時流タイムシフト:社会的な許容範囲は、時間軸に沿って変化する。

  • ハレンチ学園』(ハレンチがくえん)は、永井豪により1968年から1972 年まで週刊少年ジャンプ誌上に連載されたギャグ漫画作品のこと。または、この作品を原作とするテレビドラマ、映画等。
  • 1970 年1月8日と9日、『朝日新聞』『毎日新聞』に『ハレンチ学園』を紹介したことで、多くの大人の知ることになり、本作をめぐる騒ぎが拡大したものとみられる。なお、『朝日新聞』は永井本人や擁護派の意見も載せており、『毎日新聞』も紹介程度の内容であり、本作を一方的に非難するという記事ではない[1]。
  • 主に問題とされたのは2点、性描写と教師批判である[2]。

ハレンチ学園(1970,S45頃)

1970(昭45)永井豪作「ハレンチ学園」の追放を三重県四日市の中学校長会が決定,県青少年保護審議会に有害指定をするよう働きかける(「スカ−トめくり」や教師を卑劣な存在とする描写がマスコミでも問題に)

1970年

永井豪さんは、「ハレンチ学園」(1968年連載開始)のときのバッシングは、身の危険すら感じるほどだったと語っています。

ハレンチ学園(2010)

  • 今回の条例にあたり、さまざまな資料を他の委員たちも見るにあたって、「子供には見せたくないな」と思ったのではないか。それは、普通の感覚、常識だと思う。PTAからも同様な声が寄せられており、世界に誇る日本のマンガ、アニメ界はこのような条例を作ることによってより発展するものだと信じる。
  • Q.皆、いろいろ心配しているようだが、ハレンチ学園は指定されるか。
  • A.(*略*)ハレンチ学園は性交または性交類似行為が入っていないので、指定されない。
  • 他の議員の皆様には、良識のある判断をお願いしたい。不健全なものは子供には見せたくないというのが普通の感覚、常識だと思う。これを反対するようなことがあれば、社会から多くの批判を受けることになる。これを規制するのはあたりまえのことであり、性犯罪を助長するようなことになってはならない。

所感


1)『1970,S45頃のハレンチ学園』は、「子供には見せたくないな」と思うのが「ふつう」なサクヒンだったと推測される。一方、『2010のハレンチ学園』は、「これは規制されない、だから心配には及ばない」との文脈で語られている。

2)この事から、2つの仮説が考えられる。
  • 仮説A)1970と2010では、『ハレンチ学園』の内容が、ベツモノになっている。
  • 仮説B)1970と2010では、普通の感覚、常識が、ベツモノになっている。
    • ※世代間の感覚差を考慮すると、『あの『ハレンチ学園』を規制しないなんて、なんて親不孝な子だろうッ!』といったところか。
3)手許の普通の感覚、常識では、仮説B)はあたりまえのことであり、これを視野から落とすようなことがあれば、社会からまいっちんぐ〜とか云われることになる。
  • ※一方で、普通の感覚、常識より親孝行や「古き良き日本の良識」を優先するのであれば、『ハレンチ学園』は、断然規制あるのみである。正論でガンと言ってやればよい。
4)但し、2010の普通の感覚、常識から見て、「子供には見せたくないな」と思ったサクヒンを批判する事までは、否定されべきでない。それらのサクヒンの全てが後世、傑作と看做される事は考えにくいからだ。これは法規制云々とは別レイヤーの話。