スパコンと民族と性別と職業と差別意識
第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
47News 2010/01/18(URI) | 毎日新聞 2010年1月18日(URI) |
「もともと日本人じゃない」 平沼氏、蓮舫氏を批判
平沼赳夫元経済産業相(衆院岡山3区)が岡山市で17日に開かれた後援会パーティーのあいさつで、政府の事業仕分けで注目された民主党の蓮舫参院議員について「言いたくないけれども、もともと日本人じゃない。帰化して国会議員になって事業仕分けでそんなことを言っている」などと発言した。 蓮舫議員の事務所は18日、取材に「直接聞いたわけではなく、コメントする立場にない」としている。 平沼氏は次世代スーパーコンピューター開発事業の仕分けで、蓮舫議員が「世界1位でなければ駄目なのか」と発言したことを「政治家として不謹慎だ」と指摘。「科学技術立国の予算は世界1位じゃなきゃいけない。つけを払わされるのは有権者だ」と強調した。 パーティー終了後、平沼氏は記者団に「差別と取ってもらっては困る。テレビ受けするセンセーショナルな政治は駄目だ」と説明した。 |
平沼赳夫氏:蓮舫議員の仕分け批判「元々日本人じゃない」
平沼赳夫元経済産業相(岡山3区)は17日、岡山市内で開いた政治資金パーティーのあいさつで政府の事業仕分けを批判し、仕分け人を務めた民主党の蓮舫参院議員について「元々日本人じゃない」と発言した。 平沼氏はあいさつの中で、次世代スーパーコンピューター開発費の仕分けで蓮舫議員が「世界一になる理由があるのか。2位では駄目なのか」と質問したことは「政治家として不謹慎だ」とし、「言いたくないが、言った本人は元々日本人じゃない」と発言。「キャンペーンガールだった女性が帰化して日本の国会議員になって、事業仕分けでそんなことを言っている。そんな政治でいいのか」と続けた。 平沼氏はパーティー終了後の取材に対し、「差別と取ってもらうと困る。日本の科学技術立国に対し、テレビ受けするセンセーショナルな政治は駄目だということ。彼女は日本国籍を取っており人種差別ではない」と説明した。 蓮舫議員のウェブサイトによると、蓮舫議員は67年、台湾人の父と日本人の母の間に生まれた。当時は父親が日本人の場合にしか日本国籍を取得できなかったが、改正国籍法施行後の85年に日本国籍を取得した。【石川勝義】 |
- 日本国籍の保有者に「元々日本人じゃない」と言うのは民族差別だと思った。
- 批判の文脈でキャンペーンガールだった過去に言及するのは、職業差別だと思った。
- 同じく批判の文脈の中で、殊更に女性である事を取り立てるなら、性差別の色彩が濃ゆいと思った。
「テレビ受けするセンセーショナルな政治は駄目」ならそう言えばよいのだ。スパコンや仕分け問題のどこに「元々日本人じゃない」だの「キャンペーンガールだった女性」だの言及する必要があるのか。それを持出さなきゃ伝わらんというのなら、オノレの言論を磨くべきだ。民族受け/おっさん受けするセンセーショナルな政治」ならOKという事もないだろう。
大の大人の言動として、悲惨でありすぎる*1。
◇◇◇
国民の選良同士が意見を戦わすのは良い。多いにやって頂きたい。が、
以下の要目を心得ぬ者は議論を外れるべきである。 | 以下を否定的な文脈で強調、言及、あるいは示唆する者は議論を外れるべきである。 |
左記を心得ず、右記を侵す者は、日本国の国益に資さない。
甲.民族という文化的な区分と、国籍という行政単位上の区分を混同する事は、政治的な混乱を生みがちである。
多数民族が少数民族に対して同調圧力をかけるのは、程度の差はあれ、世界中どこの国でも見られる。「文化的な同質性」は、治安や秩序を維持したり、社会を滞りなく回してゆく上で、絶大な潤滑油機能を有する為だ。ただし、タテマエ上は、あまり外聞の良いものではない。
在日日本人でいる限り「民族という文化的な区分」と「国籍という行政単位上の区分」の区別が甘くても、イタイ目を見る事はまず無い。日本は「やまと民族」が超圧倒的多数を占める「事実上の単一民族国家」だからだ。しかし、この事には、よくよくの意を払うべきである。
例えば外国人参政権の問題でも、推進・反対派問わず、二つの区分を混同した議論が見られる。双方とも、それが議論をムダに複雑化している面がある事に留意すべきだろう。例えば『日本列島は日本人だけのものではない』など。趣味的には「代表無くして課税無し」と思っているものの、そこまでスペーシーな議論には付いて行きかねる。
まずは国籍取得を「帰化」と呼ぶ事をヤメてみてはどうだろうか。それで問題が小さくなるかどうか、見てみるべきではないだろうか。それで済むならそれが最も簡便なのだし。
それでなくても。人々のココロの余裕が薄くなる経済停滞期には「文化的な色彩の濃い案件」が関心を集め、手っ取り早い票になる確率が高まる。しかしこれには合理的な議論が困難で、その結果万人が妥協できる策を作りにくいという特徴がある。従って泥沼化しやすく、政治的な亀裂が深刻化しやすく、ついでにガイブンも悪い。
乙.多彩な経歴を持つ人材が、その能力を国政に活かす事は、日本国の活力にとって有益である。
Yahoo!みんなの政治 - 平沼 赳夫 - 基本情報によると、同氏は、私立麻布中学・高等学校を経て 慶大法学部を卒業し、 日東紡績、中川一郎氏の秘書を経て議席を得ている。以後自民党および政府の要職を歴任され、最終経歴は経済産業大臣となっている。ジャパンでティピカルなエスタブリッシュメントといったところだ。
上記の発言に関わらず、自分は氏の能力・識見・人脈を疑うものではないが、、、なんつうの?、毎日ごはんばっかだとタマにはパンもたべたひ。みたいな。
基本的には、議事堂に席を占めるLawmaker(議員)には、法律 and/or 行政の下地が不可欠だと思って居る。その意味で小泉/オザワンのチルドレン戦法には違和感を持っている。しかしその一方で、国民の選良は、多彩な経歴を持つ人材が揃っていた方が良いとも思っている。この点。蓮舫氏の論戦能力は得難い才覚だと思っている。
丙.少なくとも論戦の能力に於いて、男女間に有為の差は無い。総人口の半数の能力を国政に活かす事は、日本国の活力にとって有益である。
上に同じ。ひらたく言うと、スパコン推進側が問題にするべきは「2位では駄目なのか」と聞いた蓮舫氏ではなく、それとマトモに勝負できる論客を、その場に用意できなかった事の方だろう。
我々は既に「高度成長村」を遠く離れ、「高Lv.モンスター」がうようよいるエリアに入っている。もはや「Lv.1マヌーサ」の時代ではない。これからの時代、「科学技術立国」や「世界1位」などの「予算ぶんどりの呪文」は、実のある哲学の裏打ち無くしては通用しないだろう。