アメリカの新聞広告の売上推移
日本固有の事情:
- 1)全国紙:戦時統制(紙資源の効率配分,検閲の便)で成立した大合併、大部数。
- 2)宅配が主流(日本の新聞購読率は非常に高い)
- 3)再販価格指定制度
- 4)オリコミ,オシガミ
- 5)TVの全国ネットの母(資本関係)。地方局の一部は全国紙の販売網がベース。TVは黎明期に新聞社からニュース提供を受けた。
- 6)日刊フリーペーパーとの競争がほぼ、無い。
- 7)日本は世界有数のブロードバンド普及率を誇り,価格も最安価。
- 8)ネットを見れるケータイの普及率がほぼ100%。
並べて見ると、1)~6)のお陰で、「現状程度の縮退で済んでる」ような気がして来た。6)は、リクルートのラテ欄+広告無料宅配など、これからどう転ぶか判らないが、7),8)の伸び代が、そう大きく残ってるようには思えないし、米ほどの事態にはならないかもなぁ。
上記にも書いたが、『フリーペーパーの衝撃 (集英社新書 424B)』に国内の日刊フリーペーパー黎明期の顛末が載っている。以下抜粋。
TOKYO HEADLINE(創刊2002/首都圏):週刊。産経新聞の配信ニュース。
- 記事:
- 共同:加盟社(有料紙)からお金を貰う社団法人として提供できない。
- 時事:契約の段になって断られる。
- ロイターとブルームバーグのみでスタート。
- 生産・配布:
- 広告:
- 大手広告代理店に軒並み取り次ぎを断られる(実績がないとちょっと)。
- 闇:
- 大手紙幹部を名乗る電話がかかり「日本で日刊無料紙発行などもってのほかだ」
- 匿名電話「電車のホームでは気をつけろ」「女房子供を実家に帰したか」
- 結果:社長交代、週刊化、産経の記事配信を受ける事に成功。
メトロ(創刊1995@スエーデン):日刊。世界22カ国に進出、各地で既存紙の抵抗を受けつつ、2004までに12カ国で黒字化達成。
- 摘要
- メトロ進出地には、日本並みの新聞購読率を誇る国もあるが、若い人たちの新聞離れは各国共通。「時間が無い」「高すぎる」。にもかかわらず、新聞社は「ページを増やし」「価格をあげた」というのが創刊の理由。その結果、編集方針は宗教中立。社説なし、論説なし、解説一切なし。通勤電車の20分で読み切る事を想定。
- 各地の抵抗例
- 日本進出の頓挫
- 2000年、進出可能性を探りに副社長が来日。
- 国内新聞・通信社/地下鉄駅/大手広告代理店の協力が得られないと知り「そんな条件は外国なら簡単にクリアできるのに。日本は特殊な国だ」。
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そんなわけで、手許では、新聞を巡る「日本固有の事情」というのは、非常に広く深く根を張っているものと理解している。
ある広告代理店幹部によると「リクルートはこの事業に神経を使っている」と打ち明ける。リクルートは事業開始に当たって大手新聞社を表敬訪問するなど、慎重に対応しているという。新聞部数の減少と、新聞販売店の主な収入源である折り込みチラシの減少につながりかねないだけに、メディアの雄を自負する新聞を刺激したくないからだ。
そりゃアイサツの一つもしといたほうが無難だろう。