お祈りを止めさせて、反撃させなさい。言うことはそれだけです。
2011.10.14。国際原子力機関(IAEA)の除染調査団が、環境省で細野豪志環境・原発事故担当相と会談。現地視察を含む1週間の調査結果を基に作った報告書(概要版)を手渡し、計12項目の助言を提示。以下各報道の要約とメモ。
2011.10.14 日経|過剰に慎重な対応は回避を IAEA調査団
- 濃度そのものではなく、住民の被曝線量の低減が最優先
- 被曝線量の低減に効果のないような、過剰なまでの慎重な対応は回避すべき
- 森林で必要以上の除染をしても、住民の被曝線量の低下につながるものではない
※「人が立ち入る事が稀な森林まで除染に躍起になる」よりは、「立ち入り制限を掛けて地権者に半世紀賠償金を払う」の方が、ヒトモノカネが安上がりで済むケースはあり得る。
2011.10.14 共同|「最終処分場所の確保を」 IAEAチームが中間報告
- 過度に慎重な対応は避けるべき。効果の大きい場所に注力すべき。
- 都市部の放射線レベルが低い廃棄物は、中間貯蔵しなくてもよい可能性があり、産廃処理施設の活用が効率的
- 森林などを必要以上に除染しても住民の被ばく量低下につながるわけではない。
※上記とほぼ同じだが、『都市部の放射線レベルが低い廃棄物』を『産廃処理施設』にかき集める場合は、局地的には「11q4世田谷ラジウム」の方が耳目を集めるだろう。
ラジウム夜光塗料は、1934年に日本夜光塗料製造所の手で国産化され(http://goo.gl/YBkEB)、以後飛行機の計器盤や、時計の文字盤などの夜光塗料に使用されたが、60年代から放射線の健康被害が広く知られるようになり、1990年代に禁止された。これらがラジウム226なら、半減期は1600年ある(http://goo.gl/wu9MD)。一方ではある種の病気には治療効果があるようで、健康用の市販商品も存在する。「11q4世田谷ラジウム」は3マイクロSv/h程度だが、twitterなどで見た範囲では、これらの商品は6.5〜25マイクロSv/hを謳っていた。医療用ラジウムはそれなりの管理の網が掛かっていると思うが、こうした市販商品の処分には注意が必要だろう。
いずれにせよ「ラジウムシート使用者お断り」だの、「世田谷ナンバーお断り」だのになっては、死後さばきにあう(仏壇の中のじいちゃんにw)。瓶・カン・プラスチックなどの分別ゴミに加え「ちょっと今日、放射能出しといて」てなもんだろうか。
2011.10.14 読売|過剰な除染避けるべき…IAEA調査団が助言
- どこを除染すれば住民の被曝線量低下に最も効果的なのかバランスをよく考え、効果の低いところの過剰な除染は避けるべき。
- 国、県、市町村は恒常的な窓口を設置して連携の強化を図るべき。
- 都市部の廃棄物のほとんどは線量が低いため一時保管する必要はないだろう。
- 国が除染に責任を持つ基準を年間1ミリ・シーベルト以上としたことについて、「野心的で時間がかかる」
※受験で言うと、1番は「試験時間には限度があるのだから、配点の高い問題から片付けるべきだ」。2番は「どの問題が配点が高いか嗅ぎ分ける鼻を鍛えろ」。3番は「配点が低そうな問題の例」。4番の『野心的で時間がかかる』は、「こういう非現実的な真似をしてはイケナイ」の婉曲表現。のように思える。
2011.10.15 WSJ|IAEA報告書、除染計画の見直しを政府に提言
- 利益と負担のバランスを図ることが重要
- 金銭的コストだけを考慮するのではなく、かかる時間や発生する廃棄物、作業員の被曝についても検討する必要がある
- 課題が膨大にあることを考慮し、地方自治体や地域社会の一段の協力を呼びかけた。
※ほぼ上記までと同じ。ただしこの記事が一番長く、詳しかった。
2011.10.15 毎日|東日本大震災:福島第1原発事故 政府の除染作業方針「慎重すぎる」−−IAEA報告
- ▽被ばく線量の低減に効果的でない過剰な対応は回避する。
- ▽特別な被ばくを起こさないものは「放射性廃棄物」と分類せず、現実的な区分を再考する。
- ▽事故による被ばく量が比較的低い地域の除染は大量の残余物質を不必要に発生させるため、最適な活動に集中する。
- また、計画的避難区域に表示がなく、立ち入りが自由であることを問題視、対応を求めた。
※4番の問題に言及したのはこの記事のみ。『濃度そのものではなく、住民の被曝線量の低減が最優先』の観点からは、コレが最優先だろう。
2011.10.15 朝日|過剰な除染「効率低い」 IAEA調査団が助言
- 除染で過剰な対応を避けるよう求める報告書をまとめた。そのうえで森林や線量の低い場所での全面的な除染は時間や費用の面で効率が低いとした。
- 環境省の基本方針案は、事故による放射性物質の飛散で追加される被曝(ひばく)線量が年1ミリシーベルト以上の地域を国の責任で除染するとしている。しかし、1ミリシーベルト以上とすると対象は広範囲にわたるため、他の除染作業への人繰りに支障が生じたり、除去土壌がさらに多くなったりすると指摘する関係者もいるほか、兆円単位の費用も課題となっている。
※全体として「被曝線量年1ミリシーベルト以上地域の除染」の事しか書いてない。