メモ:石川県珠洲地域での先行停波実験の成功について


朝日
地デジ成功、「砂嵐」に拍手 先行移行の石川・珠洲 (2010/07/24)
読売
地デジ普及 進んでる? モデル地域 早くも完全移行(2010/07/25 朝刊)
リード
 石川県珠洲地域で24日、アナログ放送が終わり、全国より1年先駆けて地上デジタル放送(地デジ)に完全移行した。無償でチューナーを配るなどの国の手厚い支援もあって、順調に滑り出した。ただ、全国的に同様の支援態勢を組むのは難しい。残り1年で周知を徹底できるか、国や放送局は正念場を迎える。

(岡林佐和)
 地上デジタル放送への完全移行まであと1年となった24日、石川県珠洲市などで全国に先駆けて、アナログ放送が終了した。地デジ受信機の世帯普及率は83.8%(3月時点)と国の目標をかろうじて上回るが、地デジに対応していない世帯数は1000万近く残っており、総務省は普及対策を強化する必要に迫られている。
(金沢支局 森重達裕、鶴田祐介、文化部 井上晋治)
(経済部 川嶋路大)
地域選定の
時期と経緯
総務省は昨年4月、地デジ完全移行のモデル地区に珠洲市と隣接する能登町の一部を指定してから、 珠洲地区は、能登半島の先端にあり、終了しても他の自治体への影響が少ないことなどから先行モデル地区に選ばれた。
総経費と
対象世帯数
1億8千万円以上を投じて支援してきた。 投じた予算は約1億8000万円に上る。
対象8800世帯
石川県珠洲市と隣接する能登町の一部(計8800世帯)
  ※1億8000万円 ÷ 8800世帯=1世帯あたり2万454円(支援額)
支援策概要







希望する世帯には無料でチューナー約4200台を貸し出した。

チューナー希望者に1世帯あたり4台まで無償貸与し、

  ※@5000円として、x4台≒一世帯あたり2万円
 つまり全戸数分は調達していない。
  ※@5000円として、x4200台≒2100万円。残り≒1億5900万円(以上)


自治体の担当者が説明会を繰り返し、

 ただ高齢者が多い珠洲地区では、同市飯田町の自営業、浜田照子さん(73)のように、「チューナーを取り付けたが、地デジが受信できず、アンテナの調整などで数万円かかった」といった不満の声も聞かれた。

 このため、珠洲地区のケースでは、地元自治体の取り組みも重要だった。地域ごとに職員が訪れて説明会を何度も繰り返したり、自宅に直接訪れて地デジ対応を急ぐように説得して回ったりした。

 ※読売側の記述から、自治体側の役割は 「チューナーだけぢゃダメですよ!アンテナ工事も要りますよ!」という「説得工作」 と思われる。

地元の電器店が各戸を訪問して対応状況を点検した。 チューナー設置にあたっては、地元電器店15店に100〜200軒ずつローラー作戦で戸別訪問してもらい完全移行を達成した。
 ※読売側の記述から、地元電器店の役割は 「チューナーを持ってきて繋いでくれる人」 と思われる。

昨年7月と今年1月にはアナログ放送を止める「リハーサル」まで行った。
総括




総務省北陸総合通信局幹部は、「地元を良く知る電器店の協力を得られたのが大きい。全国で応用できる”珠洲モデル”だ」と胸を張った。
オレ
つつがなく成功したのは慶事だが、「地デジ完全移行のモデル地区」で行われベキは、停波に伴う問題点のリストアップである。 「先行 停波 実験」としては大失敗 と云うべき。
また、「一世帯あたり2万円の珠洲モデル」を全国(約5千万世帯)に応用した場合、1千億円規模の新規予算を組む必要がある。

全国規模で同じような周知活動や支援を行うのは難しい(朝日)。

全国の問題
都市部の問題
イ)チューナー配布作戦

  • 総務省によるチューナーの無償配布は、生活保護を受ける世帯に限定されている。(朝日)

ロ)自治体による「チューナーだけぢゃダメですよ!アンテナ工事も要りますよ!」作戦

  • 前田保夫・同市総務課係長は、「(完全移行に向けて)高齢者への対応が大きな課題になるが、ほかの自治体は、自分たちの仕事とは思っていないだろう」と懸念する。完全移行に向けて、珠洲地区を視察に訪れた自治体は一カ所もないという。(読売)
  • 総務省幹部は「珠洲のケースから、地元の自治体や電器店との連携が最も効果的だと分かった。これまで以上に、地元と連携しながら対策をやっていく」と話す(朝日)。
南関東問題(首都圏)
  • もともと珠洲地域では、地デジ受信に必要なUHFアンテナを備えており、ケーブルテレビに加入している世帯も多かった。だが、地デジへの対応が遅れている 南関東では多くの世帯にUHFアンテナがない 。都市部は、集合住宅での共同アンテナの付け替えやビルの陰による受信障害など、当事者が多く複雑な問題を抱えており、珠洲よりもハードルは高い。(朝日)
  • マンションやアパートの集合住宅は、77%が対応済みだが、 南関東の各都県の集合住宅はVHFアンテナをUHFアンテナに付け替える必要があるため、40~50%台と極端に低い 。アンテナ設置費用をめぐり、入居者とオーナーがもめるケースもある。(読売)
ビル陰問題(都市部)
  • 埼玉県の一戸建てに住む無職佐藤幹生さん(83)(仮名)は、ビル陰に住んでいるため、近隣のビルオーナーが共同で設置した共聴施設を使ってテレビを見ていたが、デジタル対応はしてくれないため、 約20万円でアンテナを建てた。だが 、別の建物が原因と見られる受信障害で映像が止まってしまうため、総務省テレビ受信者支援センターからケーブルテレビへの加入を勧められた。(読売)

関東平野の場合、キー局、NHKともVHFで放送しているため、テレビ神奈川や東京MXやテレビ埼玉など 「ややマニアックな趣味」 がなければ、UHFアンテナ自体がない。またビル陰の影響は、建物の位置関係だけでなく、VHFとUHFで異なるデンパ特性の影響も受け、さらに季節による大気の状況、雷雨などの天候でも地味に変化する。従って、最悪の条件が揃った場合は、珠洲市のように『アンテナの調整などで数万円かかった』では済まず、『約20万円でアンテナを建て』ても、「50年積み上げたビル陰対策の名人芸が通用しない」があり得る。

ハ)地元電器店の「チューナーを持ってきて繋いでくれる人」作戦。


  • 「都市部で家電量販店にやってもらうわけにはいかない」(総務省幹部)。(朝日)
二)停波リハーサル

  • 全国規模では予定されていない。