吸うか吸われるか

地方は高速道路無料化により、活性化ではなくストロー現象(交通網の開通により都市が発展したり衰退したりすること)が顕著になるはずだ。現に熊本県は、高速道路が出来ただけで劇的に地盤沈下している。

そういう事なら、吸ってんのは博多だよなぁ。

目先のことを考えれば、高速無料化は、都市間で吸うか吸われるかの領民争奪戦国時代!ということになる。じゅるじゅる。あやうし熊本、激減するグロス・くまもと・プロダクツ(GKP)!。といったところだが、ところがどっこい「一人アタマGKP」は、向上する余地がある。

福岡県 熊本県 全国平均 出典
1.総人口 505.0万人 184.2万人 -  日本銀行福岡支店:地域金融経済の特徴
 日本銀行熊本支店:熊本県の金融経済事情
2.就業人口 235.6万人 87.4万人 -
3.県内総生産(05年度、名目) 18兆0840億円 5兆7088億円 -
 うち1次産業構成比 0.8% 3.4% 1.2%
 うち2次産業構成比 20.0% 23.0% 26.5%
 うち3次産業構成比 79.2% 76.5% 76.3%
4.県民所得 13兆4374億円 4兆3918億円 -
5.一人当たり県民所得 266.1万円 238.4万円 304.3万円
6.郵便局数 802 566 - 日本郵政グループディスクロージャー誌2009
(2001/3月末現在)
※高コスト体質が問題視されていた特定郵便局は、民営化で「直営」に混ぜ込まれた。
 うち直営 714 391 -
 うち簡易局 88 175 -
 うち閉鎖中 9(簡易) 3(簡易) -
一局あたりカバー人口 6296人 3254人 - =1.割る6.

「九州の中枢」を豪語する福岡県が人口を吸い取るなら、そちらでは2次/3次がのびる。いっぽう熊本では、就業機会の減る兼業農家や、後継者のない専業農家が、農地を売って(あるいは貸して)ハカタに引っ越しちゃうからだ。その結果、農地の集積が進み、現在より少ない農業補助金で、都市部勤労者に匹敵する収益を確保する「大規模専業農家」が増える可能性がある。もしかしたら、GKH(グロス・くまもと・ハッピネス)は上がったりするかもしんない。

風が吹けば桶屋も良いところだが、とうぜん、前提条件がある。熊本の「マジで・コンパクトシティ化」は、博多の「リトル・トーキョー化」とセットでなければならない。福岡で2次/3次雇用がぐっと伸びなければ、熊本の2次/3次雇用は難民化するだけだ。またもちろん、補助金類も、傾斜配分しなければならない。福岡は産業振興、都市再開発、教育、医療、福祉。熊本は純粋専業農家の優遇。兼業農家の退出。良い医療・福祉が欲しければ、後継ぎもない事だし、土地売って博多の老人ホーム行くか!孫もあっちに住んでるし!!みたいな。

福岡の場合、中韓台の「世界の工場化」が進む中で、コストパフォーマンスに優れたバイク、電気自動車、電気製品などの輸入・販売拠点となり得る。また周辺農業地域に対して韓国製農機(地勢が日本に似ているせいか、中古でも十分に使え、また価格も安い。さらに円高。)の輸入販売修理なども期待し得る。よーするに、伝統的な対中貿易拠点というメリットが生かせられまくる。

それらに対して、リーズナブルな価格で、安心な地元のくいものを、潤沢に供給し、博多港からガンガン輸出してやりゃいいのだ。観光客も呼んぢまえ。喰う寝る遊ぶで全部毟れる。しかも輸送費あっち持ちだ。

そんな簡単に上手くいくとも思えないが、どのみち人口は減る。医療予算を全県全市町村に平等に投じるよりは、熊本の老人ホームや博多の大病院に近いところに住んで頂いた方が、ローコストで済む。また郵便局の「一局あたりカバー人口」で示したような「郵政のムダ」は、人口集積度があがればあがるほど、浮上してくる。

なんか、そんなよーな事が、なるたけマイルドな形で(たぶん世代が1サイクルするくらいのスパンでゆっくり)進んでゆくのなら、高速無料化は、必ずしも愚策とは言えない。

ちょっと民主、おそろしい子かもしんない。
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他の交通機関でも値下げの動きが始まった。JR東海JR西日本は、10月31日から年末年始にかけて、東海、山陽新幹線の割引を実施する。正規運賃より最大でグリーン車が27.7%、普通車指定席が23.1%安くなる。回数券購入でもほとんど割引がなかった東海道新幹線では、異例中の出来事だ。