『天下布ガ』

上記は、「ガラパゴス電子ブック標準化挙国一致体制」についての話。基本的には自分もアレ気乗りはしないのだけど、僅かな可能性を感じないではない。二階から針の穴通して目薬さすようなものだとは思うのだけども。

XMDFというのは一般にはあまり知られていないが、シャープの「ザウルス」用に作られた文書フォーマットで、ガラパゴス携帯での標準規格だ。1日本語独特の縦書きやルビなどにきめ細かく対応し、2これまで日本で発行された約1万点の電子書籍のほとんどはXMDFで書かれている。

  • 1)1このUX2このライブラリの蓄積は、軽くない。
    • 「縦書きなどやめてしまえ派」は、断じて少数派だ。縦書きルビ傍点傍線ゴマ点レ点返り点。これらは決して譲れない文系絶対防衛圏だ。うそです。レ点返り点はそうでもないですごめんなさい。縦書き無用論なんてひこくみんだー!国語のノートを横に書くのは、くんれんされたひこくみんだー!、、、だー!(エコー)
  • 2)EPUBXMLは、縦書類対応が整うまでのタイムラグが「市場の期待に間に合わない」可能性がある。これは「マーケットを立ち上げる」上では致命的でありうる。
    • *【縦書EPUB】多くの方の真摯な努力には敬意を表するが、W3Cは、アカデミックでありすぎる。つまり市場を「ひっぱる」にはコダワリ過剰。これは「マーケットの期待に対して」「出るのが遅い上に不十分」であり得る。儲けを出すのに一番大事なのはタイミングだ。出来は「十分」ならそれでいい。
  • 3)中韓は既に「縦書き文化」を捨てている。という事は彼らはこの領域で競争相手になる動機が薄い。青の青。オール・ブルー。トゥルー・ブルー・オーシャン食べ放題(DRMお持ちの方時間制限無し)。最良の場合、XMDFは古典・漢文研究の分野で「大東亜共栄デファクト」を獲りうる。
  • 4)デバイスに関して云えば、英米系のものは、漢字・和文・マンガに対して解像度が「十分」とは云い難い。創り手にとっても、受け手にとっても、だ。流石にフリガナの明朝体を味わう人はどうかと思うがゴマ点はマル点とは違うのだよマル点とは!そして表示デバイスに掛けては、日本はまだ十分な国際競争力を有している(但し長くはない。コスト、なかんずくハイテク教が大課題)。
  • 5)そしてここにはまだ、1億人の消費者が健在だ。かつてほどではないにせよ、4900万世帯の購買力は、まだ摩滅しきっては居ない。
  • 6)理想的には;
    • 6-a)iPadで出来る事は全部できる。
      • これは、iTunesをコアにしたバックアップ、機種変時のデータ移行、一定台数内でのコンテンツ共有を含む。コアはクラウドが最良、最初は「本屋さん」や「ほにゃららショップ」でもかまわない。但し最終的には「客にファイルを渡すな。鯖へのアクセス権を売れ」を目指す必要がある。
    • 6-b)マンガ・アニメ・ゲーム、そしてラノベを原書で読むならコレぢゃ!!!
      • kindleだって?iPadだって?問屋が卸さなければどうという事はない。最良の場合、当該プラットフォームは「グローバル・知財ブロック」の一角を占め得る。
  • 7)当面阻止すべきは「着うたフル」の「キャリア単位DRM」「買ったbitがキャリ変どころか機種変で死ぬDRM」、これらと同様のものが「ガラパゴス・リーダー」に持ち込まれる事。

これが成るなら、全部懸けてもいいw。
自分で書いてても「んん〜っ」とは思うものの、誰が桶狭間の勝敗を事前に予測できたであろうか(何w)。既に成功例は猊下の手で示されている。カイゼンならお手のものだ。中国人は我々を「一個日本人是虫、一群日本人是龍」と評する。逆立ちしたってアメリカ人になれるわけもなし、我々は我々の道を往けばよろしい。

ガラパゴスが悪なのではない(ファミコンを見よ!プレステを想え!)。グローバルスタンダードを獲れない事が悪なのだ*1
めざせ『天下布ガ』

ふがふが(←気に入ったらしい)、、、
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但し。頭書の通り、コレが成る可能性は「夢幻のごとくなり」だと思うます。特に4)番と7)番。

まず4)番。

  • シャープの、電子辞書ですら買ったbitの半年後が不安になる陳腐化戦術(モノツクリ教の呪縛)。

過去のコンテンツ販売は頑張ってんなーとは思うし、個々の機械もよくできてんなーとは思うのだけど。機能を絞り込めない「ザウパピメビアクオスケータイウォーカー」が次々に市場に溢れ、お使いの機種でXMDF?.?を読むには、以下の手順に従ってアップデートを掛けて下さい、とか、お使いの機種には非対応です。とか、なんかそうゆう「ふえるワケワカメちゃん」になるんぢゃないかとゆう不安が拭いきれない。

それでは客はコンテンツ購入をためらうのが「自然」だし、版元も本気でつきあってくれる事はない。

初代プレステの成功は、暴走しがちな久夛良木閣下を、SME人海戦術*2という「孫悟空の輪」でよってたかって抑えた所にあると思う。当時は、ハードとコンテンツのバランスを、個人ではなく集団で取る裏技があるのか凄いなと思って見ていたのだけど、それを「人事」というのだと思った。いま。そのSCEですら「テクノザウルスの暴走」(まぁ閣下は特別ですけど)を押さえきれずに衛星軌道まですっとんで行った。

ハードとコンテンツの微妙なバランス。この「臭覚」に優れた人材(集団でもいい)が仮にあったとしても。

凸版印刷大日本印刷DNP)は「電子出版制作・流通協議会」を設立し、東芝パナソニック朝日新聞毎日新聞NTTドコモなどが参加を表明した。これは総務省文部科学省経済産業省の「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」

この同床異夢の寄り合い所帯の中で主導権や統帥権取れるのかとゆうと「未知数」だと思う。仮に1)〜7)番までの認識が揃って高度成長期なみの「一群日本人是龍」が成立したとしても、「個々の組織の現在の利害」というものは、のこるからだ。

つぎに7)番。

  • キャリアや販売者単位のDRM(WM-DRMのワナ)。

メディア企業が「文化」を口にしたときは、たいてい「既得権」と翻訳した方がいい。この場合も「出版業界のインフラをおさえてきた印刷業界の既得権を外資におかされたくない」と言い換えると意味が通じる。

ぶっちゃけこの「懇談会」に集まる全ての組織の利益がのびる状況は考え難い。「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進」は「産業構造の転換」とイコールだからだ。そんなん寄り合いで誰を見捨てるとか決められるワケねーぢゃんよ。欠席裁判で死刑くらっちゃたまんねーから出てるに決まってんじゃんよ。メディア企業に限らず「横紙破りの足を引っ張る場」「抜け駆け防止の村社会」として機能する確率99.999999%。使徒です。いやゼーレかな。戦自が突入すんのは「その場に椅子の無い奴んとこ」に決まってらぁ。

寄り合い所帯で「既得権益のすくつ」な部分の方が強く出た場合、「ふえるワケワカメちゃん(入手窓口(店・ネット・本の付録など))」、「ふえるワケワカメちゃん(DRMの縛り具合)」、「ふえるワケワカメちゃん(機種)」、、、みんな星になってしまへという事が起こる確率99.999999%。

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でも。もしほんとうにこれが成るなら、全部懸けてもいい。これ以上リンゴマークの国土蹂躙を許すのは、くやしいのうくやしいのうギギギw。

*1:aka.パラダイス鎖国

*2:出資・人員ともSMESONY本体で50/50。さらに会長に音楽事業の重鎮丸山茂雄さん