10Q3 iPhone
1よく「SIMフリーのiPhoneは6万円ちょっとぐらいで売ってるから、それぐらいの値段なのだろう」と言われるが、2売価は製品の価値に対して設定されるので、必ずしも一般的な6万円ぐらいの携帯電話と同程度のコストとは言えるわけではない。
下線1は、以前にその通りの事を書いたが、確かにiPhoneに限っては、ライフサイクルが長い。オリジナルの発売は 07Q3*1だから、まる3年。ハードウェアについても、基本的にはゲーム機のビジネスモデルと思えばいいだろう。
- | スタートダッシュ | 拡大期 | 次世代 |
古典的なゲーム機 | 赤字またはギリギリ | 継続的なコストダウンで値下げ。 且つ黒字幅拡大(a) |
互換性アリ が望ましい |
猊下のiPhone | キャリア縛りで安価に(b) | (a')および(b)継続 | 互換性アリ が望ましい |
- (a):モデルチェンジ抜きで5年。 ← 初期には抜群の価格性能比。後期には安価に。
- (a'):(a)とのハイブリッド。急速に進歩する周囲と見劣りしないよう、毎年フェイスリフトを行う。これで3年。
- (b):キャリアのインフラ投資を扶ける=流通網整備。SIMロックフリーが「ふつう」な地域は、インフラが弱い傾向?
本田さんは、「次世代iPhone」は、「より広範な普及を目指して」、「もう一段価格を下げて来る」という可能性を指摘して居られる。
これはキャリアにとっては悪夢だろう。iPhoneはデータパケットのトラフィックを積極的に制御することなく、まるでPCのようにIPベースにアプリケーションをガンガン動かす
。下請けならともかく、独立携帯メーカーとキャリアは、本質的には呉越同舟だ。彼らキャリアは、末端いや端末価格をコントロールしたり、契約条件を変更したりするリスクが常にある。
例えばこうした施策は、「iPhoneのより広範な普及」にとって妨げになる。であれば、SIMロックフリーを既存流通に乗せる事は十分に考えられる。「そろそろキャリアはキャリア同士で競争して下さい」みたいな。商売は非情だ。戦略とは常に(略*2。
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キャリアショップという流通網に条件をつけたAppleなら、既存販売網でも郷に従う理由はない。「iPhoneのより広範な普及」の為に必要なら、郷のルールを変えようとするのが自然だ。
3このところ流通経路を整理している事も考え合わせれば、ひょっとすると299ドルでも利益は充分に出る。
下線3の真相は不明だが、「通販の方が流通コスト低いんだから卸値上げさせろや」。という交渉は、あり得る。これは、どうやろうが価格拘束に見えるので、公正取引委員会的には疑うのが当然だが、「流通から分捕ったぶんを消費者とヤマワケ」するなら、より広範な消費者の支持を得る可能性が高い。具体的には「新製品の値札が下がり、かつどこでもだいたいその値段」が達せられる場合だ。
いずれにせよ、プレステ全盛期を知ってるオイラとしては、価格維持の当不当は目的に依ると思う。AmazonだけがApple製品の通販を維持している点も興味深い。
なおiPhoneとは関係ないが、10Q2に価格.ComのMacBook最安価格がポンと上がっている。下図は09Q2モデル MacBook Pro 2260/13.3、つまりアルミ一族の最底辺だが、他もほぼ同傾向。
3月上旬に白マクブの定価で買えるのかぁ、と思っていたら何やら上がり始め、4月に入って一気に1万がとこ上がり、以後そのままだった。その後で新型の発表が来たのでメダパニっていたが、通販事件で合点が行った。
それがiPadか新型iPhoneかは判らないが、彼らは本気だ*3。
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先日、日本通信代表取締役専務兼COOの福田尚久氏と話したが、MicroSIM版のb-mobile SIMについて「対応する製品が登場してニーズが生まれれば、当然、商品化します」と断言していた。毎月2,500円以下でデータ通信し放題、 Skype-inでVoIPの発着信ができれば相当にお得。他MVNOからも、よく似た製品が登場するのは必至となるだろう。
$299≒28131.4円。16Gモデルがこのクラスなら、PSP goはもちろん、PSP/DSも喰われる。b-mobileSIM U300は、データ通信専用(音声通話不可)のSIMカードだ。DoCoMo網を使うMVNOで、Max300kbps程度と遅い代わりに月2500円〜。
SIMフリー端末でテザリングを遠慮する理由も無いだろうし、MVNOがそれをブロックする理由もない。キャリアと、国産メーカーにとっては、悪夢だ。