官邸主導 VS 官僚主導

仮に。「政治の主導権」は、憲法とか制度とか関係なく「恒常的に民意を集約し、整頓し、具体的な政策にまとめる機能」が優れた者が握る。とする。「者」と言っても平常は組織だろう*1

  • 1)中央省庁←業界団体←大企業/大組織←従業員(終身雇用/ケイレツ)
  • 2)政党本部←各級支部←末端党組織←党員

上記リストの「←」は情報の流れ。政治の場合は「民意」という事になるが、ピラミッドの階層をひとつ上がる度に、各級担当者による「まとめ」が入る。「本社←地域本部←各店舗」のようなものでも同じだが、階層があがる度に、情報は抽象的で現場の感覚からズレたものになってゆく。しかし、各段階で共通項を抜き出して抽象化しなければ、各級担当者は、集めた情報を「吟味」したことにならない。その吟味の最終結果が「個々の法案」や「政党の公約」、つまりニュースにでてくる「具体的な政策」だ。

日本の「政治の主導権」は概ね1)にある。英米では、2)にあるようだ。

日本の政党は党員数が少なく、党組織の活動は相対的に実が無い。したがって「民意アンテナ」は、選挙がなくても毎日活動している1)よりも鈍い。従って「民意の擦り合わせ≒具体的な政策の立案」は、憲法の想定とは異なり、各官庁が担っていると言える。だから政府法案だらけ。極端に言えば、「大臣類」は「中央省庁が擦り合せた"民意"」にハンコ押すだけだろう(頭書記事にモロに同種の描写がある)。
コレに対し、英米では政党に所属する人の数(党員数)が多く、党組織の活動は相対的に実がある。その一方で1)のシカケが無い。従って「民意の擦り合わせ≒具体的な政策の立案」は名実共に政党が担っていると言える。だから議員立法が盛ん。

この状態(2)が脆弱で1)が強力な)で、国内の政党が、いくら官邸主導だ、公務員制度改革だ、上級公務員の政治任用だと言ったところで、主導権の奪取はおぼつかない希ガス。政党自身の「恒常的に民意を集約し、整頓し、具体的な政策にまとめる機能」が弱いままでは、画餅ではないか。自民党政策調査会が「勉強する」と言ったら「官僚を呼ぶ=1)のシカケに政策情報を頼る」だったり、与党を追求する野党の「情報源」が「官僚のリーク」だったりでは、「政治の主導権」は獲れない。

*1:カエサルさんやヒトラーさんみたいな「独裁者」も、その能力で「議院」に勝っていたの鴨しれないが、そういう個人はタマにしか出ないし、09Q2現在の日本は、そういうのが必要なほど不幸な状況でもないと思う。