内容の一致を見る前に、今国会で成立させることで与野党一致?

 与党と民主党は2日、児童買春・児童ポルノ禁止法改正案の修正協議を行い、修正したうえで今国会で成立させることで一致した。
 9日の次回協議にそれぞれが修正案を持ち寄る。与党と民主党はそれぞれ独自の改正案を提出しており、児童ポルノの「単純所持」を禁じる与党案に対し、民主党は買ったり何度も入手したりする行為を処罰する「取得罪」を新設すべきだと主張している。
(2009年7月2日19時03分  読売新聞)

『9日の次回協議にそれぞれが修正案を持ち寄る』て事は、内容の一致を見る前に『今国会で成立させることで一致』したのかね。どういうメンタリティなんだそれは。「単純所持禁止」と「購入 and/or 反復取得の禁止」ってどうやって混ぜるんだ。

■背景として考えられること

  • そもそも国会の会期が短い。「充分な審議」に必要な長さがない。
  • 「継続審議」のカベが高い。
    • 「次の通常国会」が遠過ぎる。
      • 衆議院の解散頻度が高過ぎる。
      • 安定度の高い参議院に優越を認めべき事案が存在する?
    • and / or 「継続審議」は票にならない。
  • 選挙が近いので、どっちも「成立」という得点が欲しい。
    • esp.「この条項は我が党が主張しました!」と「テレビや演説で云えるネタ」が欲しい。
  • なぜ自民は、数で押し切らずに修正協議に応じるのか。
    • 自案がベストであると信じてない。
      • 実は官僚に「作らせた」ものなので、中身にあんまコダワリが無い。
      • and / or 官僚案がベストとは限らない。野党案を取り込んでこそベストリザルトという信念がある。
    • 「政党」そのものが、実は「ポリティカル・パーティー」というより「派閥」である。

など?

佐世保乱射・アキバ通り魔事件と銃刀法改正の例
09Q3現在の銃刀法は、08Q4に成立、09Q1に施行された新品だ。これは「07Q4佐世保乱射事件(参考)」をキッカケに銃管理の厳格化作業が始まったもので*1、その途中に起きた「08Q2秋葉原通り魔事件(参考)」でナイフ絡みの厳格化が加えられた*2

かたや昨今の銃刀法は、以下のようなヒマネタを生んでいる。

  • 09Q2:TV番組でタレントさんが6秒間、猟銃を手に取ったら滋賀県警が事情聴取(参考)。
  • 09Q3:カキの殻むきが銃刀法違反になり得ると北海道警が注意を促す(参考

ワイドショー的には格好のネタだろう。自分としても脊髄反射では警察なにやってんだ!と思ったが、直接の責任は、国会における銃刀法改正の審議が不十分だった可能性が高い。規制法がある以上、お巡りさんは真摯にそれを守らねばならない。それが法の支配というものだ。
しかし、限りある警察力をこうした事に割くのは、、、税金払うよりヤーサンにミカジメ払う方が安あがりでねぇ?ってカンジ。

正しい事だからと深く考えずに賛成すると、往々にして「正しくない結果」を産む。

■「立法府」の問題。

国会は、教科書的には「立法府」なので、議員さんや政策スタッフさんは「立法の専門家」である必要がある。全員がそうである必要はないしても、全体としては「法曹含有率」が高いことが望ましい。そんな希ガス

法学者から「一番だいじなのは児童ポルノの定義ぢゃないのか」的なツッコミが入る法案は、洒落になってないんじゃまいか、、、そんなレベルのツッコミってw

■暴論
いっそ参議院世襲と法曹と官僚出身者で固めた「貴族院」にして、「拒否権」をもたせちまったらどうなんだ?

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*1:犯人の精神疾患が疑われた事から、銃所有者への精神鑑定義務づけ案も出ていたと記憶している。

*2:なおこの事件の犯人は車も殺傷道具としているが、運転免許制度の厳格化の話は寡聞にしてしらない。情緒的には支持を集め得ないとは思うが、論理的には首尾一貫とは云えない。