。一部少数の二次利用展開の成功モデルのほとんどは、製作会社が権利を管理するパターン(例「ドラえもん」「ポケットモンスター」)(P19)
要するに、
- テレビの力がでかすぎると言っている。
- それが日本のコンテンツ産業の行く手を阻むと言っている。
- サクヒン価値の創造者に版権を持たせれば、もっと伸びると言っている。
ヤマダ電機やベスト電気が、「ソニーさん、ウチがなきゃ商売あがったりでしょ?だからその特許くれ」と言う事は無い。
それがまっとうな社会というものだ。