私的録音録画補償金の「そもそも論」

補償金制度“そもそも論”を議論する「基本問題小委員会」設置

そもそも論なら。

  • 課金対象は、録画「機器」の提供者(現行)でなく、録画「機会」の提供者であるべきだと思う。放送局、DVDの販&レン。
  • 他方、B-CASもブル↓ーレイ↑*1も複製制御できてない。これらが万全であることを前提にした主張、たとえば「DRMによってコンテンツの複数回数を完全にコントロールできれば補償金は不要」には首肯しがたい。
  • ダビ10機十台ありゃ百枚は闇商売ができる。これは「放流」より具体的な金銭被害があるように思われる。

これらを総合すると、録画「機器」の提供者と、録画「機会」の提供者の両方に広く薄く掛ける...といったあたりが落としどころぢゃなかろか*2

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さらにそもそも論を重ねるなら。

地上波広告放送は「娯楽の王様」でなくなる。「伝播回路」が多様化するからだ。

この結果「面白い番組」は分散する。有料/無料も分散する。録画の可否も、録画の制限程度も分散する。

たとえばCASを使う有料放送の場合、コピネバ・コピワン・ダビ10を番組単位で指定してるところがある。突破されたとしても*4「民間事業者」なら独自DRMを新築するなり、レンタルのセットトップボックスから流出元を突き止めるなり、動ける幅が広く、かつスピーディだ。

また、2011にはBSデジタルが多ch化の予定だが、参入希望社の中でディズニーが無料放送を予定しているのが目立つ。どうも地上波から広告を分捕るつもりで居るらしく、「広告主向けに視聴率を精密に測定する手段」も用意するという*5

なお、総務省自身は有料放送を優遇する方針らしく、ほかの参入希望社は有料放送が多い。

どれが当たってどれが外れるかは予測のしようがないし、世の中の変化は10年程度かけたゆっくりしたものになるかもしれないけど、

いずれにせよ「価値あるコンテンツ」は、それぞれの価値に応じた「伝播回路」を選択するようになるだろう。

その中で、録画のできる地上波広告放送が「娯楽の王様」でなくなる事は、確実であるように思える。日本固有の「録画文化」*6も減殺してゆくだろう。

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文化庁や著作利権の人たちは、私的録音録画補償金の「そもそも論」より、それを加速したほうがてっとり早いんでないだろうか。

*1:永ちゃん風でおねがいします。

*2:代わりといってはなんですが、B-CASは全廃でひとつ

*3:邦画5社がアクトビラで映画配信「まるまる映画」開始 -AV Watch

  • H.264/AVC。HD630円(約6Mbps)、SD420円(約3Mbps)のVODストリーミング。視聴期間は1作品当たり48時間。
  • 『ダウンロード型での配信については「現時点では予定はない」』
  • アクトビラ対応テレビ数:約80万台。
  • うち動画対応は27万接続←リモコンだけで映画を見られる台数。
  • 『日活の由里敬三取締役は、「2011年の地上デジタルテレビ移行に向けて、大画面テレビの普及が予想される。映画は大きな画面があってこそ。より個人的にパーソナルに楽しむという流れもある中で、あえてお茶の間に回帰するというコンセプトに共感した」と参加の理由を語った。』←特に日活の保有ライブラリは、団塊世代より上と親和性が高い。

*4:もともと「日本の衛星放送」は中韓の一部で受信できるらしく、それらの地域に突破技術の蓄積があるらしい

*5:BSは固定費で年間10億からかかるそうだが、すげぇ自信だ。

*6:視聴者の録画利権、視聴利権も既得権益のひとつと見る。その上で、電波利権、モノツク利権の影響力を減殺し、著作利権とガチでバトるほうが手っ取り早い。のぢゃないかな。