アニメ甘いかしょっぱいか。

海外でも高い人気がある日本のアニメ産業の労働環境をめぐるシンポジウムが東京で開かれ、20代の若手スタッフの平均年収が100万円余りで、優秀な人材が育たないなど、問題を訴える意見が相次ぎました。

シンポジウムは、アニメ作品の演出家や、「アニメーター」と呼ばれる絵を描くスタッフで作る団体が開いたもので、団体が去年からことしにかけて行った労働調査の結果を基に議論が交わされました。調査にはおよそ700人のアニメーターや演出家から回答が寄せられ、それによりますと、平均年収は、20代の若手で110万円、30代でも214万円で、ほかの産業に比べて大幅に低い水準になっています。また、アニメの制作会社と雇用に関する契約を結んでいないという人が全体の47パーセント、健康診断を今まで受けたことがないという人が38%いて、不安定な雇用の実態が浮き彫りになっています。日本のアニメは世界的に高い評価を受けていますが、一方で、少子化などの影響で、国内の市場規模は3年前から頭打ちになっており、シンポジウムの出席者からは「今のような労働環境では若手の才能が育たず、産業の先行きが危ぶまれる」といった意見が出されました。そのうえで、スタッフに固定給を導入することや、制作単価を見直すことなどが提案され、シンポジウムを主催した団体では、今後、スタッフの労働環境の改善について制作会社などと協議を進めることにしています。

1)
現在のアニメ制作資金は、ほぼ広告費依存(TV局)と思われる。深夜アニメの製作委員会方式でも広告代理店やキー局の比重は高い。これは、おおもとの水源が企業広告費という意味では大差ない。
アニオタの空論的には、このおおもとの水源を市場調達資金(リスクを背負った投資資金)に換え、不当コピーの第一水源であるTV放送は有料 and/or 録画不能系のみ(放映権販売)とし、同第二水源である光学ディスク販売を停止、ファイル販売、ファイルレンタルのみとする。BeeTV!を参考にした配信も良い*1
これで給金は上がる。

2)
但し口は減る。たぶん壊滅的に激減する。
資本主義のブタ的には、アニメの採算性は論外と言って良い。リミテッドだろうがヤシガニだろうが、全フレームの一木一草*2を手描きで埋めねば成立しない時点で、ちょースーパーウルトラ労働集約家内制手工業に毛が三本だ。人件費や工賃の最低線は粘土アニメと同等であり得る。
その上に、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という「サクヒンビジネス固有の条件」が乗る。「リスクを背負った投資資金」を集めるのは容易ではない。いかに世界的に高い評価を受けていようが、全てを中抜きの所為におしつけようが、制作工程をデジタル化しようが「コンピュータ・エイデッド・家内制手工業」と、モデリングとモーフィングでそれなりのレベルに達する「ポリゴンアニメ」では、投資リスクと言う点では比べものにならない。投資資金を唯一の水源とするハリウッドが手描きアニメを捨てた事実は軽くない。
逆に言えば、現在の「アニメ」は、高度成長および東京一極集中が産んだ「企業広告費のマンモス湖」と「手塚ダンピング」の2条件が偶然に揃ったバランシング・ポイントと見る事もできる。この場合、前提条件が崩れている中で待遇改善を進めると、崩壊が加速する。
なお、サクヒンビジネスに「長期的視野の投資」というものはない。ファーストウィンドウで当たりを引かねば、その先は無い。

3)
「アニメーターの平均年収」という数字は無意味な気もしないではない。
「アシスタントまで含めたまんが家の平均年収」とか、「新弟子まで含めた日本相撲協会所属の全力士の平均年収」などと同列に思えば、平均値が「ほかの産業に比べて大幅に低い」という捉え方そのものに疑問がある。鳥山明朝青龍が数人あれば良い。
これらトップに渡るカネを引き上げて、彼らに「育てるに足る若手」を峻別してもらい、他はガンガンオフショア化するほうが、サクヒンビジネスとしては真っ当な気もする。
自分は現在のアニメ制作資金がほぼ広告費依存という現状は、サクヒンビジネスとして不健康だと思っているのだけど、それはこの意味で。だ。そしてその意味では、ジブリはアニメの神様が地上に遣わされた奇跡のようなもんだと思う。

4)
それ以外の理由ではジブリ褒めねぇ*3。海外の評価などどうでもいい。そんなものはドラクエで言う『せかいのはんぶんをおまえにやろう』だ。淀川長治さんぽく言うとムシケラだ。ガンダムで言うとヒトラーのしっぽだな(ごめん酒回ってきた)。邦画産業で言うと、背中刺したのはテレビだが、正面から首締めたのは黒沢信者とカンヌ教徒だ。ヤツらはその事に気づいてもいねぇ。しねばいいのに。『七人の侍』が儲かったワケねーだろ何時間あんだよ客の回転率いくつだよ。『羅生門』が儲かったワケねーだろダベりのネタにもならねーよ。ああそりゃもちろん愛がなければ始まらねーよ愛でおカネは買えるだろーさ。でもな。愛でカネ買えるのはイケメンに限るんだよ違うかよ(やべぇ、マズい曲が鳴り始めた)。


5)
黎明期より「サクヒンは客にカネとって売るのがあたりまえ」な点では、まんが産業(アニメ産業のアニキ分にあたる)とゲーム産業(アニメ産業の弟分にあたる)が参考になるだろう。会社組織としてサクヒン生産に当たる点ではゲーム産業を参照すべきだろう。違うと言っても始まらない。違うからこそ目先のこま事に囚われずに済む。そのほうが要諦、、、いや「応用のタネ」を掴みやすい。
この二分野は、愛を抑えたビジネス書/研究類が入手できる点でもアニメとは異なっている*4
途中の支払い名目がなんであれ、お給金のデドコロが広告費ではチンドン屋の域は抜け難い。搾取だ不当だ改善だと言ったところで、獅子舞で一番羽振りが良いのは「オヤカタ」と決まっている。

6)
子供が減るならオトナを狙えばいいぢゃない---マリー・アン(言ってねぇ)

アトム歴 西暦 サクヒン名 おたく第一世代
岡田斗志夫歴)
社会現象
0000 1963 鉄腕アトム 05 アニメ・パンデミック生活習慣病)の大量発生
0016 1979 機動戦士ガンダム 21 大学生のくせにアニメ見る
0032 1995 新世紀エヴァンゲリオン*5 37 なんかの助教授だの若手哲学者だのがアニメ語る
0048*6 2011 ??? 53 ????

制作分数で中国に抜かれたからってなんなのさ?彼らがどれほど素晴らしいアニメを創ったって、世代交代の速度は変えられない。温家宝さんが何兆元を注ぎ込もうと、社会通念に加速装置は付けられない。日本のアニメは存分に先行者利益を活かせる立場にある。圧倒的と言っていい。

第一世代の加齢速度が道案内だ。歩調を合わせて蹂躙しろ。アニメ産業はずっとそうして来たのだ。王陛下もそれを望んでおられる。だって「ま、金ならあるし」と言っておらるるべ?。

セチガライ銭の亡者に最終行は埋めきれない。「????」のとこを埋められるのは、クリエイタのひとだけだ。

7)
まんがとアニメとゲームで「バンダイナムコうだんしゃ」というのはどうか。おたくコングロマリットとゆうか三位一体とゆうか兄弟合体とゆうか。んでもって、『オレ達を誰だと思ってやがる』とゆうか。

8)
なんで泣いてるの俺?ダッセーなもう。

*1:世帯普及率で良ければ、既にケータイは鉄腕アトム開始時(1963)の白黒TVを超えている....ガンダムUCの「配信」ってどの回路なんだ!

*2:ゲンミツには一挙手一投足まで

*3:トップクラフトラピュタ以前は絶賛する。

*4:少なくとも自分の本屋エクスペリエン酢の範囲では

*5:どうでもいい事だけど、ゼーレって製作委員会の比喩な希ガス

*6:なぜか16の倍数なので揃えてみた