大学の淘汰
子供が明らかに減っているのだから、大学が淘汰されていくのもやむを得ないだろう。大学は今後社会人入学をもっと受け入れるしか、生き残りは図れないのでは。
これに関連して。
1)大学進学率と就職率
大卒の就職率は、1)1990-2000:バブル崩壊を受けて低下が始まり、2)2001-2005:小泉政権の期間中にハドメがかかり、3)阿部・福田・麻生政権中に反転するも、4)08Q4金融危機を経て第二氷期入り。なおオレンジの線は「大学在学者数(院生を含まない)」を見つけられなかったので、あんまし意味ない。院生を増やして経営規模を維持しているのかな。とは思う。
2)在学者の推移
- 政府統計の総合窓口 GL08020103(学校基本調査 > 年次統計 )総括表 6 より作成
3)就園率・進学率の推移
- 政府統計の総合窓口 GL08020103(学校基本調査 > 年次統計 )総括表 8 より作成
イ)1950(S25)~1975(S50)までの25年間、「大学・短大進学率」は急伸。
10%程だったものが、40%近くになっている。この区間のように経済がもりもり成長していれば、「生鮮食品(aka.新卒)」はいくらでも買い手がつくだろう。
ロ)1975(S50)~1990(H2)あたりの15年間は、むしろ下がっている。
大学行かなくても、十分な仕事はアルぢゃないか、というカンジだろうか。
ハ)1990年(H2)頃から大学進学率が急伸。
1990の37〜8%が、2008には50%超えに。バブル崩壊の余波だろうか。ざっくりで20年間だが、この傾向がそのまま続けば、イ)の区間に匹敵する増加率になるのかもしれない。
二)同区間、人口減にもかかわらず「幼稚園就園率」が下がっている。
このままでは大学進学率より下になる。税金の使い方としては、大学のキャパを増やすより、幼稚園のキャパを維持する方を優先すべきであるように思う。
4)文科党大学派
「文科党」は「中央官庁は事実上の政党本部」との見立て。
教科書的な
意味での政党政党本部 ←→ 広域支部 ←→ 地域支部 ←→ 地区本部 ←→ 党員 事実上の政党 中央官庁 ←→ 独立行政法人 ←→ 公益法人 ←→ 所管企業
/組織←→ 会社員・教職員
・農家、など、
肩を並べてはたらくナカマ※「天下り」は、このライン上をわたる「政治局員」。党本部とのパイプ役。
党内派閥「大学派」を、「公立族」と「私立族」に分類する。
イ)公立族
【拡大する公立大学】
公立大学については、大学数、学生数ともに増加傾向にあります。平成元年度に39大学6万人であったものが、平成20年度は75大学13万人と倍増しており、地域から高等教育の拡大を支えています。
- この場合;大卒の肩書きはデフレになる。教授の肩書きもデフレになる。
- 人口減の中でコレをやるならば;ピラミッドの頂点は、かつてほどには高くなくなる。
- あるいは、かつてなら使わなかったような資材で無理に大きくする。 ← aka.手抜き工事
- "ガクモンの価値"に「官製デフレ」が生じている可能性がある。
ロ)私立族
日本では1975年公布、翌年施行の私立学校振興助成法を根拠とする。
※手許では70年代を、「角栄用水の整備期」と見ている。これは、所得倍増計画*1で"重要産業"が稼いだお金を「のこされた人々」に回す用水路。
我が国の学校教育のなかで私立学校は学校数、学生・生徒等の数共に全体の大半を占めるなど大きな役割を果たしており、私学の振興を図ることは学校教育の発展を図る上で重要であるので、国は法令に基づき私学助成を行っています。
平成19年度 私学助成関係予算額(単位:億円)
事項 平成18年度予算額 平成19年度予算額 対前年度増△減額 備考 私立大学等経常費補助 3,312.5 3,280.5 マイナス32 私立大学等の教育研究条件の維持向上及び修学上の経済的負担の軽減に資するため、教育又は研究に係る経常的経費について補助。 私立幼稚園施設整備費補助 11.5 11.2 マイナス0 学校法人立幼稚園等の施設の新増改築や耐震補強工事、アスベスト対策工事等に対して補助。
- 私立大学は「経常費」に毎年3千億の助成を受けている。 ← 原理主義的には"私立"とは言い難い。
- 私立幼稚園は「施設整備」に毎年11億の助成を受けている。
- ※人口減にもかかわらず、就園率はさがっている(3の二)
5)日本のベスト&ブライテスト
- 2010年3月29日:卒業後3年は新卒扱いに 大学生の就職、学術会議提案 - asahi.com
大学生の就職のあり方について議論している日本学術会議の分科会は、新卒でなければ正社員になりにくい現状に「卒業後、最低3年間は(企業の)門戸が開かれるべきだ」とする報告書案をまとめた。最終報告書は近く、文部科学省に提出される。同会議は、今の就職活動が、学生の教育研究に影響しているとして、新しい採用方法の提案などで大学教育の質についての検討にもつなげたい考えだ。
日本学術会議は、国内の人文社会・自然科学者の代表機関で、文科省の依頼を受けて話し合っている。報告書をもとに同省は議論に入る。
今回、就職にかんする報告書案をつくったのは「大学と職業との接続検討分科会」で、就職活動早期化で、大学4年間で学ぶ時間を確保できにくくなっている弊害などが出ていることから、対策を考えてきた。日本の企業は、大企業を中心に、新卒者を採用する傾向が強い。中途採用はあるものの枠は狭く、希望の企業に採用されなかった学生が「新卒」の肩書を持つために、留年するケースもある。
報告書案では、「新卒一括採用方式」について、特定の世代に景気変動の影響が出やすい点を問題視。卒業後すぐ採用されなければ正社員になるのが難しいことから、卒業後最低3年は在学生と同様に就職あっせんの対象にすべきだとした。
企業側にも新卒要件の緩和を求め、経済団体の倫理指針や法律で規制するより、既卒者を新卒者と同じ枠で採用対象とする企業を公表することを提案。政府にも、卒業後も大学の就職支援を受けられるように法律を改正するなど速やかな対応を求めている。
また、就職活動で学生が学業に打ち込みにくくなっている現状についても、規制のみで対応することには限界がある、と記述。大学が学生をできるだけ長く社会から隔離するのではなく、インターンシップなどの機会を早くから整備することが重要とした。
大学が就職活動のスキルやノウハウを伝え、資格をとるよう促す動きについては大学教育全体で職業的な能力を育て、成績評価を社会でも意味を持つよう改善することなどを求めた。
自分は緑の部分は理解できるが、黄色のところは、ナニを言っているのかわからない。過剰在庫を抱えた生鮮スーパーが、三年前の商品も品質は同じですよと言っているような感じだろうか。
日本の企業社会(生鮮食品の消費者)が変革を必要としている事は明らかだが、それは同時に教育社会(鮮魚店やスーパー)の変革をテーマとする事でもある。その為には、企業になにかをしてもらうより、企業の為になにができるかが先ではないだろうか。そして両者を含めた提案以上に、次の社会構造のグランドデザインを提示できないようなら、それは「学術」とは言い難い。少なくとも、税金の使い道としては不適当であるように思う。
「アカデミズム」は、「ナントカ立国」と同様の、「我田引税のじゅもん」ではない筈だ。