ミニカーもいいけど他の事にも興味もったらどうか。
わたしは役人をやっていた時期があるので、役人の考えや根性をよく知っているつもりだ。役人を思いどおりに動かしたければ、恐怖による支配しかない。
いや専売公社で下っ端だったらそう見えたのかもしらんが、ニュースで見る役人さんは「派閥順送りダレでも一緒大臣」なんて手も無く洗脳してしまうし、気に入らなきゃ首相だって引きづり下してしまう。草食系の群れは狡猾で、機を見るに敏で、酷薄で、容赦なく、限度と云うものを知らず、エグイなんてもんではない。ように見えるんだが。
もちろんそれは不可解で不愉快な事なのだけど、それでも。役人さんだって人だ。
ある公益法人の専務理事をやっている知人は、わたしにこう言った。「天下り禁止なんて冗談じゃないぞ! おれは補佐の時代に安月給で毎日午前2時まで働いていたんだ。そうやって役所に貯金してあるんだよ。いまは、その貯金を引き出しているだけなんだ。何も悪いことをしているわけじゃない!」そして、彼は毎日仕事場にやってきてはラジオ体操をしているだけ。そういう人がたくさんいるのだ。
補佐ってのは課長補佐の事だと思うが、実際マジで毎晩2時まで居る。30で残込年750てとこ。サビ残なんて生易しいモンぢゃない。今時分だと19時で空調切られたりする(その下のキャリアのみなさんも似たようなもんで)。
ノンワーキングリッチそのものとは言え、このキモチを犬猫のしつけの如く恐怖で抑えろというのは同意し難い。効果が見込めないからだ。
天下りの問題は、「ある程度は渡るシカケ」をこさえて「段階的に縮小」していくベキだろう。もちろんこの場合『安月給で毎日午前2時まで働く』事は期待できなくなってゆく。並行して、官僚機構に代わる「法案・政策立案システム」も構築していかなければならない、、、これはほぼ革命に近い。
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個々の天下りを叩くより、構造の問題と捉えてはどうか。
中央省庁 | - | 外郭団体 | - | - | - | - |
↑ | ← | 公社公団NH系*1 | ← | 子会社/取引先 | ← | ○ |
↑ | ← | 公益法人 | ← | 大組織*2 | ← | ○ |
↑ | ← | 業界団体 | ← | 大企業 | ← | ○ |
↑ | ← | 独立行政法人 | ← | 取引先 | ← | ○ |
- ○が、個々の勤労者。他に、モチアイ、ケイレツ、シタウケ群。日本の勤労者の過半数が、このピラミッドの中に居る。主に終身雇用だが、非・終身系でも、芸術団体協議会のような組織に加盟しているタイプの人もある。
- 矢印(↑←)は「日本型ロビー」。上記の仕組み上、中央省庁は、国内のほとんどの分野の「民意」を集約できる。
- 「天下り」はこの矢印を逆に辿っていくわけだが、「民意集約」を担う「情報連結の媒体」でもあるわけだ。「ラジオ体操をしているだけ」でも「親元」に電話すりゃ相手はMaxで同期。大抵は「昔面倒見てやった後輩」。これは、同期が一斉に出世し、イスの無いものはその時点で退職するという「慣行」によるのだが、、、ロビーやるなら願っても無い人材だ。しかも同業者みんなで会費出し合って雇うんだから、オトクな事この上ない。
- 中央省庁が「生業分類」である以上、このシカケには「消費者」や「生活者」の立場でロビーをかける回路が無い。ここを補完すべく発達してきたのが「族議員」だ。
以上のシカケは、「富国強兵」「戦後復興」「追いつき追い越せ」をやるにはOKだったが、「ベンチマーキング」の「お手本」が無い時代に維持するのは不利益が多い。「出る杭」を打ちすぎるからだ。このシカケが既存のピラミッドと利害が対立しがちな新興業種を、潰したり、「恐怖で支配」したり、「首に鈴を付け」たりした例は、枚挙にいとまがない。
加えて非・正社員も増えている。これを正社員に戻せと云ったって、経団連会長企業が、正月前に餅代も与えずに住処を追い出すようでは、上記のピラミッドにそのゆとりはもはや無いだろう。正社員増やせば「ベンチマーキング」の「お手本」がでてくるってモンでもないだろう。規制緩和で産業構造の新陳代謝を進めた方が、マシかと思う。このへんは地方の土建屋さんはとても立派だ。米つくりでも女子高生キムチでも、なんでも試したらいいと思う*3。
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「天下り」というのは「日本型ロビー」の一部分に過ぎない。そこだけ叩いてどうなるもんではない。1自覚があろうがなかろうが、日本の勤労者の過半数が、このピラミッドの中に居るからだ。
まず、天下り禁止より、定年前退職慣行の廃止&議員(Lawmaker)とスタッフが毎晩2時まで働くのが先だろう。法案起草や政策方針の決定をLawmaker(議員)がやるなら、そのくらいの作業が必要になる。これで「官僚」は「政策遂行事務マッスィイイン(公僕)」になってゆき、ロビー対象は個々の議員になってゆく。
ただし、一気にはいかない。まず議員への個人献金を規制緩和するなど、議員の実入りを増やす事が重要だ。移行期には「優秀な官僚」と「そうでもない公僕」が入り交じるが、前者には「議員スタッフ(やがては議員)」になる道を用意したほうがオトクだ。
並行して各政党は、マニフェスト生成プロセスを、オープンで、広範囲の有権者が参加可能な形式にもっていく必要がある。
最後に有権者の意識。「お任せ民主主義」の土台は、1日本の勤労者の過半数が、このピラミッドの中に居る事だ。「日本人固有のお上意識」なんぞではない。そんなものは10年もあれば変わってしまう。
- 1緊急事態だ。国が支援を。大変なんだ。国が支援を。
- 1国家が何をしてくれるかではなく、国家の為に何ができるか?
後者を軽んじるなら、イズムとしての民主主義はふやけてしまうし、制度としての民主制も機能しないだろう。