題考えるの面倒

「だまされたふり」悪用、だまし返し逮捕 詐欺未遂容疑

2009年3月26日6時59分 asahi.com

 埼玉県警は25日、詐欺未遂の疑いで東京都中野区江古田4丁目、無職山下敏彦容疑者(43)を緊急逮捕したと発表した。振り込め詐欺の「だまされたふり作戦」で、金を受け取りに現場に誘い出したという。県警はほかに指示役がいたとみて調べているが、電話で警察官を装い、捜査協力を呼びかけて金をだまし取ろうとした新手の振り込め詐欺とみて警戒している。

 県警によると、23日午前11時ごろ、行田市内の無職女性(72)宅に次男(45)を装った男から「大学の先輩の連帯保証人になった。400万円を用意して」と電話があった。約10分後、今度は警察官を装った男から「振り込め詐欺犯人から電話がかかってきていると思いますが、犯人逮捕に協力してください」と電話があり、現金自動出入機(ATM)で100万円を引き出して渡すよう女性に指示した。

 女性が近所の住民に電話の内容を話したところ、「おかしいので警察に相談した方がいい」と言われ、110番通報。県警は、待ち合わせ場所の行田市役所周辺に捜査員を張り込ませて警戒していたところ、午後5時ごろに山下容疑者が現れたという。

 同容疑者は「知人を介して仕事を紹介された」などと話しており、おおむね容疑を認めているという。

自分にはやや判りにくかったのだけど、

  1. 犯人Aが「オカネ用意して」と電話
  2. 10分後、犯人Bが警察のフリで「振り込め詐欺の電話がかかってきていると思いますが、逮捕に協力してください。オカネ渡して下さい」と電話。
  3. 近所の人に相談したところ「おかしい。警察に相談した方がいい」と言われ110番

とゆう事らしい。むぅ。次は近所の人も抱き込んでおくべきだな。犯人側としては。

オレオレ詐欺は高度化していく。

  • いろいろ新手を考案し、実行し、儲けを出すのは、独特のドライブ感がある。さぞ楽しかろう。
  • 昨今の景況悪化では、下っ端のなり手も事欠くまい。
  • 一般論として、高度成長を支えた終身雇用者は、最もゆとりがある。数も多い。
  • その一方で、現役世代の中産階級は、縮退している。
  • 「最大多数の小金持ち」は成長の鉄則だ。
  • 倫理は脇におく。無能ではない。最初に考案した者も。カイゼンを繰り返す者達も。

おまわりさんも大変だ。

面防御1号

どこか外国に高木(こうぼく)だらけの森があるそうだが、そこの木々の根は異様に浅いとゆー。
その代わり、根を横に伸ばし、隣の木々と絡め合い「面」で倒木を防いでいるとゆー。

とゆーと精神論に堕してしまうが、ココロなど物理的に変えられる。いや環境とかまちづくりとかエンバイロメントとか言う方が穏当なのかもしれないが、あいにくとキャラでない。

伝統的な日本家屋であれば、「勝手口」から文字通り勝手に三河屋さんが入って来たり、「縁側」で近所のヒトがぼへっとしていたり、土間から入るとリビングで、奥へゆくにはその中を横切る事になったり、したものらしい*1。土地に余裕のある地方の農家などでは、今でも敷地に柵とか境界線の類いが無い。ひとことで言うと「地域のつながり」という事になるのだけれども。

仮に、『女性が近所の住民に電話の内容を話したところ』←コレが無ければ騙されてるとこだった。とする。では、コレの発生確率をあげる手段はナニカ?勝手口?縁側?コンパクトシティ団地のコミュニティ・スペース?

問題はそこに馴染めない人々なのぢゃまいか。「団地の鉄扉」や「玄関→廊下→鍵のかかる子供部屋に直行できる作りの一戸建て」で人生の過半を暮らして来た人達ぢゃないだろうか。

これは、いま生きてる日本人の大多数という事になるが。

線防御1号

長い間、日本社会は右肩上がりで成長し、しかもある程度の均一性が保たれてきたせいもあって、信頼できる家族というのは、大した努力がなくても自然に得られるものだったような気がします。だから、現在も家族の構成員どうしが相互の信頼を得るためには相応の努力が必要というようなコンセンサスは希薄です。しかし近年、信頼が揺らいでいる家族が増え、たとえば「振り込め詐欺」は、そのような家族関係を利用する形で発生しているのではないでしょうか。振り込め詐欺を取材しているジャーナリストに聞いたのですが、親子がひんぱんに連絡し合っていてお互いの近況を知っている場合には、だますのが極めてむずかしいと、詐欺の犯人たちはそう言っているそうです。

『だますのが極めてむずかしい人達』は良い。「抗体持ち」だから。問題は「それ以外」だ。

仮に、オレオレ詐欺は「親子関係がかつてなくスカスカな状態」で発生するウイルス。だとすると、正直、欽ちゃんが「みんな!お父さんお母さんに電話しようよ!(NHK振り込め詐欺特集の最後にやってた)」と言ってもどれほど効果があるか、疑問に思う。「親子がひんぱんに連絡し合っておらず、お互いの近況を知らない家族」にとっては、その状態が「ふつう」で「しぜん」なので。

この「スカスカ家族」をもたらしたのが「右肩上がりの成長」と「ある程度の均一性」だとすれば、在日日本人社会に自覚は無い。

例えば、騙すヤツが悪いのは「あたりまえ」だが「40過ぎの息子の尻拭いなんてみっともない」とは、ダレも言わない*2。さすがにこういう書き方はためらわれるのだけれども。個室の中に「親だから子だから」の情念だけが漂ってんでねぇか。実態抜きの空虚なヤツが。

というわけで線防御1号、親子ラインはあまり期待し難いように思う。いやそんな事言ったら「騙されるヤツなんかほっとけ」て事になっちゃうんだけど、ここの再構築って一様には無理だし一生かかるし他人様に働きかけても「大きなお世話。ウチはふつうです」で終わりだし。そこは欽ちゃんにお任せしたひ。

線防御2号

話は変わるが昔、妙なメディカルサービスの会社を見学した事がある。キモは緊急時に専用ボタンを押すと、電話してきて様子を聞いて「ではこちらから救急車をお呼びします!」てヤツ。

その手の会社はいくつかあるようなのだけど、多くはヤクタイも無い世間話ユーザーに辟易しており、そんな事で電話するのぢゃないと怒られる会社もあるのだとか。そうなると、イザという時に「怒られるから押したく無い」という心理障壁ができてしまい、肝心の時に役に立たない。

その会社が妙なのは、そうしたヤクタイも無い世間話を断らず、徹底的に付き合うところだった。それで慣れてもらって信頼を得て、瑣細な異常を察知して、それは医者に行ったほうがいいですよ。とか。お客様のご近所ですと、この病院が評価高いですよとか。古い話なので記憶が曖昧だが、普段からどんどんボタン押しちゃって下さい!「声が聞きたい」だけでも結構です!みたいな。なんか。そんなよーなノリだった。

その会社のその後は知らないが(当時は絶好調で伸びていた)、オレオレプロテクトとしても有効そうだなと思った。今。たぶん、欠けているのは身近な話相手。なのだ。

オープンカレッジや旅行も良いが、「今、生きているこの場所に」フランクな話し相手があれば、「おかしい。警察に相談した方がいい」的な入力が期待できる。

面防御2号

現在であれば。
孫の写メを楽しみにしているご老人が結構ある。孫ジマンSNSみたいなもんがあれば、オレオレワクチンに育つのかもしんない....てっとり早いのはiPhone?、、、いやいやDSでしょう。

そして地域老人会ウラサイトが問題になるのだなるのだ。

*1:つまり土間とリビングは「外」と「内」の間の減圧室みたいなもので、「プライバシー」は「奥」にある。

*2:ビートたけしさんなら言ってるかもしんないと思った。今。