電力業界と172人の天下りと事実上の東電国有化宣言
イ)天下り関係
東電内 | 51 | 毎日+産経 |
経産系公益法人 | 121以上 | 毎日 |
東電グループ(100社以上) | 不詳 | 寺澤有氏 |
合計 | 172以上 | - |
イの1)2011.9.25 毎日新聞しらべ
毎日:官僚天下り50人以上 ゆがむ原発行政(1)、および毎日:公益法人へ「億円単位」拠出 ゆがむ原発行政(2)によると、
イの2)2011.9.26 衆院予算委員会にて
産経:東電天下り51人 経産相が調査指示によると、
- ※天下りは、連絡を密にしておくべき組織の「端末」となる。現役よりOBの方が望ましい。カオが効くから。
- ※2番:『いろいろな仕事』は以下のようなものと思われる。
- 地方警察や海保は、主に反対派対策。
- 警察庁はこの目的に加え、マル暴・総会屋対策(株主総会の出欠状況を横目に、その総数を越す委任状を取っておくなど)。
- 自治体関係は、各種要望のすりあわせ窓口(寄付金の名目、匿名か顕明か、寄付先はどこが良いかなど)。
- その他は、主に各種災害対策。
- こうした「ベン図のように重なりあう組織」は、細部に於いてフレキシブルで洗練された対応を可能にするが、代償として、大局的な「思い切った方向転換」が困難になる。端的に言うと、社長や会長が会社の統帥権を失う=コーポレート・ガバナンスに核がない=組織図上に現れない「インフォーマルな組織系統相関図」が「みんなのココロに中にある」ためだ。
- ※東電内51、経産系公益法人121以上、小計172以上。他に東電には100社を超すグループ会社があるが、そちらの実態は不詳との事(寺澤有氏)
ロ)事実上の東電国有化
ロの1)2011.9.20 160ページの賠償請求マニュアル
毎日:福島第1原発事故 賠償請求に案内書160ページ、記入用紙60ページには、『「多すぎ」「高飛車」 被災者、東電に怒り』などの文言が見える。それはまぁ、そうだろう。160+60で220枚。
↑これで250枚…記者クラブに出すハッタリぢゃないんだからw。
ロの2)2011.9.26 追加請求権の放棄条項
読売:弁護士の私もムリ…枝野氏、賠償請求書改善要求、日経:賠償請求書に「一切異議申し立てぬ」 東電、署名求める 文言は削除へ、時事:賠償受け付け、被害者の立場で=東電に改善要請−経産相から枝野幸男経済産業相の姿勢を抜粋すると;
- 賠償請求書類の多さ、複雑さは「弁護士の私でも読み切れる中身ではない。これではとても被害者は納得できない。強い姿勢で臨みたい」
- 合意書・示談書の中に『一切の異議・追加の請求を申し立てない』という文言があり、それに署名をさせようとしている、署名をさせているとの情報が入った」
- 「その文言を削るよう、事務方に東電への申し入れを指示をしたが、東電側から『もう印刷して配っている』との返事があった。これから(被災者に)署名させないように対応するよう、副社長に伝える」
- 「(経産相に)就任した段階で危惧はあったが、東電には今回の事故についての政府と同様の社会的責任を感じてもらえてないことがわかった。形式的に民間企業なので、国が手取り足取り全部やることは想定していなかった。(今後は)少なくとも、現行法上で最大限できる範囲内で直接的に東電の行動を監視していきたい」
- ※1番は、地元説明会や相談電話などは開設済みのようだが、迷惑かけた相手にコレは怒る。
- ※2番は、そもそも1F事故はまだ収束していない。この段階で被害の全体を確定できるワケがない。「皆さまが立腹するのは当然だ」。
- ※3番は、この指摘に「もう印刷して配っている」と返すのは、テンパリ杉てワケワカメになってるか、バイトに丸投げしてるか、かと思う。いずれにせよ「とんでもない話だ」。
- ※4番、なかんずく下線部の言い回しは、「事実上の国有化宣言」に近い。
ロの3)同日 事実上の国有化宣言
以下、産経:原賠支援機構が業務開始 東電リストラ一段と、および、読売:東電、公的管理下に…原賠機構が出資意向より;
- ※1-1-a:地域独占
- ※1-1-b:総括原価
- ※1-2-a:事実上の国有化宣言1
- ※2-2-a:事実上の国有化宣言2
手許では、これらは「事実上の東電国有化宣言」と理解した。東電側には「形式上は民間」の立場を活かして抵抗する余地が残る。172名を越すネットワークをフル稼働させれば、良い線まで押し返せる事だろうが、ぜひ公開の場で、自らの正統性を主張する方が現れる事に期待したい。
ハ)同日 経団連、抗戦を宣言
産経:「経産相の要求は一方的」 経団連会長、「東電給与、公務員並みに」発言を非難より、米倉弘昌経団連会長の発言抜粋;
- 「要求があまりにも一方的だ」
- 「もっと政府自体の責任を問うべきだ」
- 「賠償問題は国が前面に立ってやるべきなのに、対応が非常に遅れている」
- 東電はゴーイングコンサーンの立場にある」と、東電はこの先もずっと事業を継続していく企業だとの認識を示し、
- 「ステークホルダー(利害関係者)がどうのこうのという発言はいかがなものか」
東電は「形式的には民間企業」なので、米倉会長の主張は「形式的にはただしい」。しかし一方で、天下り・天上がり(文科・経産・内閣府などへの電力社員の出向)を介して「フォーマルな指揮系統とインフォーマルな指揮系統が、ベン図のように重なりあう構造」は、細部に於いてフレキシブルで洗練された対応を可能にする反面、責任の所在が不分明になるので「大戦略の転換を討議する際には必ずしも望ましくない」。
なお、東電は調達にあたって値切る事がほとんどないようだ。彼らがコストカットに血眼になった場合、経団連の重厚長大系の利害関係者は、いくばくかの企業努力を求められる事になると思われる。『この先もずっと事業を継続していく企業』で居て欲しいのは理解できる。できるがしかし。
そこは米倉氏のご要望通り、枝野氏が「経済のしくみ」を勉強なさった、という事でもある。まずは謝意を示されるのが、麗しき日本の社交辞令というものかと思う。