法定受託事務のgoogle apps化

自治体のシステム共通化にはクラウドコンピューティング

「役所の無駄」のもう一つの例は、地方自治体のコンピューター・システムにある。

 いま総務省は、各自治体のシステム共通化に動いている。市町村ごとにバラバラだった地方税の業務や役所内の人事、文書管理などを県ごとに統一し、 管理するソフトやデータセンターを一元化するという。そのための実験に「北海道や京都府などの5つの地方自治体が参加する」というニュースが先ほどあった。

 このニュースを聞いてわたしは、総務省、つまり旧自治省は今頃になって何を言っているのかと思った。現在、自治体ごとにバラバラなシステムを使っているのはなぜか。旧自治省のやり方がまずかったからではないか地方自治体での作業は、日本全国似たり寄ったりで、基本的にはどこでも同じだ。であれば、総務省が自分たちでシステムを作って、自治体に使わせればいい。ボランティアの自治体がクラウドコンピューティングをやるのを支援しますよ、と外野席で応援している場合ではないのだ。

 略

 地方自治体も共通する業務は、クラウドコンピューティングを活用すればいい。総務省が用意したシステムにインターネットを経由してアクセスし、そ こで必要な業務をやるだけのことだ。一般の利用者(ここでは公務員)にとっては従来の業務と何ら違いはない。役所内のサーバーにアクセスして仕事をする か、国が用意したサーバーにアクセスして仕事をするかの違いだけである。さらに一般国民にとってはこのサービスを使えば、世界中どこにいても、つまり役所の窓口に行かなくても、いいことになる。

 だから、5つの地方自治体が実験に参加するという行為自体がナンセンスだ。5つの地方自治体にやらせると、またお互いに違うものができあがる。今、約1800の自治体が全部違うシステムを作っており、それらを開発する「サイバーゼネコン」が大もうけをしたわけだが、今回もまたそれと同じことが起こってしまうだけである

 総務省地方自治体に要求している仕事のやり方があるのだから、それに合ったシステムを全国で1つ用意すればいい。もしテーラーメイド(個別対応)が必要な地方自治体があれば、システム内にそういう余裕を設けておけばいいのである今は個別の自治体の注文を聞いてテーラーメイドする(という理由で)バラバラな開発が行われ、その自治体でも結果としてIT化は大幅に遅れている。中央省庁の手がけたITシステムはビザ(外務省)にしても納税(財務省)にしても惨憺たる結果になっている。建築の許認可などはこのやり方に最も適したものであり、シンガポールなどでは進んでいるが日本では端緒にもついて いない。新政権は役人主導ではなく生活者主権の国作り、ということを言っているので、是非これには優先的に取り組んでもらいたい。

■つまり法定受託事務(旧称・機関委任事務)の部分は、国でGoogle Appsみたいのを作り込んでしまへという事らしい。

法定受託事務(ほうていじゅたくじむ)とは、地方公共団体が行う事務のうち国や他の地方公共団体から委託され、代行して行う事務をいい、これ以外の事務を自治事務という。地方自治法第2条9項で、定義されている。 機関委任事務の廃止*1にもとづいて制定された。

法令名しかあがってないのでちとイメージが涌き難いが、職業安定法児童福祉法、戸籍法、食品衛生法予防接種法建築基準法最高裁判所裁判官国民審査法、、、などなど、全国統一したほうがよさそうなものと、自治体に前面移管しちゃっても良さそうなものが混じっている。

自治体の注文を聞いてテーラーメイドする(という理由で自治体ごとにバラバラなシステムを使っているのは、日本の政策が「中央省庁←業界団体←大組織」というユニットで動いているからだ。

ITゼネコン(あいてぃーぜねこん)とは、建設業界のゼネコンと同じように、情報処理産業において官公需を独占する大手のシステムインテグレーターSIer)の事。またはそれらが形成する多重の下請け構造の事である。

経済産業研究所の報告書によると、平成13年度の政府調達において、NTTグループで全体のシェアの4割、ITゼネコン大手4グループ(NTTグループ日立グループNECグループ、富士通グループのいわゆる「旧電電ファミリー企業」)で6割、ITゼネコン大手10グループで8割を受注している。政府調達は巨額であり、市場規模は中央官庁と地方自治体を合わせて約2.2兆円にのぼる。これは日本のIT産業の約2割のシェアを占める。

ここに「族議員」が取り付く形で「地方へのワークシェアリング」を求めると、こうなる。

実際のプログラミングやテスト作業を中小のSIerに丸投げしている状態。

■これよりは、

のほうが、コクミンの税金を、有効に活用できるだろう。別に、日本語にも日本の「文化」にもなにかと弱いgoogleにこだわる理由はさらさらないが、全国統一できそうなシステムを、そうしないのは、税金のムダといふものだ。

■ゲンミツには自治省(現・総務省)の責任というより、「官僚」と「旧電電公社の出入り商人」と「ジミンのジバンの代表者*2」の三者による「ふっふっふ、オヌシもワルよのぉw」っていうか、「高度な調整」の結果だと思う。主体的な責任者というのは、たぶんいない。ステークホルダー全員が「共存共栄正義のためにガマンしたんだ!」と主張するだろう。しかしその結果は、税金のムダといふものだ。

■もしも「法定受託事務google apps化」が進むと、「地方のデジタル土方」は、「公共事業頼みの土建業界」と同様の業界再編を迫られる事になる。

だがそれでこそ、「スタートアップ」が増えるというものだ。別に女子高生キムチでもいいけども。

甘口の「ようじょキムチ」と激辛の「女社長キムチ」の登場にも期待したひw。

*1:1999年

*2:族議員