日本の映像産業は、ほぼ「テレビ」頼み。

1)日本の映像産業は、ほぼ「テレビ」頼みはほんとうか?

「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」(PDF:389KB)*より

メディア・ソフトの分類 制作金額(億円) 金額構成比 制作量(時間) 時間構成比
映画ソフト 1,102 4.87% 459 0.05%
ビデオソフト 253 1.12% 1,263 0.13%
地上テレビ番組 17,497 77.25% 318,849 33.25%
衛星テレビ番組 2,144 9.47% 542,750 56.60%
CATV番組 183 0.81% 93,975 9.80%
ゲームソフト 1,471 6.49% 1,550 0.16%
映像系ソフト合計 2兆2649億円 100% 95万8846時間 100%
*総務省情報通信政策研究所、研究成果2008の項、数字は2006年の調査

 この2兆2649億円を「コクミン総映像制作費」とかする。

■ここから「テレビ系」を抜き出し
メディア・ソフトの分類 制作金額(億円) 金額構成比 制作量(時間) 時間構成比
テレビ系合算 1兆9824億円** 87.53%* 95万5574時間 99.66%*

■結論

*日本の映像産業は、ほぼ「テレビ」頼みと言える。
**ここからNHK制作分(天井値は受信料≒6300億)を引いた額が、「映像制作の民間市場」。

2)民放とNHKの構成比はいかほどか?

NHK平成19年度決算概要(PDF 4.1MB)より

内訳
金額(億円) 金額構成比 備考
国内放送番組の制作と送出 4565億円 100% 事業支出総額は6182億円
うちTV5波の番組制作に要した経費 2841億円 62.23% 出演料、著作権料、放送権料、美術費、回線料のほか、人件費や減価償却費を含めたトータルコスト
差額 1724億円 37.77% ラジオ番組の制作経費や、全国のご家庭まで電波をお届けするための送出、さらに各番組に必要な共通経費。
*NHK INFORMATION「平成19年度 決算」

■民放とNHKの構成比
イ)の場合 ロ)の場合

制作金額(億円) 金額構成比 制作金額(億円) 金額構成比
テレビ系合算制作金額 1兆9824億円** 100% 1兆9824億円** 100%
NHK 2841億円 14.33% 4565億円 23.02%
差額≒民放の制作金額 1兆6983億円 85.67% 1兆5259億円 76.97%
イ)総務省調査の「制作金額」に、送出などの伝送経費が混ぜ込まれていない場合。
ロ)総務省調査の「制作金額」に、送出などの伝送経費が混ぜ込まれている場合。

 総務省の「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」は、各業界団体などの調査を土台にしたものだ。これら原資料の中には、「制作費」の中に「伝送経費(回線料,送出費,電波使用料,,,)」を混ぜ込んだ物があり得る。総務省のひとも精査はしてると思うけど、どちらのパターンなのか読みきれなかったので、一応幅をとった。

■結論
 「コクミン総映像制作費」におけるNHKと民放の構成比は、1:9ないし2:8

3)民放ってそんなにカネあるのか?

 に、しても1兆5259億〜1兆6983億。民放ってそんなにカネあるのか?

日本の広告費2008(電通推計)より
媒体* 広告費(億円) 金額構成比 備考
テレビ 1兆9092億円 28.5% 近年ゆるやかに下降中
*全国民間放送の電波料および番組制作費とテレビCM制作費[注、事業費は含まない]

このすべてが「実際の番組制作」に回る事は考えにくいが、「天井」としては「イ)の差額」「ロ)の差額」とも上回る。

この1兆9092億円には電波料が入っているので、ロ)のパターンで考えると;
NHKの受信料収入(6312億)に占める国内放送番組の制作と送出(4565億)の割合(72.23%)をそのまま適用した場合、1兆3790億。
NHKの受信料収入(6312億)に占める受信料契約および受信料の収納(780億)の割合(12.36%)が無い事を考えると、ここに2359億を上乗せできる。

結果、1兆6149億。これは1兆5259億(民放の制作金額(ロの場合))を上回る。

他に、ペイTVが受信料収入を原資に自ら制作する番組や、ジャパネットたかたが売上を原資に自ら制作する番組や、製作委員会の出資金を原資に制作される深夜アニメ等も存在する。これらの「制作費の原資」は電通の広告費推計には入らないがまぁ、、、概ね、「日本の映像は企業広告費が命綱」といって差し支えないと思う。