基本を外しちゃ嗜好分析ノーフューチャー

いやいやいやいや。ヘンリー・フォードの基本を外しちゃ嗜好分析ノーフューチャーっすよアニキ。

1)ヘンリー・フォードの基本=雇用増で消費者「も」生産。

「自動車を買ってもいい年頃」は人口減だけでなく「1年通じて仕事があった率」も落ちている。
【出典】若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如:NB Online(2009/01/14)より作成。

自動車市場の礎は技術や商品性なんぞではない。工員のみなさんだ。QCに参加し、賃金を貯め、自分が作った車を買い、誇りを持って乗り回し、クルマの魅力を語り歩く。そうした「熱をもって語る工員」が減れば、彼らのカイゼンの積み重ねが、人の口、自動車雑誌、新聞テレビを介して、より多くの人を動かす事も減ってゆく。

もちろんそれが全てではないが、かつて「クルマを買うこと」に何がしかの誇らしさがあったとすれば、礎はそこにあったはずだと思う。アニメなんかよりずっと強いと思うよ。ナマだし。友達付き合いは1クールぢゃ終わらないし。

慣用句は、無意識に使い続けると思考回路を冒される。「若者のクルマ離れ」という言い回しは「ボクのせいぢゃないもんリスク」がキツイ。お客様を主語に使うと「自分たちはお客様からどう見えているのか?」という視点が減る。それは「お客様第一主義」でない。一度は「クルマ屋の若者離れ」に換えてみるべきだと思う。

2)嗜好分析=まったく近頃の若いモンは!
2008年度乗用車市場動向調査の概要 社団法人 日本自動車工業会(2009/04/08)では、「若年層のクルマに対する『負担』が、クルマを通じて得られる『効用』を上回っている」。とした上で、以下のように総括している。

  1. クルマの『効用』が以前よりも小さくなった原因を、以下のように分析している。
    • ゲーム・携帯電話・パソコンが普及し屋内で遊ぶことが多く、移動せずいつでもコミュニケーションがとれる環境への変化により、クルマの使用機会が減った。
    • 競争機会が少なく、自己表現せず、他人との差異化を気にしないため、クルマの所有価値が低下した。
    • モノがあふれ魅力的な製品・サービスが多くなったことからクルマの相対的な魅力が弱まっている。
  2. クルマの『負担』が以前よりも大きくなった原因は、以下のように分析している。
    • 経済低迷期に育ったため保守的な価値観・行動をとるようになり、環境負担や事故などのリスクを気にするようになったこと
    • 製品・サービスの増加により、クルマにかけられるお金が制約されるようになった。
  3. 対策案として、以下の方向性を挙げている。
    • 『効用』の高度化:利便性、情報化、自動化、環境性能、などの向上。
    • 『負担』の減殺:自動車関連諸税の軽減、免許取得手続きの簡素化、交通インフラの高度化、など。

『負担』を減殺したければ、タタ・ナノ級を出すのが手っ取り早いだに。と思った。相対的に『効用』が落ちてんなら、チマチマしたもん足したってインパクトないし、、、ぶっちゃけパワーウィンドウなんていらねぇんぢゃねぇの?「走るんです。」とか言って。「写るんです。」っぽく。

それは極端にしても(やはり「曲がるんです」と「止まるんです」は欲しい)、かつての北米市場で「日本の小型車」と「私にはコレで充分!」な層を読みきれず、「あんなバドワイザーの缶みたいなペニャペニャ鉄板のクルマ、アメリカ人は買わぬ!」と言いながら沈んでいったBIG3の轍を踏むことはない。

ゲンミツにはBIG3には、短期利益を求める株主への配当負担と、退職者を含む従業員の医療保険・年金負担のために、大型車と「オプション」の高利益率を捨てきれなかったという事情があるのだけど。

日本のクルマ屋さんを縛っているのはなんだろう。

3)モノツクリとサクヒンビジネスの合体は、ヌルくない。

バブル期に、松下とソニーがそれぞれハリウッドの映画スタジオを買収したが、両者とも巨額の損失を出している。ソニーはど根性で乗り越えたのに対し、松下は撤収した。簡単に言うと「おカネと仕事」にまつわる「文化の違い」が原因だが、それ以前にもハリウッドは、オイルマネーをケツの毛まで抜き倒している。「金ならある」はどこでも鴨だが、カモる手管がハンパない。

最初のガンダム(1979)は、構想段階から、子供とは言えないが大人でもない「中供*1」を狙っていたが、そのことは、スポンサーの「子供向け玩具会社」には伏せられていた。結果、スポンサーが用意した商品(アニメを金に換える変換機)や番組枠(放送時間)は、アニメの内容(てゆうか真のターゲット層)と乖離しており、視聴率は低迷、玩具の売れ行きもさっぱりで、スポンサーは倒産する。彼らに言わせれば「人の道を外れた行為」だろう。

サクヒンビジネスの全てがそうだということもないだろうが、基本的には、クリエイタなんて駄目なやつばっかりだし(ユメを創る連中にショーバイはできない)、彼らの「親分」は香具師、詐話師、興行師だ(ユメを売るショーバイはカタギにはできない)。

トヨタジブリ提携には、こうした「文化の違いのすり合わせ」という、トヨタらしい慎重な目的があるんじゃないかと思った。今。

*1:おおむね小学校高学年〜ティーンエイジャー一杯