著作利権雑感, 2009末。

  • 第1節)ダウンロード違法化 「映画、音楽業界が啓発キャンペーンへ」
  • 第2節)総務省を巻き込んだ動き 「違法着うた再生できない端末」も?

不当ダウソが不快である事は間違いない。しかし、着うたの使い勝手、なかんづく「機種変に伴う再ダウソが下支え」というのは、さらに好感を持ちがたい。
国内音楽配信をめぐる現下の局面は、キャリア共通DRM、買い替え時の確実なデータ移行、クレカ番号や電話番号などユーザー固有IDによる「一回買ったら永代なんどでもダウンロードできる権の確保」その他の策の併用で「アメとムチ」を形成せねば打開不能と考える。現状はアメ玉に相当する策が希薄であり「ムチとムチ」に見えてしまう。
娯楽商売は水面上ではにこやかに飴玉をくばり、ムチ打ちは人知れず水面下で行わねばならない。ユーザーエクスペリエンスに最終責任を負う演出家はコンテンツ・プロバイダーである。モギリ(キャリア)や大道具(ハードメーカー)が主導権をとる芝居は面白くない。

  • 第3節)録画補償金の行方 東芝×SARVH訴訟はどうなる

「補償金で食べている団体」には特段の存在意義を認め難いが、「価値ある番組が無料で放送され、無料で録画できる構造」が「持続可能なサクヒンビジネスの発展」を阻害する事も確実に思える。本筋は「無料放送の減殺」と「有料視聴回路へのエクソダス」であり、SARVH訴訟における正義不正義の論争は瑣末な脇道と考える。
無料録画は「文化」ではなく単なる生活習慣(病)であり、著作権者を「著作利権」と表記する以上、「無料視聴利権」「無料録画利権」も既得権益と看做さないと負けな気がする。ナニにってんぢゃねーけどタマシイ的に。

延長がいい事なのか、悪いことなのか、わからないので保留中。何年も。
著作権を「原著作者の経済私権」と考えると死後70年は不可解だが、「リアルタイマーから一生搾り取る権利」と考えると、少なくとも自分はちと悩む。平均寿命が延びているからだ。「ヤマトは税金」と考えるようなリアルタイマーから平均期待余命(ゲンミツには消費者としての期待余命)いっぱい搾れるなら、傑作がカタチをかえて再生し、芯の部分が次世代に伝播する可能性があるからだ(あのヤマトの出来はしらんが)。
さまざまなテクニカルな問題〜死後起算と公表時起算の違い、原著作権者の死亡年齢の違いで様々に分岐島倉千代子なパターン、ジャンルによるぶったくり手法の違いなど〜はあるものの、延長反対論にはイマイチ載れずにいる。もっとも、著作権者側も「リアルタイマーを平均期待余命いっぱい搾る論」以前に、全体としては「カネにならない原著作者の名誉」と「カネになる著作利権」がぐちょぐちょのままであるように見える。
外交上の得失も重要ではあるが、さらに本質論ではないので軸とするのはもの足りない。

国内では、内容よりもアメリカ流の告知手法「オプトアウト」≒「文句があるなら言ってこい」に対する反撥がメインになっている印象が強い。「顔もみせずに、いついつまでに連絡せいとはなにごとか!」みたいな。しかし「美しい日本のワタシ」はたいせつだが、それとは別に、全ての「著作者」の元へ菓子折り下げて挨拶に行くようなビジネスモデルが今後も保つのか?という検討は必要だろう。印税率60%・欠品無し、という提案内容は、三井高利の「現金掛け値無し」並みのインパクトがある。

  • 第6節)Winny開発者、逆転無罪

ご本人が不当ダウソをしていた。という点であまり好感は持って居ない。もちろんこの時点では不当ダウソは違法ではないので「合法」だし、技術開発という行為そのものを罪に問うのは反対だが、「技術者だから無罪」的な構文は、鼻のアタマにシワが出る。