いつまでもDEVと思うなよ?

ついに5000円地デジチューナーが登場した。

チューナーはピクセラ製で、8日間分のEPG緊急警報放送対応、無操作自動電源オフなどの機能を備える。

おみごと。
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情報通信審議会が5000円チューナーの発売を求めたのは07年08月の事だ【出典】。メーカー各社は「端子などをぎりぎりまで減らしても、1万円を切るのも難しい。5000円のチューナー開発はまったく見えない」と言っていた。背景には買い控えは困るという事情もあったようだ。【出典

その後、NECエレが「5000円地デジチューナーを実現するチップを開発」したのは08年07月。【出典

これまで別々の半導体で構成されていた「フルセグOFDMチャネルデコーダ回路」と画像処理回路を世界で初めて1チップに集積。映像/音声用D/Aコンバータなど周辺回路も集積化し、メモリを統合するなどしてコストを削減した。

09年08月、日経トレンディネットは以下のように書いた【出典】。

  • 低価格地デジチューナーは1万円前後の製品が多い。待っていれば5000円で買えるようになると思っている人もいるかもしれないが、それは難しいようだ。
  • 各メーカーともコスト削減を進めているが、もう大幅に削減できる部分は少ない。今後も低価格化はある程度進みそうだが、5000円地デジチューナーの実現は、国や自治体など何らかの補助がなければ難しい。つまり今購入しても、2年後に購入しても価格はあまり変わらないことが予想される。今買ってもあまり損はないだろう。

おそらく取材対象に偏りがある。もしも今後ともトレンディでありたければ、この手のコモディティ商品は、イオンやミスターマックスを取材すべきだろう。自社では製造も開発もせず、商品企画に特化するMaas:モノツクリ・アズ・サービス(勝手な造語)系の企業に、アンテナを伸ばすべきだ。
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はじめに顧客要望ありき。そこから商品価格と必要最低限の機能を見定め、仕様を定めて発注。すなわち「ニーズ特化型商品企画」に徹するなら、ファブレスに加えデブレスのほうが、無駄なコストがかからない。毎日客前に立つ連中のほうが強い。流通業は、Maasのビジネスモデルにもっとも近い位置に居る。

おそらく今後、この手のチューナーは、さらにお得になる。地デジの利点の一つに、電波さえ届けば室内アンテナで十分という特性があるからだ。従って、実店舗を持つ販売業は、周辺地域の電波整備の進捗に合せて、室内アンテナとセットで、1万円、8000円、5000円、あるいはそれ以下など「チラシのメダマ」を創出することができる。来店さえして貰えれば、一緒になんか買っていただけるかもしれないからだ。

設置業者の人も最初は「室内アンテナじゃ期待しないほうがいいですよ」と言っていましたが、放送局をスキャンし始めて「何じゃこのアンテナ!ここまで映るとは!!」と若干ビビッていました。
上向きに設置したところ、ブースターをつけてもやっとだったのがすべてのチャンネルできれいに映るようになりました。ビルの反射なのかなんなのかよくわかりませんがとにかくびっくりです。(うちは周りをマンションに囲まれた家の1階に設置しています) ちなみに真上を向けたせいか、近所をヘリが飛んでいると、遠ざかるまで映りがひどくなります。

という事で、総務省のみなさんは難視聴対策をがむばっていただきたひ。
市場原理主義者として言えば、消費者が頼んでもいない地デジ移行にお金を払わなければならないのは、望ましく無い。リソースの最適配分は、個々の人々の自由な意思決定の末にもたらされるからだ。

  • ↑追記
1955年にはアメリカにテレビジョンを作っている企業が二十七社もあった。しかし1985年には一社だけになってしまった。
『ものつくり敗戦』P173~174

もしも日本が「自由貿易」を堅持するなら、このことは必ず起きる。それで豊かになれる人々が、億の単位で存在するからだ。